28 / 71
28
しおりを挟む「それでね、一緒に教わりたいなって」
これ以上強くなるなと僻む俺とは違って、一緒に頑張りたいと曇りのない純粋度100%の眼差し。今すぐ視界から消え去りたい。
これまた、にこっと微笑む顔が良い。写真集出したら買うね。無理ならチェキでも可。パーソナリティを享受するべく、推しの様々なコンテンツを追いかけたいだけのそこら辺の草むらにいるただのオタクです。
…て、こんな時にそんなこと考えてる場合じゃないだろ。ついつい脱線しちゃうのもオタクのスペックだからしょうがない。
「あれ聞いてる?」
「は、はい!…じゃなくて!やだよ」
おっといけない。思わず頷きそうだった。俺は悪役。主人公のライバルとなるため馴れ合いはだめと心に決めた男ではないか。だけど、反対に推しと仲良くなりたいというこの気持ち。まさに自縄自縛じゃん。
「なんで…」
また捨てられた子犬の目を…。
「…っ、俺とお前じゃ住む世界が違うからだよー!」
と、どうすることもできない俺はまたその場から逃げてしまった。最低すぎるぞ。
ちゃんと向き合うべきだと自分でも思う。だけどシナリオを知っている俺にとってはエイデンの人生に不必要な存在なんだ。
自分の行動を反省しつつも、日々を人一倍努力しないといけないため、本の知識じゃ得られないことも学び続けたい。そのためにはヘンリ爺さんに会う必要がある。
エイデン…いっぱい傷つけてごめんな。俺先に強くなるよ。今度の休みの日に久しぶりにヘンリ爺さんに会いに行くことにした。
そして休日。
エイデンがいない午前中を狙ってヘンリ爺さんを訪ねた。この時間帯は孤児院の手伝いをしていることを知っている。心優しいエイデン。君はまだ10歳なんだ。休みの日はお昼までゴロゴロして外を駆け回っていいんだよ。健気で泣けるよ本当。
「ほほ。やっと来たか。もう来ないかと思ってたとこじゃったよ」
自分から弟子になりたいって言った手前、行かないなんてそんな薄情な奴で終わりたくない。
「お、遅くなってすみません。弟子になったからには成長したいんでよろしくお願いします」
気を入れ直して、頭を下げる。
「まぁよい。勉強してたんじゃろ?エイデンから聞いておった」
ちゃんと伝えててくれたんだ。それなのにこの爺さんは俺が来ないと思ってたとは…。教えてもらう身でもあるため、睨むを我慢した。
「そういやこんな朝早くから来て、もしかしてエイデンを避けておるのか?毎日寂しがってたぞ、なんで避けるんじゃ」
「…」
保護者からそれを言われたらおしまいです。
1,390
あなたにおすすめの小説
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
災厄の魔導士と呼ばれた男は、転生後静かに暮らしたいので失業勇者を紐にしている場合ではない!
椿谷あずる
BL
かつて“災厄の魔導士”と呼ばれ恐れられたゼルファス・クロードは、転生後、平穏に暮らすことだけを望んでいた。
ある日、夜の森で倒れている銀髪の勇者、リアン・アルディナを見つける。かつて自分にとどめを刺した相手だが、今は仲間から見限られ孤独だった。
平穏を乱されたくないゼルファスだったが、森に現れた魔物の襲撃により、仕方なく勇者を連れ帰ることに。
天然でのんびりした勇者と、達観し皮肉屋の魔導士。
「……いや、回復したら帰れよ」「えーっ」
平穏には程遠い、なんかゆるっとした日常のおはなし。
なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?
詩河とんぼ
BL
前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
異世界で孵化したので全力で推しを守ります
のぶしげ
BL
ある日、聞いていたシチュエーションCDの世界に転生してしまった主人公。推しの幼少期に出会い、魔王化へのルートを回避して健やかな成長をサポートしよう!と奮闘していく異世界転生BL 執着最強×人外美人BL
ガラスの靴を作ったのは俺ですが、執着されるなんて聞いてません!
或波夏
BL
「探せ!この靴を作った者を!」
***
日々、大量注文に追われるガラス職人、リヨ。
疲労の末倒れた彼が目を開くと、そこには見知らぬ世界が広がっていた。
彼が転移した世界は《ガラス》がキーアイテムになる『シンデレラ』の世界!
リヨは魔女から童話通りの結末に導くため、ガラスの靴を作ってくれと依頼される。
しかし、王子様はなぜかシンデレラではなく、リヨの作ったガラスの靴に夢中になってしまった?!
さらにシンデレラも魔女も何やらリヨに特別な感情を抱いていているようで……?
執着系王子様+訳ありシンデレラ+謎だらけの魔女?×夢に真っ直ぐな職人
ガラス職人リヨによって、童話の歯車が狂い出すーー
※素人調べ、知識のためガラス細工描写は現実とは異なる場合があります。あたたかく見守って頂けると嬉しいです🙇♀️
※受けと女性キャラのカップリングはありません。シンデレラも魔女もワケありです
※執着王子様攻めがメインですが、総受け、愛され要素多分に含みます
朝or夜(時間未定)1話更新予定です。
1話が長くなってしまった場合、分割して2話更新する場合もあります。
♡、お気に入り、しおり、エールありがとうございます!とても励みになっております!
感想も頂けると泣いて喜びます!
第13回BL大賞にエントリーさせていただいています!もし良ければ投票していただけると大変嬉しいです!
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる