超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ

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「それでね、一緒に教わりたいなって」


これ以上強くなるなと僻む俺とは違って、一緒に頑張りたいと曇りのない純粋度100%の眼差し。今すぐ視界から消え去りたい。


これまた、にこっと微笑む顔が良い。写真集出したら買うね。無理ならチェキでも可。パーソナリティを享受するべく、推しの様々なコンテンツを追いかけたいだけのそこら辺の草むらにいるただのオタクです。


…て、こんな時にそんなこと考えてる場合じゃないだろ。ついつい脱線しちゃうのもオタクのスペックだからしょうがない。



「あれ聞いてる?」


「は、はい!…じゃなくて!やだよ」


おっといけない。思わず頷きそうだった。俺は悪役。主人公のライバルとなるため馴れ合いはだめと心に決めた男ではないか。だけど、反対に推しと仲良くなりたいというこの気持ち。まさに自縄自縛じゃん。



「なんで…」


また捨てられた子犬の目を…。


「…っ、俺とお前じゃ住む世界が違うからだよー!」


と、どうすることもできない俺はまたその場から逃げてしまった。最低すぎるぞ。


ちゃんと向き合うべきだと自分でも思う。だけどシナリオを知っている俺にとってはエイデンの人生に不必要な存在なんだ。

自分の行動を反省しつつも、日々を人一倍努力しないといけないため、本の知識じゃ得られないことも学び続けたい。そのためにはヘンリ爺さんに会う必要がある。


エイデン…いっぱい傷つけてごめんな。俺先に強くなるよ。今度の休みの日に久しぶりにヘンリ爺さんに会いに行くことにした。






そして休日。

エイデンがいない午前中を狙ってヘンリ爺さんを訪ねた。この時間帯は孤児院の手伝いをしていることを知っている。心優しいエイデン。君はまだ10歳なんだ。休みの日はお昼までゴロゴロして外を駆け回っていいんだよ。健気で泣けるよ本当。





「ほほ。やっと来たか。もう来ないかと思ってたとこじゃったよ」


自分から弟子になりたいって言った手前、行かないなんてそんな薄情な奴で終わりたくない。



「お、遅くなってすみません。弟子になったからには成長したいんでよろしくお願いします」


気を入れ直して、頭を下げる。



「まぁよい。勉強してたんじゃろ?エイデンから聞いておった」


ちゃんと伝えててくれたんだ。それなのにこの爺さんは俺が来ないと思ってたとは…。教えてもらう身でもあるため、睨むを我慢した。




「そういやこんな朝早くから来て、もしかしてエイデンを避けておるのか?毎日寂しがってたぞ、なんで避けるんじゃ」


「…」


保護者からそれを言われたらおしまいです。


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