笑える平日

Shinari(しなり)

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月曜日の憂鬱ーー大人の小さなパニック

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 週の始まりは、この世の終わりの如く訪れる。
 目覚まし時計の音は囁く。
「さあ、試練の時間だ」と。

 あぁ、
 まだ土曜日の明け方であってほしい。

 学生時代からそうだったーー
 テスト前日や日直の前夜、私はひそかに願っていた。
「明日、学校が消えてしまえばいいのに」と。

 大人になった今も、思う。
 停電とか、システム障害とか、人命に関わらない程度の災厄を……
 そんな事態を心の片隅で期待してしまう自分がいる。
 もちろん、そんなことで得する人はいないし、起きてはいけないことだと頭では理解している。
 でも、
 心の底でほんの少し「もしも……」と考えてしまう。

 こんな不謹慎ないことを考えてしまほど、"働く"とはこんなにも罪深い行為なのだろうか。
 なんて残酷なんだろう。

 そして、職場の人の顔を思い浮かべては、なぜかみんな敵に見えてしまう。
 極悪人がいるわけでもないのに…。

 それどころかみんな良い人ばかりだ。
 社長も、私の教育をしてくれる先輩も、同僚もみんな頑張っている。
 本当に頑張っている。

 それなのに、
 働くことがまるで命懸けかのように感じてしまう。
 職場に行ったところで銃で撃たれるわけでも、捕食されるわけでもない。
 それでも私は、なぜか本能的に“家という安全地帯”を求めている。
 仕事とは、結局のところ“狩猟”なのかもしれない。

 だから私は、月曜日に全力を出さないことにしている。
 まずは「おはよう月曜日。今日はあなたに会えただけで、私はすごくエネルギーを使います。どうか、お手柔らかにお願いします」と挨拶。

 こうして朝起きて出勤の準備をし、満員電車に乗ってるだけでもう100点満点だ。

 通勤中はまだ仕事じゃない。
 会社に着くまでが"家"だ。
 通勤中、私は心の中で朝礼を始める。
「皆さん、今日もよく起きました。会社に着くまでが家です。焦らず行きましょう」
 誰も聞いていないけど、私は自分にマイクを向けて話している。
 どこかの校長先生スピリットだ。

 仕事のことは会社に着いてから考えればいいーー
 月曜日の重力は、このぐらいでやっと持ちこたえられる。

 朝礼のスピーチが終わる頃、ようやく会社に着く。

 仕事に取り掛かってみると、意外と苦ではない。
 朝の、いや前日夕方の「あぁ、明日…」という絶望感は何だったのだろうか。
 これではまるで大人版イヤイヤ期である。
 もしくは単なる「週の初め恒例パニック」かもしれない。

 何ごともなかったように、午前中の作業は捗るものだ。
 そして、敵だと思っていたあの人も案外優しくて、静かに助けてくれる。
 脳はまだ半分寝ているのに、手だけは淡々と仕事をこなす。
 この矛盾こそが、月曜日の奇妙で、少しだけ愛おしい一面である。

 そうやってなんとか月曜日をやり過ごすと、火曜日には小さな勝利感が待っている。

 そして冷えたビールを一口
 ――それが、私にとっての人生の小さなご褒美。
 月曜日よ、あなたは依然として残酷だ。
 けれど、私も負けてはいない。

 週の始まりはこの世の終わりの如く訪れるけれど、
 冷えたビールと共に、私は今日もどうにか生き延びた。
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