侍女は婚約が内定している俺様属性の男と縁を切りたい。

彩柚月

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 伯爵にはオスカーの言っていることがわからない。どうしたもんかと思案して、最初から説明してみることにした。
 
 「オスカー。いいか、よく聞け。——今の王権は、先々王の血筋に移行する。その血筋の御仁はもうじきに、この国に来られる。その為の準備として、その御仁の妃となるエリザベス様が、先行して離宮に居られる。これは話したな?」
 「はい。聞きました。」
 「そのエリザベス様に、リリア嬢は仕えているのだ。離宮に詰めているので、現王室メンバーの居住区には、ほとんど居なくて当たり前だ。」
 「え?あれ?そう言われれば……そうですね?あ、じゃあ、勤めているって言うのは嘘じゃなかった?」

 おお。理解したか?と続けて説明する。

 「そうだ。新しい王政のために寝る間も惜しんで働いてくださるエリザベス様を支えている、重大なお役目だ。そこに勘違いがあったとしてもだ。何故リリア嬢を詰ったりしたんだ?」

 「詰っていません。」
 「嘘はいい。」
 「嘘など……。嘘つきはリリアの方です。勤めているのは嘘ではなかったようですが、狙い済ましたように私が巡回中に会いに来るのは迷惑だと言っただけです。どうせ来るのなら、もう少し綺麗な格好をしてくれとも言いましたが。」

 「だから、それも、仕事でたまたま会っただけだろう?仕事中なのに、着飾るわけがないだろう?」

 「しかし、お茶会でも、いつも地味で……。」
 「だから、怒鳴りつけたのか?」

 「そんなことしていません。」

 「何故だ?何故嘘をつく?せめて本当のことを白状して反省したならば執りなしてやると言っただろう。私は聞いたんだ。録音されたお前の声を聞いたんだ。先日のお茶会で、リリア様を貶め、暴言を吐き、詰り怒鳴る、お前の声を。」

 「お茶会を録音?リリアはまた、そんな小賢しいことをしたんですね?これはもう。次には本当にキツく叱らないといけませんね。」

 「——何の話をしているんだお前は。」
 
 先ほど、ほんの少し理解が進んだかと思ったのも束の間、また変なことを言うこの息子の言っていることが全くわからない。

 「だから、リリアが、ボクの言うことを全く聞かないっていう話でしょう?」

 「——何の話をしているんだ!」

 
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