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5.ソクーラの貴婦人(3)
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ソクーラの貴婦人との謁見の瞬間、ユーノは与えられた部屋にある真っ白な壁掛けが、そのまま動き出したような錯覚に陥った。
「アシャ……久しぶりですね」
玉座に座ったメーネ、ソクーラの『貴婦人』は、純白の衣に金糸銀糸の花を散らせたものを纏っていた。流れる髪は甘く優しい茶色、瞳は人の心にしみいるような深い青だった。
「はい」
拝跪の礼を取ったアシャが相手を見上げて、憎らしいほど鮮やかな笑みを見せる。
「突然姿を消したことを、さぞかしお怒りだと思っておりましたが……私は旅に身を委ねるもの、一所に留まれぬのが生業」
「わかっています」
メーネは寂しげな笑みを頬に広げた。
「しかし、そのあなたが、今はそちらの少年に仕えているとのこと」
幾分皮肉の混じった声で続ける。
「はい、確かに。彼が、今は私の主人です」
「そうまでして、あなたが守る絆とは何ですか、アシャ」
メーネは満足げなアシャの声に興味をそそられたようだった。皮肉な響きは消えている。同じく片膝をついていたユーノは思わず肩を震わせる。
「私の覚えている限りでは、あなたは誰ともそのような絆を結びはしなかった。あなたはいつも、諸国を巡る旅人だったはずではありませんか」
「……」
ユーノがちらりと横目で見やると、アシャは曖昧に微笑んでいる。
「我らはラズーンへ向かうのです、姫君」
メーネの美しさにぼうっとしていたらしいイルファが、ようやく口がきけるようになったのか、野太い声で答えた。
彼が身に着けているのは赤銅色の長衣、袖口と裾に銀糸の縫い取りがある。
「ラズーンへ? あの、世の中心のラズーンですか?」
「そうです」
イルファは得意気に胸を張った。
「世界の中心を一目見たいと、旅に出たのです」
「その旅に、アシャ、あなたが?」
「はい」
イルファが余計なことを言う前に、と思ったのか、アシャがことばを引き取った。
「私が諸国巡礼の旅人ならば、これに優る旅はございますまい」
「確かにそうです、しかし…」
メーネはまだ納得しかねた様子だったが、エタの快活な声に遮られた。
「姉君、もういいではありませんか」
エタは、玉座の横の椅子に、濃紫長衣の正装で控えている。
「アシャ達は長い旅の途中、ならば、その旅がうまくいくように、数日間の憩いと慰め、充分な食べ物と休養、さらなる旅への支度を整えてやるのが、よく知った昔なじみというものですよ」
言いながら、アシャにいたずらっぽい目配せを送ってきた。
「そう、ですね」
メーネはほんのりと頬を染めて頷いた。自分の執着の仕方がおかしくなったのだろう、美しい唇に笑みを浮かべて、
「特に、そのお小さい方」
「ぼく、『オチイサイカタ』じゃありません、レスファートです」
空色の明るい長衣を着たレスファートが不服そうに応じる。
メーネはくすりと笑って頷いた。
「レスファートも疲れているでしょう。夜会の間に床の用意をさせますから、ゆっくりお楽しみなさい」
メーネの声を合図に、待ちかねたように、ぞろぞろと人々が入ってきた。こちらへ、とメーネに招かれるままに、ユーノ達は玉座の近くへ寄り、広間がみるみるより華やかに賑やかにざわめきを増すのを見守った。
着飾った貴族達が居る。威厳ある大臣達も居る。軍属だろう目つき鋭い男達、初めての夜会なのか緊張した顔の娘達。
「凄いな…」
さすがのイルファが感嘆する。
広間の壁際、取り囲むように並べられたテーブルには、料理が溢れんばかりに載せられている。まだその上にも料理人達が食べ物を盛り上げた皿を掲げて次々と列をなして入ってくるのに、イルファが溜め息をつく。
「菓子もありますよ、レスファート」
メーネが優しく言った。
「はい、ありがとうございます」
レスファートの頬も上気している。
楽士達が呼ばれ、音楽が始まり、人々が踊り始めた。酒や料理に気持ちが解れ、広間が熱気に満ちていく。
それまであれやこれやと四人の話し相手を務めていたメーネが、頃合い良しと見たのだろう、柔らかく促した。
「さあ、どうぞ。お好きなものをお楽しみなさい」
「では!」
イルファが真っ先に料理に突進していった。目をつけていたのか、カーノの丸焼きにかぶりつく。カーノは数が少ない小さな鳥で、肉は柔らかく独特の風味があり、かなり高価な料理とされている。
