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1 空の国
しおりを挟む空の上には国があった。
彼等は嵐と共にやってきて、嵐で零れ落ちた農作物を盗んでゆく。
国は2つあった。
ひとつは光り輝く雲の中に。
ひとつは吹き荒れる風と雷の雲の中に。
2つの国は協力して、地上から作物を収穫するが、地上の人たちからしたら、それはただの泥棒。
地上の人達は、空の国の人達を、見つけるたびに捕まえた。
「この者達が我等の糧を荒らして盗む。」
捕まえては石をぶつけて殺してしまう。
地上の何処かの神の代弁者はこう言った。彼等が来たら、慈悲の心を持って助けなさいと言う。天候は神の采配、誠、天候を操るなら、彼等は神の末裔である。
別の何処かの神の代弁者はこう言った。彼等はペテン師、異端者である。天候は神の采配、操れるのは神のみである。彼等は異端者。捕まえて火あぶりに。
大きな神殿に住まう神の代弁者は、異端者であるという意見を採用する。
地上を恐れた空の民は、地上に降りることをやめてしまった。
2つの空の国の、その名前は、
光の国マゴニア
嵐の国テンペスタ
これは、遠い昔の御伽話。
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