【完結】社畜の俺が一途な犬系イケメン大学生に告白された話

日向汐

文字の大きさ
3 / 5

お前さ、俺のどこがいいの

しおりを挟む


運ばれて来たワインと食事はどれも上品で、普段安酒と、ただ味が濃いだけのつまみばかり食べてる俺には、正直良し悪しは分からなかった。
ただ美味いのは間違いない。
隣で俺を観察しては顔を綻ばせている早川に尋ねる。

「お前さ、俺のどこがいいの。お前なら可愛い女の子からも引く手数多なんじゃねぇの?」
「伊織さんは、俺の…癒しだから」
「癒し?」

えへへ、と笑った早川は、前髪をちょっと弄ると、照れた様子で話し始めた。

「俺、本屋でバイトしてたとき、伊織さんに助けられてるんです。」
「…?いや、お前と会ったことなんてねぇぞ」
「その時は髪も黒くて、メガネもしてたし。俺、初めてのバイトで、緊張して倒れちゃって。それを、伊織さんに助けてもらったんです。」
「あ!」

思い出した。1年前、暇つぶしに入った本屋で、偶然、目の前で倒れた青年がいたことを。
俺の記憶では、目の前のイケメンとは、とても似ても似つかない、なんだかモサッとした男の子だったイメージだったが…。

「意識が朦朧とする中で、伊織さんの声を聞いて、すごく安心したんです。伊織さんの、繊細な優しい声。」
「…」
「それで、ぼやける視界に、伊織さんが映って。あー俺の天使だって。」
「天使…」

何言ってんだコイツ…。
と思いつつも、早川の強い眼差しに、胸の奥がジリジリして、言い返す気力が失われる。男に天使はないだろ、ましてや俺に。とは思うが、不思議と悪い気はしなかった。

「それから伊織さんにまた会いたくて、バイトも頑張ったんですけど…」
「あの本屋、あんま行かねぇからな」
「うん。会えなかった。でも俺、次会った時は伊織さんに釣り合う男になろうって、美容院なんか行ったりして」
「それで金髪?」
「絶対似合うって勧められてやったんだけど、やっぱ俺には派手だし、バイトもクビになっちゃったし、散々でした。」

いや、似合ってるよ。
目の前の男は黒髪でも金髪でも、なんならピンクやブルーでも似合ってしまいそうだ。素材が違う。

「スーパーで会ったあの日は、サークルの仲間と喧嘩しちゃって。結構落ち込んでたんです。そんな時にまた偶然伊織さんと会えて。」
「…あれで落ち込んでたのか?」

あの日の意味不明なやり取りを思い出す。
めちゃくちゃ上機嫌だったような気がしなくもないような…

「伊織さんと会えたら、落ち込んでたこととか全部吹っ飛びました!」
「ああ、そう」
「もう絶対逃がさない!って思って、そのまま告白しちゃって」
「…」

単純なやつ。
早川は、そのままうっとりとした表情で俺を見つめる。

「ずっと、好きだったんです」

トクンと、胸が鳴った。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

休憩時間10分の内緒の恋人チャージ(高校生ver)

子犬一 はぁて
BL
俺様攻め×一途受け。学校の休み時間10分の内緒の恋人チャージ方法は、ちゅーとぎゅーの他にも内緒でしています。

天使から美形へと成長した幼馴染から、放課後の美術室に呼ばれたら

たけむら
BL
美形で天才肌の幼馴染✕ちょっと鈍感な高校生 海野想は、保育園の頃からの幼馴染である、朝川唯斗と同じ高校に進学した。かつて天使のような可愛さを持っていた唯斗は、立派な美形へと変貌し、今は絵の勉強を進めている。 そんなある日、数学の補習を終えた想が唯斗を美術室へと迎えに行くと、唯斗はひどく驚いた顔をしていて…? ※1話から4話までは別タイトルでpixivに掲載しております。続きも書きたくなったので、ゆっくりではありますが更新していきますね。 ※第4話の冒頭が消えておりましたので直しました。

借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます

なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。 そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。 「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」 脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……! 高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!? 借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。 冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!? 短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

美澄の顔には抗えない。

米奏よぞら
BL
スパダリ美形攻め×流され面食い受け 高校時代に一目惚れした相手と勢いで付き合ったはいいものの、徐々に相手の熱が冷めていっていることに限界を感じた主人公のお話です。 ※なろう、カクヨムでも掲載中です。

人並みに嫉妬くらいします

米奏よぞら
BL
流されやすい攻め×激重受け 高校時代に学校一のモテ男から告白されて付き合ったはいいものの、交際四年目に彼の束縛の強さに我慢の限界がきてしまった主人公のお話です。

彼はオレを推しているらしい

まと
BL
クラスのイケメン男子が、なぜか平凡男子のオレに視線を向けてくる。 どうせ絶対に嫌われているのだと思っていたんだけど...? きっかけは突然の雨。 ほのぼのした世界観が書きたくて。 4話で完結です(執筆済み) 需要がありそうでしたら続編も書いていこうかなと思っておいます(*^^*) もし良ければコメントお待ちしております。 ⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。

姉の男友達に恋をした僕(番外編更新)

turarin
BL
侯爵家嫡男のポールは姉のユリアが大好き。身体が弱くて小さかったポールは、文武両道で、美しくて優しい一つ年上の姉に、ずっと憧れている。 徐々に体も丈夫になり、少しずつ自分に自信を持てるようになった頃、姉が同級生を家に連れて来た。公爵家の次男マークである。 彼も姉同様、何でも出来て、その上性格までいい、美しい男だ。 一目彼を見た時からポールは彼に惹かれた。初恋だった。 ただマークの傍にいたくて、勉強も頑張り、生徒会に入った。一緒にいる時間が増える。マークもまんざらでもない様子で、ポールを構い倒す。ポールは嬉しくてしかたない。 その様子を苛立たし気に見ているのがポールと同級の親友アンドルー。学力でも剣でも実力が拮抗する2人は一緒に行動することが多い。 そんなある日、転入して来た男爵令嬢にアンドルーがしつこくつきまとわれる。その姿がポールの心に激しい怒りを巻き起こす。自分の心に沸き上がる激しい気持に驚くポール。 時が経ち、マークは遂にユリアにプロポーズをする。ユリアの答えは? ポールが気になって仕方ないアンドルー。実は、ユリアにもポールにも両方に気持が向いているマーク。初恋のマークと、いつも傍にいてくれるアンドルー。ポールが本当に幸せになるにはどちらを選ぶ? 読んでくださった方ありがとうございます😊 ♥もすごく嬉しいです。 不定期ですが番外編更新していきます!

処理中です...