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step2 目指せ!セレブ妻
④セレブの世界も甘くない
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兄御曹司が去って行った後にいつもの慎吾に戻ったのも束の間、慎吾のセレブ家族と次々と対面し、その度に慎吾は居心地が悪そうにしていた。
一番上のお兄さんだけでなく、他の家族ともあまり上手くいっていないみたい。
それもそのはず、この人たちあまり性格がよろしくない。お世辞にも性格が良いとは言えないこの私が言うんだから、本当によろしくない。
今回の婚約パーティーの主役の二番目のお兄さんはまだまともそうだけど、彼もその婚約者もクセが強くて扱いづらそう。
まあその二人はまだいいとしても、それ以外は控えめに言ってクソとしか言いようがない。
なんでこの家族の中で、慎吾みたいなのほほんとした男が育ったのか不思議で仕方ない。
「失礼だけど、慎吾とはどちらから?
付き合ってどのくらいになるのかしら?
真面目なお付き合いなの?真由さんはどこにお勤め?ご両親のお仕事は?
真由さんは今年でおいくつ?大学はどちらかしら?」
慎吾のお父さんが料理をとりにいった途端、安物ドレスを着ている私を上から下までジロジロ見ながら、私を質問攻めにする慎吾母。
洗練された上品な和服に身を包み、優しそうな笑みを浮かべながらも、隠しきれない意地の悪さがにじみ出ている。
さっきから、ずっとこんな感じだ。
「本気で失礼だよ。初対面でそんなに聞かないで」
「私は大丈夫よ?慎吾さん。
むしろ、そんなに興味をもって頂けて嬉しいです。
慎吾さんのお母さま、何か聞きたいことがおありでしたら、何でもおっしゃってくださいね」
慎吾父がいた時からひどかったけど、父がいなくなったことでますます加速するイビリ。
見兼ねた慎吾がフォローを入れてくれたけど、それを制して、にっこりと慎吾母に笑いかける。
腹黒vs腹黒。
本気でセレブ妻になりたいのなら、こんな地味な嫁(彼女)イビりに負けていられない。
「ごめんなさいね、真由さん。
悪気はないのよ。
ただ慎吾がまた悪い女性に騙されているんじゃないかと心配で......」
大した役者ね。
全く悪いとも思ってないくせに。
本気で悪いと思ってるのなら、本人の前で騙されるか心配なんて言わないでしょうよ。悪口なら、せめて私のいないところで言おうか。
さも息子を心配している母を演じながら、心配そうにため息までついて、彼女イビりをする姿は逆に笑えてくるくらい。
「私は、」
否定しようと口を開きかけたとき、今度は慎吾の方が私を制して一歩前に出た。
「ご心配頂きありがたいですが、必要ありません。真由さんは、僕の選んだ女性です。
では、失礼いたします。いこう、真由」
自分の母親相手に他人行儀な敬語で堂々とそう宣言したかと思うと、慎吾は私の手をとる。
「慎吾?」
は?これ、本当にあの、残念御曹司の慎吾?
予想外の展開に驚き過ぎて、きっと私はあんぐりと口を開けている慎吾母と同じような顔をしていたと思う。
あまりの出来事に、慎吾母に心の中でこっそりざまあしながら慎吾についていくしかできない。
まさか慎吾があんなにはっきりと言い返せるなんて思わなかった。
てっきりヘラヘラ笑ってるか、私と慎吾母の間でオロオロしてるだけかと思ったのに。
とんでもなく失礼なことをこっそり思いながらも、途中で出てきて大丈夫かと慎吾に聞けば、役目は果たしたから大丈夫だと言うので、慎吾がそう言うのならいいかと自分を納得させる。
「これからどこ行くの?帰るの?」
「帰らないよ。帰りたい?」
いつになく有無を言わせない態度の慎吾に戸惑いながらも、フルフルと首を横に振る。
ビルの高層階にあるホテルの一室をとってあるというので、そのまま50階にエレベーターで向かった。
私たちの職場でもあるこのビルからは、私の家も慎吾の部屋も近いけど、アルコールを飲んでしまったし、早い段階で泊まるつもりだったらしい。
それはいいんだけど、いつの間に部屋とったのよ。
さすが御曹司。間抜けなように見えて、意外と段取りはいいわけね。
今日は点数稼ぎにきたはずなのに、予想外なことばかり。
「ここ?」
「うん」
50階のとある部屋の前で足を止めると、慎吾は慣れた様子でシャツの胸ポケットからカードキーを取り出し、これまた慣れた様子でドアを開ける。
私はもちろん初めてだけど、もしかしたら慎吾は何度か泊まったことがあるのかもしれない。
シンプルだけど、グレードの高そうな内装にベッド。
タクシーや電車に乗ればすぐ家に帰れるのに、わざわざこんな良い部屋をとってしまう慎吾は、やっぱり私とは別の世界で生きてきた人間だと改めて感じる。
それに、仕事はできない行動が残念と言われているけど、今日のパーティーでの慎吾の立ち居振舞いはさすがに洗練されていた。
お人好しでも、残念でも、御曹司ってわけね。
てっきり、お人好しで、世間知らずで、騙されやすい残念なだけの御曹司かと思っていたけど、少し認識を改めた方がいいかもしれない。
いざというときは行動力もあるし、手際が良い面もある。
それに......。
意外と男らしいところもあるんじゃない。
少しだけ、見直した。
一番上のお兄さんだけでなく、他の家族ともあまり上手くいっていないみたい。
それもそのはず、この人たちあまり性格がよろしくない。お世辞にも性格が良いとは言えないこの私が言うんだから、本当によろしくない。
今回の婚約パーティーの主役の二番目のお兄さんはまだまともそうだけど、彼もその婚約者もクセが強くて扱いづらそう。
まあその二人はまだいいとしても、それ以外は控えめに言ってクソとしか言いようがない。
なんでこの家族の中で、慎吾みたいなのほほんとした男が育ったのか不思議で仕方ない。
「失礼だけど、慎吾とはどちらから?
