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しおりを挟む【ルアンside】
あれから時が経ち、俺たちは15歳になった。相変わらず魔力はF-10止まり。しかし、修行のおかげか時々、精霊の声がはっきり聞こえるようになった。見えるのはまだ光程度だけど、成長したと思う。
それと変わったことはこの5年で夢ができた。エイデンのライバルになるのはもちろんだが自分の魔力量じゃ到底及ばないことは理解している。以前、ヘンリ爺さんを助けたことから『俺って実はすごいんじゃね?』と調子に乗って薬学の本にも手を出し、たくさん飽きるまで読み漁った。だから内容は何となく頭に入っている。本来原作ではヘンリ爺さんはいない存在だが俺が助けたと思ったらすごいことしたんだと自分自身の価値を見つけた気がして、その夢が更に大きくなった。
それからというもの薬草やポーションといった分野に興味を持ち、将来みんなを救うことができる人になりたいと思った。今はまだまだ未熟だけどいずれ叶うと努力している。それでエイデンの隣に立てればいいけどなんて滅相もないこと考えているけど、ピンチの時には少しでも役に立てればいいな。肩書は伝説の英雄のライバルということに繋がれば一件落着だけどね。魔力はないがそういう知識はいずれためになると信じているから大丈夫。
「ルアンお兄ちゃん、結婚して!」
花を一輪持ってきて渡してきたのはレオンくん11歳。どこかでつんできたのかな。本当可愛いことをしてくれると癒された。この子は俺が修行を始めた時にいた子だ。現在は同じ孤児院出身のミサちゃんと一緒にとある家庭に引き取られてた。とても幸せそうに暮らしているので安心した。こうやって孤児院に時々来るのは俺たちのマネをして手伝いに来ていた。本当偉いと思うよ。
「ありがとう考えるね。とても綺麗な花だ」
「本当?絶対だからね!いくら綺麗な花でもルアンお兄ちゃんには敵わないよ」
どこで覚えたんだ?そんなタラシ発言は。全く最近の子は大人びてる。いつからかは覚えていないがレオンくんから毎日のようにアプローチされている。そういうお年頃なのかな。でも懐かれているのは悪い気がしないので放置している。
孤児院では世話だけではなく、掃除もしている。『助かるよ』って言われるだけで嬉しい。心の成長というのかな。鍛えられていると感じる。
「ルアンがモテてて心配…」
一部始終見ていたのかエイデンがしゅんとなっていた。いやいやいや誰が言ってんねん。
「お前ほどではないだろ」
この前クラスの女子に告白されているのを見たぞ。悲しいけど俺なんか小さい子か一部の変なやつにしか言い寄られないし、本当に好意がある人はいないと思うけどね。エイデンのやつはガチ恋勢だ。俺と比べものにならないです、はい。
ちなみになんだが修行も一緒にやっているため、なぜかエイデンの中で俺は仲良い認定されている。
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