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しおりを挟む「そんな緊張なんかしなくていいよ」
いや、それは無理です。なんて言えないので、
「ご、ごめんなさい。今日パーティーに初めて参加して、それに家族以外の人とあまり話したことなくて…。リアムみたいな素敵な方と話すなんて私にはハードルが高すぎて…」
とりあえずそう言っておこう。
本当のことだし。あと、推しだし。
「そっか。マリーは可愛いね」
よしよし、と俺がいつもマリーにするようにリアム様は俺の頭を撫でた。
「優しくしていただきありがとうございます。少し緊張がとけてきました」
頑張ってリアム様と顔を合わせ、笑みを浮かべた。すると、バッと目を逸らされてしまった。
え。悲しい。頑張ったのに。
ちょっと傷ついた。
「す、すみません。今度は僕が緊張してきました」
頬を赤くし、慌てるリアム。なんだ子供らしい反応もするんだな。
「ふふ、リアムは面白いね」
「…っ!もう僕の心臓を悪くさせないでくれ」
リアム様は小さい頃から良いキャラだったんだな。このパーティーイベントに参加できてラッキー。多分俺だけが知っていることだ。
「マリーのことを教えてくれないか?その、知りたくて」
「いいよ。そのかわりリアムのも教えてね」
「もちろん」
お互いの趣味やいつも何をしているかなど他愛もない会話をした。
「へぇ、マリーはお菓子も作れるのか。すごいね。今度食べてみたいな」
そうだ。俺の妹のお菓子はすっごく美味しい。
リアム様とならマリーとくっついてほしいな。こんな良いキャラとあんな可愛い妹のマリーだ。きっと気が合うに違いない。
とりあえず、マリーの良さを伝えて好きにさせ、婚約者候補の申し出をさせないと。
「ふふ、いいよ。将来私の旦那さんになったらね」
どうだ。どうだ。
「…いいのか?」
目を見開いて、ゴクンと、息をのむリアム様。
「もちろん。あ、いやならいいけど」
「いやなわけがない!!僕以外の奴と一緒になるなんて想像しただけで今死にそうになった」
「リアム大袈裟だよ」
「真剣だよ!」
「そっか。ありがとう」
あぁ、推し尊い。心の中で手を合わせる。
長く話したおかげで、敬語も使わず、同級生のように話せた。
「リアム、挨拶の時間よ」
すると、遠くの方でリアムを呼ぶのが聞こえてきた。 そうだ、リアム様は王の息子だ。他の人たちとも顔を合わせないといけない。
「またマリーに会える日を楽しみにしているよ」
「うん、私も」
そう言って、座っていた椅子から立ち上がろうとしたら慣れないヒールのせいで体がよろけてしまった。
「わぁっ!」
「マリー!」
盛大に転んでしまった。しかもリアムを押し倒してしまった。
ってあれ?何か口に当たって…。
目を開けると、リアム様とキスをしていた。
え。
「ご、ごめんなさい…!!ケガは?」
俺はすぐに退いた。やばいやばい。俺はなんてことをしてしまったんだ。
運良く陛下は見ていない。
いくら事故でも王族にキスなんてしたってバレたら…、『マリー嫌われの道へ』うわああああ。だめだ、だめだ!!!
処理できない情報量に頭を抱える俺。
すると、ゆっくり体を起こしたリアム様。
「ケガはしていないよ。マリーとならもっと素敵な場所でしたかったな…、ってマリー?泣いているの?」
もうここはウソ泣きだ!!
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