付き合ってどのくらいになるのかしら?
真面目なお付き合いなの?真由さんはどこにお勤め?ご両親のお仕事は?
真由さんは今年でおいくつ?大学はどちらかしら?」
慎吾のお父さんが料理をとりにいった途端、安物ドレスを着ている私を上から下までジロジロ見ながら、私を質問攻めにする慎吾母。
洗練された上品な和服に身を包み、優しそうな笑みを浮かべながらも、隠しきれない意地の悪さがにじみ出ている。
さっきから、ずっとこんな感じだ。
「本気で失礼だよ。初対面でそんなに聞かないで」
「私は大丈夫よ?慎吾さん。
むしろ、そんなに興味をもって頂けて嬉しいです。
慎吾さんのお母さま、何か聞きたいことがおありでしたら、何でもおっしゃってくださいね」
慎吾父がいた時からひどかったけど、父がいなくなったことでますます加速するイビリ。
見兼ねた慎吾がフォローを入れてくれたけど、それを制して、にっこりと慎吾母に笑いかける。
腹黒vs腹黒。
本気でセレブ妻になりたいのなら、こんな地味な嫁(彼女)イビりに負けていられない。
「ごめんなさいね、真由さん。
悪気はないのよ。
ただ慎吾がまた悪い女性に騙されているんじゃないかと心配で......」
大した役者ね。
全く悪いとも思ってないくせに。
本気で悪いと思ってるのなら、本人の前で騙されるか心配なんて言わないでしょうよ。悪口なら、せめて私のいないところで言おうか。
さも息子を心配している母を演じながら、心配そうにため息までついて、彼女イビりをする姿は逆に笑えてくるくらい。
「私は、」
否定しようと口を開きかけたとき、今度は慎吾の方が私を制して一歩前に出た。
「ご心配頂きありがたいですが、必要ありません。真由さんは、僕の選んだ女性です。
では、失礼いたします。いこう、真由」
自分の母親相手に他人行儀な敬語で堂々とそう宣言したかと思うと、慎吾は私の手をとる。
「慎吾?」
は?これ、本当にあの、残念御曹司の慎吾?
予想外の展開に驚き過ぎて、きっと私はあんぐりと口を開けている慎吾母と同じような顔をしていたと思う。
あまりの出来事に、慎吾母に心の中でこっそりざまあしながら慎吾についていくしかできない。
まさか慎吾があんなにはっきりと言い返せるなんて思わなかった。
てっきりヘラヘラ笑ってるか、私と慎吾母の間でオロオロしてるだけかと思ったのに。
とんでもなく失礼なことをこっそり思いながらも、途中で出てきて大丈夫かと慎吾に聞けば、役目は果たしたから大丈夫だと言うので、慎吾がそう言うのならいいかと自分を納得させる。
「これからどこ行くの?帰るの?」
「帰らないよ。帰りたい?」
いつになく有無を言わせない態度の慎吾に戸惑いながらも、フルフルと首を横に振る。
ビルの高層階にあるホテルの一室をとってあるというので、そのまま50階にエレベーターで向かった。
私たちの職場でもあるこのビルからは、私の家も慎吾の部屋も近いけど、アルコールを飲んでしまったし、早い段階で泊まるつもりだったらしい。
それはいいんだけど、いつの間に部屋とったのよ。
さすが御曹司。間抜けなように見えて、意外と段取りはいいわけね。
今日は点数稼ぎにきたはずなのに、予想外なことばかり。
「ここ?」
「うん」
50階のとある部屋の前で足を止めると、慎吾は慣れた様子でシャツの胸ポケットからカードキーを取り出し、これまた慣れた様子でドアを開ける。
私はもちろん初めてだけど、もしかしたら慎吾は何度か泊まったことがあるのかもしれない。
シンプルだけど、グレードの高そうな内装にベッド。
タクシーや電車に乗ればすぐ家に帰れるのに、わざわざこんな良い部屋をとってしまう慎吾は、やっぱり私とは別の世界で生きてきた人間だと改めて感じる。
それに、仕事はできない行動が残念と言われているけど、今日のパーティーでの慎吾の立ち居振舞いはさすがに洗練されていた。
お人好しでも、残念でも、御曹司ってわけね。
てっきり、お人好しで、世間知らずで、騙されやすい残念なだけの御曹司かと思っていたけど、少し認識を改めた方がいいかもしれない。
いざというときは行動力もあるし、手際が良い面もある。
それに......。
意外と男らしいところもあるんじゃない。
少しだけ、見直した。
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