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しおりを挟む「嫌われてるなんてそれはどうして思ったんだい?まさかだとは思うが何か酷いことを言われたのかい?」
ダリルの父ナイス。今から雰囲気ぶち壊したいと思います。
「はい…。実は僕、魔力測定で過去に見ないF-10というランクの低さで魔力がないと判断されました。それで自分なりに頑張って魔法を学んでいたんですが昨日学園を辞めたらと言われてしまいました」
ぐすっと涙ぐむ演技をした。だって本当のことだ。
「ダリルどういうことだ?」
楽しかった雰囲気が一気に静まり返る。これで婚約の件も無かったことになると安堵した。
「そ、それは…違うんです。魔力が少ないということは狙われやすいと思ったので危ないと思いました。それで私が守りたいと思いが強くなって学園に通わずそばにいてほしいという…その、愛の告白だったつもりだったんです。ルアンを目の前にしたら言葉選びが下手くそになって申し訳ないことをしたのはわかってます」
ダリルは俺に近づき、『傷つけて泣かせてしまいごめんね』とポケットからハンカチを出し、涙を拭う。誰だよ、お前。
「あらあら紳士なこと…。ルアン、ほら情熱的な子って言ったでしょ」
母は恋愛の劇でも観ているようだと続けた。
「ダリルこれからは気をつけるように。誤解を生むのはよくないことだ。愛する人は大切にするんだぞ。ルアンも悪かったね」
「はい、もちろんです」
「いえ…僕は理由がわかって良かったです」
昨日とのギャップがすごくて引いてるんですけど。ダリルは恭しく俺の手をとり、そして手の甲にキスされる。
「ルアンこれからもよろしくね」
いや、よろしくしたくないです。あと許可してないのでさりげなく触らないでください。
「あらあら仲良しね。私たちお邪魔かしら」
何この空気。勝手に悪い方向に進んでいないか?俺が最初圧倒的に有利の立場だったのに言葉巧みにこいつは…!
「あの…わざわざ、来てくれたのは有り難いですが婚約というのはまだ早いと思いまして…」
「それもそうね。うちのルアンは昨日会ったばかりと困惑しておりました。まだ整理もついていないみたいです」
追加で言ってくれた。さすが母ありがとう。
「そうか、それは残念。しかし今日決めなくてもゆっくり考えればいい。急いですまないね」
「いえいえ、こちらこそすぐに返答できなくて申し訳ないですわ。考えるお時間をいただきありがとうございます。この子はまだ恋ということを知らなくて、時間はまだたっぷりとあります。時間をかけて愛を育んだ方がロマンチックだと思いまして」
母が上手くまとめてくれて助かった。愛を育むなんてことは一生起きないので安心してください。
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