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しおりを挟む「何故そうなるんだ。お前は、リリア嬢を勘違いで嘘つきだと罵り、暴力を振るい、お前を好きだと勘違いをして大きな態度を取り、容姿を気に入らないと貶め、頭が飾りなどと暴言を吐き、改善しなければ結婚をしてやらないと、脅迫したんだ!」
「え?違いますよ。」
「——は?」
「暴力…暴力って、何だろう。殴ったり蹴ったりしたことはありません。」
「王宮で、腕を強く引っ張ったんだろう?陛下やそのお付きの方にも見られたそうじゃないか!」
オスカーは少し思案してから答える。
「——ああ。あれですか。リリアが居住区にまで入り込んできたので、流石にそこまで会いに来られるのは迷惑だったんです。だから、リリアを追い出そうとして少し引っ張ったことはありますが、それだけです。」
「十分な暴力だろう!それに、お前に会いに行ったわけではないと何度言えば……。リリア嬢は、お前のことなど、好きではない。むしろ会いたくないと言っていた。」
「やっぱりリリアは嘘つきですね。最初からボクに好感を持っていたはずです。彼女が本当にボクに会いに来ていました。勤めているのが本当だと聞いて、少し考えてみましたが、さっき言った通り、あまりにも頻度が多すぎます。仕事にかこつけて会いに来てたんじゃないですか?お茶会でも、ボクが待ったことはありませんし。」
「出会したのは偶然だ。彼女は真摯に仕事をしていたんだ。それに、待ち合わせに少し早く行っておくのは常識だろう?」
「まあ、そうかとしれませんけど、ボクのことを好きなんだから、少しはボクの好みに合わせてくれたって良いですよね?だから、わからせるために、ボクの好きなお菓子やお茶が用意されてない時は、わざと席につかずに帰ってやりました。リリアはいつも上からボクを見下しているような目をするんです。そんなのおかしいですよね?よく考えたら、ボクが夫になるんですから、ボクの意向に添うのは妻の役目では?だから、リリアを教育してあげないとと思って。」
「教育…だと…?」
「お母様だってお父様の言うことを良く聞いているではありませんか。ボク、考えたんです。そんな風になってもらうにはどうしたらいいかなって。ボクなら、叱られたら悲しくなってしまいます。そしてものすごく反省するんです。もっと叱られたら、死にたくなったこともありました。でも、そうやって反省して、言うことよく聞いたら、皆、優しくしてくれました。だからリリアも反省してくれたら良いなと思って強く言ったんです。でも、全く言うことを聞いてくれないから。死にたくなるほど強く言えば、流石に言うことを聞いてくれるかなと思って。リリアが従順になったら、優しくしてあげるつもりでした。」
伯爵には、爽やかな笑顔でそんな戯言をぬかす息子が、化け物に見えてしまう。これが、あの可愛らしいオスカーなのか?
「なんてことを考えていたんだお前は……!」
「え?ボク、何か間違えましたか?」
「従順にならなくてはいけないのは、お前の方だと何故わからなかったんだ。お前はただ、従順にリリア嬢の意向に添っていれば、未来は安泰だったんだ。お前は婿に貰ってもらう立場だったんだぞ?仕事もしなくていいという条件だった!マリノル家は侯爵だ!リリア嬢は侯爵家の姫なんだ!なのに、下の立場のお前が教育をしようとしただと?あちらとしては、婿に来るのはお前でなくても良かったんだ。それを同志の吉見と、頼み込んでお前を据えてもらったのに。台無しにしたんだぞ!?」
「え?そうなんですか?」
「リリア嬢とお前の婚約はなくなったんだ。お前には謹慎を命じる。」
「えー……じゃあ、しょうがないからリリアに謝りますよ。次のお茶会の時で良いですよね?」
「婚約がなくなったのに、お茶会が継続されるわけがないだろう!?——何故、どうしてなんだオスカー。私はずっと、お前は心優しい息子だと思っていた。なのに、何故こんな化け物のような考え方をするんだ!」
「化け物なんて酷いです。お茶会がなくなるのなら、どうやってリリアに会えば良いんですか?」
「2度と会えるわけがないだろう!もう王宮にも行かなくていい!」
オスカーを部屋に連れて行かせ、外鍵をつけた。見張も置いた。この息子を閉じ込めておかねば、安心できない気がしたのだ。
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