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しおりを挟むパーティーは3日後に控えている。
早速、その日の夜、マリーは俺の所に来た。
「アレン…。パーティー怖いわ」
「マリーなら大丈夫だよ。それに俺がついているから」
パーティーなんて生まれてから参加したことがないため、不安になっているマリー。
まず、俺たちは屋敷から出たことがない箱入りだ。 マリーは俺のベッドの中に入ってきた。
「ねぇアレン。いつものして」
いつものは決まっている。 俺はマリーのおでこにキスした。そして、マリーは安心して眠った。
そして、パーティー当日。
「お母様、聞いてないです」
鏡に映っている俺は、マリーにそっくりな女の子になっている。
「ごめんね。アレン」
申し訳なさそうに謝るお母様。俺がなぜこのような格好をしているかというとマリーが熱を出してパーティーに参加できなくなったためである。このパーティーは必ずマリーは参加しないといけない理由があった。
それは婚約者候補を決めないといけないからだ。このパーティーで偉いところから申し出があればあるほど有利のため、必要だった。これは可愛い妹のためだと思い、俺は腹をくくった。
俺とマリーに甘い両親であるため、あの事件(オスカーが俺を襲った)があって、過保護さが増している。
「こんな可愛くなっちゃって心配だわ…」
母親はこの後めちゃくちゃ悩んでいた。
マリーのように長い髪。ナチュラルなメイクとアメジスト色の綺麗な豪華なドレス。慣れないヒール。まさか、この歳で女装するとは考えてみなかった。
「もしかして、アレン…?」
部屋にはマリーが眠っていて、俺は少し外の空気を吸いたくて、庭に出ると、聞きなれた声が聞こえてきた。
「ハリー、こんばんは」
「びっくりした。…アレン、すっごく綺麗」
俺の女装姿を見て手の甲で口元を押さえるハリー。
「マリーが熱を出しちゃって、俺が代わりにマリーを装ってパーティーへ行くんだ」
「そうなんだ…。やだなぁ、僕なんかがなんも権利ないけど、…アレン、行かないで。心配だよ」
「ハリーありがとう。俺なら大丈夫だよ。お父様やお母様も一緒だから」
「そっか。仕方ないよね…」
眉を下げ、寂しそうな顔をするハリー。
「心配してくれて本当にありがとう。またパーティーから戻ってきたときは俺と遊んでね?」
「っ!うん、もちろんだよ」
ハリーは本当優しい。ゲームに登場していたら推していたのに。
そして、両親の準備も終わって馬車でパーティー会場へと移動した。ここの世界に転生してきて初めて、家から出る解放感と好奇心。ちょっと緊張した。
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