「ユーノ! こっち!」
はしゃいだレスファートがユーノの手を引いた。色鮮やかな菓子が盛られたテーブルにユーノを導こうとする。
「どこが子どもじゃない、だよ、ねえ、アシャ…」
ユーノはアシャに苦笑を向けて、相手が背後からメーネに呼びかけられて立ち止まったのに気づいた。親しげな甘えるようなメーネの瞳は、レアナより、レスファートより、彼女とアシャの距離の近さを思わせる。
(何を話しているんだろう)
「……私には、関係ない、か」
軽く唇を噛んで自分に言い聞かせ、ユーノはレスファートの後を追った。
「アシャ」
「はい、姫君」
柔らかな声が何を尋ねようとしているのか、おおよその察しはつく。
「あなたは、いつも私をそう呼んでいましたね」
アシャが振り向いた先でメーネは瞳に微かな憂いを浮かべている。
「あの時の問いには、まだ答えられませんか?」
メーネは片手を差し伸べた。その手を受け止め、踊る人々の中へアシャがメーネを導いて入っていくと、周囲は二人の美しさにざわめき、しばし踊りが中断する。
懐かしい、何度もあった穏やかな光景。
「楽師! 音楽を!」
エタの声に、我に返ったように曲が始まる。甘く切ない恋の歌だ。
恋よ、恋、わが胸に巣食い、何を欲してかくも育つか…。
「私は二つ問いかけました」
メーネはアシャに思い出させた。正確な足取りで踊り続けながら、
「一つは、あなたの心を溶かす乙女はいないのかという問い」
さらりとアシャは髪を払って、メーネを振り向きつつすれ違う。
「もう一つは、あなたの旅の意図は何なのかという問い」
メーネが開いた距離を埋めようとするように、体を寄せて見上げてくる。
「三つめの問いを付け加えましょう。あなたの旅はラズーンに深く関係しているのではありませんか」
「『貴婦人』」
アシャは苦笑した。
「一つめの答えは『いる』です」
迷いのない口調にメーネが衝撃を受けたように顔を強張らせる。
「それは……いえ、その方との絆なのですか、あなたを引き止めるのは」
ためらいながら、なおも確かめる声。昔からそうだった。穏やかで柔らかな見かけと裏腹に、メーネははっきりとした問いと応えを好む。
「おそらくは」
「……二つめは?」
アシャの答えに一瞬瞳を閉じ、けれどすぐに次を迫る。
「三つめも合わせ」
アシャは相手の青の瞳に見入った。美しい青だ。雪白(レコーマー)を擁する豊かなこの国で、敬意と忠誠を捧げられるにふさわしい気品、その瞳を望まない男は数少ないことだろう。
「ご推察の通り、と申し上げておきます」
メーネが瞳を陰らせた。
「あなたは聡明な方だ。私がこれ以上お話しするまでもなく、ラズーンの状況をお察しのことと思っております」
「では、やはり、ラズーンの支配力は衰えつつあるのですね」
アシャは頷き、それ以上は口にしないように、と無言で制した。
憂いに沈んだ顔もまた美しく、メーネは静かに俯いた。
「できることならば、私が、その乙女でありたかったのですが……」
掠れた声で呟く。
「さぞかし美しい方でしょうね」
ユーノ・セレディスが美しさでここまで名前が響くとは思えない。となれば、メーネの考えているのがレアナであろうことは容易に想像がついた。
だが、アシャはあえてそれを正さなかった。
ユーノだと告げて、メーネを納得させられるとは思えない。
なぜ彼女なのか、そう問われても、アシャに答える術はない。
美しくはない。愛らしくはない。素直ではない、華やかではない、甘やかでもない。
(なぜ魅かれるのか)
同情だと言われるのは不愉快だ。気の迷いだと諭されるのはなお堪え難い。ましてや、自分の方が明らかに愛されるに価すると、メーネに言わせるのは怒りさえ覚える。
(なぜユーノなのか)
恋よ、恋、わが胸に巣食い、何を欲してかくも育つか。何を願ってかくも猛るか。
(なぜ)
それは俺にもわからない、ただ。
(ユーノでなければ)
心が動かなかった。
(ただ、それだけ)
それだけの理由を、おそらく『貴婦人』はわかろうとはしないだろう。
曲が終わった。
「しばしの憩いを、私の側で」
メーネが愛情に満ちた礼を送ってくる。
「深く感謝します」
しばしの眠りを、あなたの側で。
本来ならばそう返すことばを謝意に変えて応じ、アシャはメーネの側から離れた。
(こういう席になると、すぐに消えてしまう)
人の間を縫い、絡み付くような娘の視線から紛れ込むように移動しながら、アシャはユーノを探す。
(いつも、どんな気持ちでレアナ達のドレス姿を見ていた?)
