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4-2
「もうすぐ授業終わるね。あと少ししたら、四限の教室に行かないと」
名残惜しいけど、授業に遅刻するわけにもいかない。
スマホをカバンに戻し、旭陽に話しかける。
「うん、楽しかったよ。和葉と二人で話したの、久しぶりだね」
「彩羽に悪い気がして、誘いにくくなっちゃったから」
「和葉は友達だから、彩羽は気にしないよ」
さらっと言われた旭陽の言葉がグサリと突き刺さる。やっぱり私って、旭陽にとっては『男友達』と同じカテゴリーなのかな。
大体旭陽は気にしなくても、彩羽は気にすると思う。
もし私だったら、いくら友達とはいえ、彼氏が女の子と二人きりで会ってたら、少し嫌だから。
――私は、自分が嫌なことを彩羽にしてるんだよね。不可抗力でもなく、意図的に彩羽を傷つけようとしている。私……。
私は、本当にこんなことがしたかったのかな。
これでいいのかな。
急に心がかき乱されて、手のひらをぎゅっと握る。
彩羽だって、たぶん私が旭陽を好きだと知ってて、旭陽の告白をOKした。みんなの前で落選報告もさせられて、プライドも傷つけられた。
どうせ私が旭陽と付き合えるわけもないし、自分が上だと見せつけたかったんでしょ?
そうじゃないかもしれないけど、でも私はこれまでの彩羽の言動でたくさん傷ついてきた。だったら、私だって遠慮しなくていいはず。
それに、優日にも協力してもらってるんだから、今さら後には引けない。
自分を奮い立たせ、小さく息を吸う。
「知らないかもしれないけど、私も女なんだよ。旭陽」
旭陽の顔を見つめ、彼の膝に一瞬だけ手を置く。
触れるのは、ほんの一瞬だけ。
『ベタベタ触りすぎない! 不自然なスキンシップはしない! あれ? もしかして? って男が気になる程度に留めておくこと!』と、優日から口を酸っぱくして言われていた。
すごく計算高い気がするけど、私一人だったら空回りしかしなかっただろうから、優日がサポートについてくれて本当に助かってる。
本でたくさん恋愛は知っていても、コミュ力が高くて恋愛経験も私よりは多い優日には全く敵わない。
「え、や、さすがに知ってるよ」
旭陽はビクリと飛び跳ね、ごまかすように頬をかく。
思いの外旭陽が動揺していて、ほんの少し嬉しくなる。私相手でも、旭陽も動揺したりするんだ。
「そうなんだ。知らないかと思った。だって旭陽、全然意識してくれないし」
一年生の時から、私はずっと旭陽を好きだったのに。
ランチもして、一緒に勉強もして。彩羽が途中からサークルに入ってくるまでは二人きりの時間をたくさん過ごして、私はてっきり恋人同然だと思ってたのに。
それでも、旭陽は私を女として見てなくて、彩羽を好きになったんだよね。
つい恨み言を言ってしまいたくなるのをぐっとこらえ、小さく息をつくだけに留めておく。
「ええ……。だって、それは、俺と和葉だし、和葉を女性として見てないとか、そういうわけじゃないんだけど……。なんていうか……」
旭陽はワタワタして、せわしなく自分の身体をあちこちを触っている。旭陽がこんなに困ってるところ、初めて見た。
それだけでも、少し救われた気分になる。
ここまで言っても旭陽が全く動じず、男友達同然の扱いをされたら、さすがに立ち直れる自信がなかったから。
「あのさ、最近何かあった?」
しばらく言葉を探すようにしていた旭陽が、顔色を窺うように私を見た。
「どうして?」
「和葉の雰囲気が前と違うから」
私の顔を見てから、旭陽は視線を下にずらしていく。
優日と出かけた日以降メイクも変えたけど、それ以外のファッションも少し変えた。髪の毛は相変わらず染めてないものの、時々巻くようになった。
パンツの他に、時々ロングスカートも穿くようになった。ピアスホールも空けて、シンプルな一粒ピアスやチェーンピアスを服に合わせて付けている。
彩羽や女友達は私の変化にすぐに気づいてくれて、『似合ってる』『可愛い』と褒めてくれた。旭陽は何も言ってくれなかったから、もしかしたら何も気づいてないんじゃないかと思ってたけど、気づいてたんだね。
