ヤンデレBL作品集

みるきぃ

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◆親友の裏切り

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主人公受け
小野琥太郎


親友攻め
高橋莉玖


その他
花村カナ



◇◇◇





「なあ、りく聞いてくれ!」


俺、小野琥太郎は親友のこのモテ男くんこと高橋莉玖にビッグニュースを言いたくてたまらなかった。



「そんな嬉しそうにどうしたの、コタ」



俺の部屋のベッドで横になって漫画を読んでいたりくはそれをやめて俺に耳を傾けた。


「じ、実はな!こんな平凡な俺についに………っ!!」


「なに」


「ついに春が来たんだよーーーーーーーーーーーー!!!!」


嬉しくて後半、窓を開けて叫んでしまった。

やべ、近所迷惑になる。



「コタ、春って何。ちゃんと言わなきゃ分からない」


「あーもう分からないのかよ!俺に彼女ができたってこと!!」


もー、モテ男のくせにこんな簡単なことも分からないのかよ。


「は?」


「初めての彼女だぜ。もう小さくて可愛いの。俺のことコタくんだって!やべっ鼻血…」


「なにそれ、俺聞いてない。誰?」



「だって言ってないもーん。お前に言うとすぐ持ってかれそーでこわかったし内緒にしてた、ごめんねモテ男くん」



ペロッと舌を出してお茶目に謝った。

最後、ちょっと嫌味くさかったかな。


「彼女ってどこの誰?名前は」


「えーそんなに知りたい?」


「うん」


「仕方ないなー、もう少し焦らしてから紹介しようと思ったんだけどなー。ゴホンっ…えっと実は隣のクラスの花村カナちゃん!あっちもずっと俺のこと気になっていたとか言ってくれちゃってさ、もうどうしよう幸せ過ぎて死ぬ」



「………クソ女が」



「ん?なんか言ったか?りく」



「いや、別に。で、なんか進展あったわけ?」



「そ、その実は…手を繋いじゃった」



思い出しただけで照れる!

どうしよう!!!




─ぎゅっ


「こういう風に?」


「お、おい!勝手に俺の手を触るな!そして恋人繋ぎするな!離せ!!」



ブンブンと手を振って離れた。


ったく。

カナちゃんとの思い出が消えるだろうが。



この手はもうカナちゃんと手を繋ぐためにある。

なんつって俺ってば何言ってんだ。







「でも何でコタ俺に言ってくれなかったの」


「だーかーらー、さっきも言ったけどお前モテんじゃん。俺がいいなーって思った子すぐお前に惚れるしそれが嫌だったの」


お前に俺のこの切ない思いがわかるか。



「あ、そうだ。りく、俺明日から一緒に帰れないから」


「は?」


「だ、だって俺…カナちゃんと帰るもんっ!」


「へー」


「ふふ、悔しかったら早くお前も本命を見つけることだな」



「本命ならいる」


「えぇ!?まじ!?」


突然なことに驚く。


「うん、いるけど」



「な、なんで告白しないの!?お前って男がよ!」



もったいない!!!



「そいつ恋人いるし」



「まじかよ!!せつねー!」


ドンマイとしか言いようがねぇ。


「うん、俺今かなり焦ってる」



「じゃあ、奪っちゃえば?(笑)」


半分冗談だったが、お前ならかっこいいし、結構気が良いし、女はイチコロだと思うけど。



「うん、そのつもり」



「お、やるねー!りくくん。さすが男っ!」


モテ男はやることのスケールが違う。


俺なら叶わないと思ったらすぐ諦めるわ。

だって、相手側の彼氏から恨み買うかもじゃん!


恐ろしくて俺には無理だ。




「とりあえず、りくの恋が実りますよーに」


お祈りでもしておこう。



「ははっ。かわいいなコタは。お前に言われると実る気がする」


「おっ!嬉しいこと言ってくれるね!もっと言ってやろうか!みのちゃってくださーーい!」



「当たり前。俺が一歩引くわけがない」


「ははっ!やってやれーやってやれー!」




いつもになくやる気のりくを見るのは初めてだ。






そんなに本気なんだなー。

一体どんな子だろ、りくの本命。



──────
───────
────────

……。




キーンコーンカーンコーン




「カナちゃん!帰ろ」


「待ってねコタくん」



俺はただいま隣のクラスの彼女、いや、カナちゃんの帰りを待っている。


これこれこれこれ!

これがしたかったんだよな。

彼女を待って一緒にラブラブで帰るってやつ!


おーーーー!!最高ー!!


