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始まりの終わり
第195話 未来へ②
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「以上で準決勝が終了し、最後の対戦カードが決定しました!決勝はC組代表カナ・ベルナール選手対、同じくC組ブラム・ベークマン選手!!この熱い戦いを見逃すな!!」
ワァァァァア!!
「はあ……まあそうなるよね……」
カナは次の対戦相手の名前を聞き、淡い期待が打ち砕かれため息をついた。
「お疲れ、カナ!」
「……!お疲れ、ジーク。」
客席で休息を取るカナに声をかけたのはジークだった。
2人は進級と共にクラスが分かれてしまったが、相変わらず交流は続けていた。しかしここ最近は忙しく、会えたのはこれが1週間ぶりだった。
「次の試合、大丈夫そう?」
「……正直すごく嫌だ……」
「ハハ、だよねえ……僕もこっぴどくやられたし……」
準々決勝でベークマンと当たったジークは、一度はベークマンを場外ギリギリまで追い詰めたのだが、火事場の馬鹿力で逆に場外に投げ飛ばされてしまった。ただ大きな怪我は無さそうなのが救いだ。
「まあ、ある程度やったら適当に場外に飛ばされようかな。クラスの順位に響きそうならともかく、もうC組の優勝は確定だし、そもそも同じクラス同士で戦う理由も無いし。」
「うんそれがいい、何より命が一番だよ……」
ジークは私の肩をポンと叩く。
「っ!」
しかし、すぐにその手を引っ込めた。
「?どうしたのジーク?」
「い、いや、たいしたことないんだけど……ちょっと腕痛めちゃって。」
「え、ちょっと見せて?」
ジークの制服の袖を軽くめくると、右手には軽い打撲痕が残っていた。
「自分じゃ治せなさそう?」
「ある程度は治したんだけど、魔力が足りないのかこれ以上なかなか治らなくて……」
「そう……じゃあ冷やしておいたほうがいいかもね。保健室に氷をもらいに行こうか。」
「いや、でもカナはこの後試合でしょ?これくらい大したことないから……」
「去年試合直前まで私の怪我治してた人がそれ言う?まだ時間もあるし行こう。」
カナはジークの左手を取って保健室へ向かった。
────────────
「お邪魔します。」
「あれ、誰もいない?」
保健室に着いたものの、そこには誰もおらず部屋は真っ暗だった。
「怪我人を迎えに行ってるのかもね。まあ、氷だけもらっていこうか。」
「そうだね。えっと、何か灯りは……あ、オイルランプがあった。でも火をつけるものがないや……」
ジークが廊下で見つけたランプは、魔導具か使用者の火魔法で火をつけて使うタイプのもので、周囲に着火用の魔導具らしきものは見当たらなかった。確か保健室の先生は火属性だったので、自身の魔法で火をつけているのだろう。
「戻してこよう……」
ジークはトボトボと引き返そうとする。
「待って、ジーク。」
「?」
「それ、持ってきてくれる?」
「え?うん、どうぞ?」
ジークはカナにオイルランプを差し出す。そしてカナはそのランプを受け取った。
「もう少し隠しておくつもりだったんだけど……ジークならいいか。これはしばらく2人だけの秘密ね。」
「秘密ってなんの……うそ!?」
そのときジークが見たのは、カナの指先に灯る炎であった。
それは、ろうそくほどの小さな明かりだった。だが同時に、この世界の"魔法"を科学が覆す道標となる、大いなる光でもあった。
乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる
~完~
ワァァァァア!!
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しかし、すぐにその手を引っ込めた。
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「え、ちょっと見せて?」
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カナはジークの左手を取って保健室へ向かった。
────────────
「お邪魔します。」
「あれ、誰もいない?」
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「?」
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それは、ろうそくほどの小さな明かりだった。だが同時に、この世界の"魔法"を科学が覆す道標となる、大いなる光でもあった。
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---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
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今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
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