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5 手伝いの手伝い
しおりを挟む次の日も、ラナは手伝いに町へ行くという。
「毎日、続けているんですか?いつから?」
「ええ。もちろんです。病が流行り出した頃から、でしょうか。最初は戸惑いましたけど、今じゃ慣れたものですわ。」
ふむ。とセインは考える素振りを見せてから、
「ついて行かせてください。もちろんできる限り手伝いますので。」
「まあ、人手が増えるのは大歓迎ですわ。」
コロコロと笑顔を見せて、今夜も疲れるだろうから、泊まれるように準備しておいてほしいことを領主夫妻に頼んでから出掛けた。
領主夫妻が部屋の準備をするのか?と疑問に思ったものの、まず診療所へ向かった。
昨日と同じく患者が溢れている。さすがに、ここの医師の所長や処方を無視するわけにはいかないので、言われた通りに患者の移動を手伝い、診察の準備、服の着脱などを手伝う。
ラナは何をしているのかと思えば、患者の歩行補助や清拭などをしながら、生活で困ったことがないかなどと話している。
正直、診療のプロではないので、できることはこの程度だ。ここまではセインにとっても予想範囲内で、この先がラナの本領発揮らしい。
「先生、私、今日はこれで抜けますね。患者さんたちのこと、よろしくお願いします。」
と言って、出ていく。慌てて私も、
「ラナお嬢様についていきますので失礼します。」
と言って出てきた。
そして昨日と同じように、洗い物や買い物をしたと思ったら、その際出会った人の困ったことを聞いて、解決するべく走り回る。
セインもそれについて回り、手伝いをするラナお嬢様の手伝いをした。1日が終わる頃には、精魂尽き果て、指も動かせないほどに疲れたのだった。
「何故、ここまでするのです?この間の熱も疲れからくるものでしょう。」
せめて疲労回復の丸薬をミルクと一緒に出しながら聞いてみた。
「何故……かしらね?」
「自分でもわからないと?」
「ううん。理由がたくさんありすぎて、言葉にならないのです。」
「理由がたくさんある。ですか。」
意味がわからない。この土地はもうダメだと言っているではないか。手伝うなら、荷物をまとめるとか、日持ちする食料を作るとか、そういう手伝いをするべきなのだ。なのに、このお嬢様は、人々がそこに生き続けられるよう手伝っている。
「明日も手伝ってくださるなら、夕方に一緒に丘に登りませんか?」
ラナお嬢様が提案する。
セインが居れば居るほど、この土地の浄化が進む。事実、病人もこの数日で随分減り、見えている瘴気もずいぶん薄まった。それは良くない。何故なら自然に反しているからだ。
長くいるつもりならともかく、そうでないのなら、この一時的な土地の回復が人々に希望を与える前に、良くなっていると勘違いさせる前に、立ち去るべきだと思っていた。
しかし。ラナお嬢様に興味を持ってしまったセインは、もう少しだけ、と、
「体力が残っていれば。」
と、答えた。
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