「ごめんね待たせちゃって…」


「いやいや!俺、カナちゃんのためならいくらでも待ってるからさ気にしないで」


「コタくん優しい」


「カナちゃんにだけだよ」


「ふふっ、嬉しいな」



どうしよう!!!テンションやべぇぞ。


周りから見たらリア充に見えてんだろうなー。


この前までリア充爆発しろとか言ってましたー!ごめんちゃい。




「じゃあ、帰ろっか」


「うん!」



俺はカナちゃんの柔らかい白くて細い手を握って家まで送った。



「コタくん。家まで送ってくれてありがとね」


「どうも!俺が送りたかったし、こんな可愛い子一人で帰させることなんてできないよ」


「ふふ、コタくん嬉しいこと言ってくれるね!大好き」


ちゅっ、


「えっ!?」


「また明日ねバイバイ」



と手を振りながらカナちゃんは家の中へと入っていった。





やばい。


突然、口にキスなんて…。


今、絶対顔赤い…っ。

初めてのキスしちゃった!!!




嬉しすぎて頭がおかしくなりそうだ。



ずっとその帰り、唇を触りながら帰った。


多分、周りに変態とか思われたかも。










「──ただいま」


「お帰りコタ」


「おっ!りく来てたのか」


「そうだよ。コタは花村さん送ってたの?」


「う、うん。もちろん」




やばい…あのキスをまた思い出して照れる!


「どうしたの?そんな顔赤くして」


「べ、別にちょっとね」


これはカナちゃんと俺の秘密。




「ちょっとって?」


あれ?なんか知らないけど壁に追いやられているんだけど!?



「ちょっとは、ちょっとだよ」


「知りたい」

「やだ」

「なんで」




「恥ずかしいから」


「言わないの?」


すでにりくに包囲された状態で見下ろされて怖い。



「も、もう仕方ないな。お前にとったら別に小さいことで…」


「なに」



秘密だったけど親友にのろけ話を言うぐらいいいよな。皆してることだし。



「じ、実はカナちゃんにキスされちゃった…」


本当は俺からする予定だったけど付き合ったばっかでそれはまだ早いかなって思っていた。


けどまさか、カナちゃんからされるなんて夢にも思わなくて嬉しすぎて舞い上がったもんだ。





「キスだと?」


「う、うん。柔らかかった…どうしよう」



恥ずかしくて穴があったら入りたい。





「へぇ、キスしたんだ」


「お、おう。早いかな…?」


「さあどうだろ」


りくなんか怒ってる?



あ、そういや

りくの本命って誰かと付き合ってるんだっけ。


俺、無神経すぎたかも。

自分のことに浮かれていてりくのこと考えてなかった。




「あ、りくはどうだった?昨日やる気出てたみたいだけど…本命ちゃんのこと」


「あー、うん。まあ、ゆっくり奪うつもりだったけど今、気がかわった。明日すぐ奪う」



「お!ついにか!がんばれよ!お前はできる男なんだからな!……もし、いや、ないと思うけど、もしな!万が一、フラれたとしても俺が慰めてやるから」


「ふっ、ありがとう。じゃあ俺帰るね」


「おう。また明日な!」




俺はこの時、明日くる嵐に気づかなく、今日のカナちゃんからのキスで頭がいっぱいで浮かれてた。











「えっと、カナちゃん…もう一回言って?」


「あのね、私他に好きな人ができたの。お願い別れてください」


「なんで…急に言われても意味が」


昨日テレビの番組で見たドッキリとかであってほしい。


だけどカナちゃんは今にも泣きそうな顔で本気だってことが嫌でも伝わってきた。



「ごめんなさい。もう別れて。だから終わり、またね。私急いでいるから」


急に別れ話されても突然のこと過ぎて頭が真っ白になる。


「嘘…まじかっ」


カナちゃんが立ち去ったあとやっと現実を受け止めていく。




俺、フラれたんだ…。

そう思ったら途端に涙が出た。




なんで…カナちゃん。


俺は放心状態のままでどうやって家に帰ったのかさえ覚えていなく、すぐさま部屋のベッドの中にこもった。





もう何時間泣いているんだろ…

なのに涙が止まらない。




「…っ」


俺、信じたくない。


“他に好きな人できた”