名残惜しいけど、授業に遅刻するわけにもいかない。
スマホをカバンに戻し、旭陽に話しかける。
「うん、楽しかったよ。和葉と二人で話したの、久しぶりだね」
「彩羽に悪い気がして、誘いにくくなっちゃったから」
「和葉は友達だから、彩羽は気にしないよ」
さらっと言われた旭陽の言葉がグサリと突き刺さる。やっぱり私って、旭陽にとっては『男友達』と同じカテゴリーなのかな。
大体旭陽は気にしなくても、彩羽は気にすると思う。
もし私だったら、いくら友達とはいえ、彼氏が女の子と二人きりで会ってたら、少し嫌だから。
――私は、自分が嫌なことを彩羽にしてるんだよね。不可抗力でもなく、意図的に彩羽を傷つけようとしている。私……。
私は、本当にこんなことがしたかったのかな。
これでいいのかな。
急に心がかき乱されて、手のひらをぎゅっと握る。
彩羽だって、たぶん私が旭陽を好きだと知ってて、旭陽の告白をOKした。みんなの前で落選報告もさせられて、プライドも傷つけられた。
どうせ私が旭陽と付き合えるわけもないし、自分が上だと見せつけたかったんでしょ?
そうじゃないかもしれないけど、でも私はこれまでの彩羽の言動でたくさん傷ついてきた。だったら、私だって遠慮しなくていいはず。
それに、優日にも協力してもらってるんだから、今さら後には引けない。
自分を奮い立たせ、小さく息を吸う。
「知らないかもしれないけど、私も女なんだよ。旭陽」
旭陽の顔を見つめ、彼の膝に一瞬だけ手を置く。
触れるのは、ほんの一瞬だけ。
『ベタベタ触りすぎない! 不自然なスキンシップはしない! あれ? もしかして? って男が気になる程度に留めておくこと!』と、優日から口を酸っぱくして言われていた。
すごく計算高い気がするけど、私一人だったら空回りしかしなかっただろうから、優日がサポートについてくれて本当に助かってる。
本でたくさん恋愛は知っていても、コミュ力が高くて恋愛経験も私よりは多い優日には全く敵わない。
「え、や、さすがに知ってるよ」
旭陽はビクリと飛び跳ね、ごまかすように頬をかく。
思いの外旭陽が動揺していて、ほんの少し嬉しくなる。私相手でも、旭陽も動揺したりするんだ。
「そうなんだ。知らないかと思った。だって旭陽、全然意識してくれないし」
一年生の時から、私はずっと旭陽を好きだったのに。
ランチもして、一緒に勉強もして。彩羽が途中からサークルに入ってくるまでは二人きりの時間をたくさん過ごして、私はてっきり恋人同然だと思ってたのに。
それでも、旭陽は私を女として見てなくて、彩羽を好きになったんだよね。
つい恨み言を言ってしまいたくなるのをぐっとこらえ、小さく息をつくだけに留めておく。
「ええ……。だって、それは、俺と和葉だし、和葉を女性として見てないとか、そういうわけじゃないんだけど……。なんていうか……」
旭陽はワタワタして、せわしなく自分の身体をあちこちを触っている。旭陽がこんなに困ってるところ、初めて見た。
それだけでも、少し救われた気分になる。
ここまで言っても旭陽が全く動じず、男友達同然の扱いをされたら、さすがに立ち直れる自信がなかったから。
「あのさ、最近何かあった?」
しばらく言葉を探すようにしていた旭陽が、顔色を窺うように私を見た。
「どうして?」
「和葉の雰囲気が前と違うから」
私の顔を見てから、旭陽は視線を下にずらしていく。
優日と出かけた日以降メイクも変えたけど、それ以外のファッションも少し変えた。髪の毛は相変わらず染めてないものの、時々巻くようになった。
パンツの他に、時々ロングスカートも穿くようになった。ピアスホールも空けて、シンプルな一粒ピアスやチェーンピアスを服に合わせて付けている。
彩羽や女友達は私の変化にすぐに気づいてくれて、『似合ってる』『可愛い』と褒めてくれた。旭陽は何も言ってくれなかったから、もしかしたら何も気づいてないんじゃないかと思ってたけど、気づいてたんだね。
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