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第弐幕
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「御金は?御金は如何するの?」
少女の声に、はっ、と我に返る慎太郎。確かに今は文無しで在る。
「此処は信州よ?江戸迄は未だ未だ距離が在るわ。どうせ道も分からないんでしょう?」
信州と聞いて、更に慎太郎は青褪めた。江戸とは反対の方向へ進んで居たからだ。信州は現在で云う長野県で在り、蕎麦の名産地。道理で蕎麦が美味い訳だ。
慎太郎は赤城の山から山脈沿いに南下した。南に行けば江戸に到着する。間違いではないのだが、其の為には山脈沿いではなく、街中を縦断する形でなければ為らない。此の時代には地図と云う物は普及して居ない為、大きな街道を頼りにするか、現地の人間に話を訊かなければ、目的地には辿り着けない。現地の人間と云えど近隣の地理に詳しいだけで在るのだから、基本的に街道を外れれば遭難は必至。と為れば、生きて居るだけでも儲け物では在るのだが。
「丁度良いわ、此奴等が煩くて此処じゃ仕事にならないし、纏まった御金も入ったしね」
じゃらりと云う音と共に少女は金の詰まった巾着を二つ掲げると、悪戯っぽく笑った。御茶目と言えば然うなのかも知れないが、して居る事がして居る事だけに、慎太郎は笑うに笑えない。
「私は楓。宜しくね」
然う言い放つ少女は、再び慎太郎に尻を向けて居た。如何やら、小兵の調査に御執心の様で在る。
「勝手にしろ」
年頃の娘らしからぬ所作に慎太郎は溜息を吐くと、面倒臭そうに空を見上げた。小雪の舞い散る、薄暗く曇った空で在った。
少女の声に、はっ、と我に返る慎太郎。確かに今は文無しで在る。
「此処は信州よ?江戸迄は未だ未だ距離が在るわ。どうせ道も分からないんでしょう?」
信州と聞いて、更に慎太郎は青褪めた。江戸とは反対の方向へ進んで居たからだ。信州は現在で云う長野県で在り、蕎麦の名産地。道理で蕎麦が美味い訳だ。
慎太郎は赤城の山から山脈沿いに南下した。南に行けば江戸に到着する。間違いではないのだが、其の為には山脈沿いではなく、街中を縦断する形でなければ為らない。此の時代には地図と云う物は普及して居ない為、大きな街道を頼りにするか、現地の人間に話を訊かなければ、目的地には辿り着けない。現地の人間と云えど近隣の地理に詳しいだけで在るのだから、基本的に街道を外れれば遭難は必至。と為れば、生きて居るだけでも儲け物では在るのだが。
「丁度良いわ、此奴等が煩くて此処じゃ仕事にならないし、纏まった御金も入ったしね」
じゃらりと云う音と共に少女は金の詰まった巾着を二つ掲げると、悪戯っぽく笑った。御茶目と言えば然うなのかも知れないが、して居る事がして居る事だけに、慎太郎は笑うに笑えない。
「私は楓。宜しくね」
然う言い放つ少女は、再び慎太郎に尻を向けて居た。如何やら、小兵の調査に御執心の様で在る。
「勝手にしろ」
年頃の娘らしからぬ所作に慎太郎は溜息を吐くと、面倒臭そうに空を見上げた。小雪の舞い散る、薄暗く曇った空で在った。
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