誰なんだよ。

もう意味わかんね。





─コンコン


「コタいる?」


「えっ…りく?」


俺の返事なしにガチャとドアが開き、普段通りりくが入ってきた。











「どうしたの?コタ」


ど、どどどうしよう。

泣いているのがバレる。




「コタ。おーい」


考えている暇もなく布団を奪われた。




「コタ?」


「あーぁ。っ、かっこわりぃとこ見られちまった…」



「どうしたの?こんな赤くなるまで泣いて」



「……っ、お、俺、…カナちゃんに…フラれちゃった」



また、

涙が出てくる。とまらない。



「コタ…っ」



すると、りくはぎゅっと俺を優しく抱き締めてくれた。



温かい。



「お、俺、…どうしよ、急で…意味がわかんなくて…っ」


「コタはなにも悪くない。あの女が見る目ないだけ、コタはそんな泣かなくてもいいんだよ」



「りくぅっ…」


なんてお前は優しいんだ…。


俺は、わんわんりくの胸のなかで泣いた。










「…コタ、もう落ち着いた?」


「…うん。ありがとう」


りくのおかけでさっきよりは平気。


「良かった。もう夜遅いし、さっきおばさんに泊まっていいって言われた」


「そっか。ベッド狭いけど大丈夫か?」


「大丈夫だよ、コタが小さいし」


「お前な…っ!」


「ははっ」


やっぱ、りくっていいやつ。



俺、当分はリア充じゃなくて友充でもしておこう。


さっきまで死にそうだった俺のことを救ってくれた。

りくがいなかったら今ごろ本気でやばかったし。



「あっ、そういえば俺のことばかり聞いてばっかだったけど、お前はどうだったんだ?例の本命の子と…」


「うーん、別れさせることには成功したみたい」


「へえー!まじかよ」


「うん、だからコタ俺と付き合って」


「……え?」


「俺の本命コタ。あんな女のために可愛い顔して泣くな。ムカつく。俺のことだけ考えて?」



「ちょ、ちょっと待って…よく話が見えないんだけど」


「本当にわかってないの?俺、コタと出会ったときから好きなんだけど。毎日コタとセックスすることばかり考えてたほどにね」


「嘘…冗談だよな?」


今の話だと、カナちゃんと別れた原因…って、


「冗談じゃないよ、昨日言ったじゃん。本命の子のために別れさせるって」


「やだ…っやだやだ信じたくない」


「なんでそういうの?コタも俺の恋が実りますようにとか奪っちゃえって言ったじゃん」



「そんなことだとは思わなくて…」


「それはコタのせいでしょ。俺、本気でやばかったよ?手を繋ぐまでは抑えきれたけど、あの女コタのこの唇にキスしたんでしょ?ははっ、まじ許せない我慢できなかった」


俺の唇に触れる。


「ありえない」


「ありえないって?ありえないのはあの女だよ。ちょっと俺が優しくしたぐらいでコタ捨てられたんでしょ?そんな女と付き合ってる自体で間違い。コタは俺としか似合わない」


「勝手に決めんな!俺がどんなに…どうして」


「どうしてって言われてもな。コタが好きだからしょうがないじゃん。恋は盲目って言うからね。だから付き合お?」


「無理」

「無理ってかわいくないな、俺本気で怒るよ?」


「いくら俺が好きだからって…どうして酷いことすんだよ」


「酷いことなんてした覚えないけど?逆に助けたし」


「うるさい。もう何も聞きたくない何も信じない。悪いけど今日帰ってくれる?…うわっ!」



「俺、本気で怒るって言ったよね?…琥太郎」


名前で呼ばれ

ビクッて体が震える。



「…りくっ…まって…んンっ」


 りくの顔が近づいてきて熱くキスを交わす。



「あー、コタ好き大好き早く俺のもんになって…チュッんん」



深く口づけながら俺のシャツを脱がしていく。



「や、やめ…ろ…りくっ!」


「俺、ちょー辛かった。だから覚悟して?」


「や、やだ…おね…お願い…っ」


「そんなにうるさくしたら家族にコタの甘い声が聞こえちゃうよ?」


「…っンん!」


「感じてるの?それに俺を受け入れてくれなきゃカナちゃんに酷いことしちゃおうかな?」


「そ、そんなっ!!…な、なんで…ァンん」


今、こいつ俺の乳首を舐めた!



「だって、あの女俺のコタを奪ったし、触れやがったから。…でもコタが俺を受け入れてくれたら考えてもいいよ」


「そ、そんな…っあんん」

急にフラれて急に親友って思ってたやつにコクられて全部が全部突然で頭が回らない。



「ほら、どうする?」


「わ、わかったから…受け入れるからカナちゃんには何もしないで…っ」


もう最後は逃れたくてそう言葉を口走った。


「分かればいいんだよ。でもあの女のためだと思ったらムカつくけどそこは我慢してあげる」




「も、もういいだろ…離れろよ」


「やーだ。付き合った記念にもっと俺とイイコトしようかコタ」



いつからだろう。

りくがこんな奴になったのは。



それから俺はりくに縛られて最低限りくの隣にいるようになった。





















「コタ。俺以外と話したり目を合わせたりしてみろ、…殺すよ?」





俺の人生はもうりくに従うことしかできない。




【完】




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