アシャの脳裏に、華やかな夜会が続く広間の外、カザドの襲撃に神経を研ぎすませて、じっと闇を凝視しているユーノの姿が浮かぶ。
(着飾った娘達を横目に、傷を負いながら一人で戦って)
ドレスを着たくなかったのだろうか。一度ぐらいは、その広間で、光を浴びて楽しみたいとは思わなかったのだろうか。
夜会は苦手なのだと青白い月光の中で笑っていたのが、ついこの間のことのようだ。
(外、か)
思いついて、アシャは身を翻し、広間の外のテラスに出た。
いた。
テラスの端に、その身を影に溶かすようにして、ユーノが一人佇んでいる。物思いに耽っているようでもあり、心ここにあらずとぼんやりしているようにも見える。
うすぼんやりと闇の中に浮かんでいる顔は、寒々とした孤独の色をたたえている。暗く虚ろな目が痛々しいほどの不安に閉ざされている。
しばらく無言で見守っていると、身じろいだユーノがテラスに腕を載せ、その上に頭を預けた。
それは疲れ果てた人間の仕草に他ならない。ぐっすり眠る事を許されぬ者が、ほんのひと時、偽りの休息を貪る姿だ。
(ユーノ)
この娘に、誰が、これほどの孤独を強いたのだ。
熱く滾る心で考える。
だが問いはすぐに己の出自へと戻る。
(ラズーンか? 結局はラズーンの支配の緩みがそうさせたのか?)
それはつまり、アシャの責任、でもある。
(ならば、今ここで俺がその責任を果たそう)
揺れ動く世界の動乱にユーノの盾となり剣となって、彼女を守り、彼女を安らがせ、彼女の願いを全うさせてやろう。
(セレドの平安、そのちっぽけな願いを抱えるあいつのために)
悩ましく眉をひそめて、今すぐ走り寄って抱き締め、耳元で誓いを立てたいという想いと戦う。ついこの間、堪え切れず抱き締めてしまったユーノの目が脳裏を過る。
どうしてだ、と問いかけ詰る、黒い瞳。
怒りと困惑、そこに恥じらいと微かな歓びを見て取ったのが、男としての傲慢さだとはわかっている。
(あれはきっと)
ユーノの心の中へいきなり無遠慮に踏み込んできたことへの抗議だったのだろう。
(けれど、ユーノ)
アシャは一歩、足を進めた。
(一人で苦しむな。自分を追い詰めてしまうな。俺が居る。お前の側には常に俺が)
気配に気づいたように、ユーノがふいに顔を上げた。振り向いて、アシャが居るのにぎょっとした顔になる
「アシャ…」
その顔で、アシャの気持ちはたちまち萎えた。メーネを袖にしても、いささかも揺らがなかったしたたかな気持ちが、だ。
「…やあ」
「…気づかなかった、全然」
衝撃だったように、ユーノは呟いた。
「いつから、いたの?」
不安げな声音。
自分の存在が寛がせようとした愛しい娘を不安がらせている。皮肉に傷つく心を押し殺して、アシャは穏やかに笑ってみせた。
「今、来たところだ」
「そう」
ほ、と小さく息を吐く相手に、こっちも溜め息をつきたくなる。
(俺ではだめだ、そういうことか)
側に居て安らげる相手ではない、そう伝えられたようでがっかりする。
背後の広間で無作法な大声が響いた。酒が入って、いつもより無礼講になったイルファの声だ。
「アシャーっ、どこだ-っ、俺の美姫はどこだーっ」
「っ」
あらあら、と貴婦人達の笑い声とがやがやしたおしゃべりが続いて、なおぐったりした。
「イルファが呼んでるよ?」
加えてユーノが早く行け、と促した気がして、思わず軽く相手を睨む。
「なに?」
「…なんでもない」
あの酔っぱらいをおさめてくる、これ以上派手なことをしないうちにな。
言い捨てたアシャは、この鬱憤を晴らす相手を誰にするか思いついて、足音高く広間に戻った。
(メーネを除いて、ここで一番綺麗なのはアシャだな)
イルファの上機嫌によほど苛立ったのだろう、肩を軽く怒らせて広間に戻っていくアシャに、ユーノは苦笑する。
(深緑の衣がよく似合ってる……本当に、きれい)
その衣を用意した女性は、そこまでアシャのことをよく知っている相手なのだと思い、なるほどそういう相手の居るところに、自分達のような仲間では立ち寄りたくなかったかもしれないとまで思い。
「は…」
小さく溜め息をついた。
「レアナ姉さまなら……恥ずかしい思いはしなくて済んだ、のかな」
呟いて切なくなり、目を閉じて眉を寄せる。
「ユーノ」
「っ」
すぐ近くで声が聴こえ、慌てて目を開けた。
いつの間にそこに居たのか、メーネがすぐ側に立っていた。慌てて拝跪の礼を取ろうとしたユーノを軽く制して、メーネは低い声で続けた。
「尋ねたいことがあるのです、ユーノ」
「何でしょうか」
「アシャのことです」
思わず体が震えた。気持ちを見抜かれたような緊張でことばを待つ。
「アシャはずっと気ままな旅人でした」
メーネは見入られそうな、青の瞳でユーノを見据えた。
「どんな見返りを約束しても、この地には留まろうとはしませんでした」
その見返りに、きっとこの美しい女性との夜も入っていたのだろう。
「一体どんな絆があって、アシャはあなたに仕えているのですか?」
アシャに確かめた応えでは納得できなかったのだろう、それとももっと深く知りたいと思ってしまったのか。
そこにメーネのアシャへの執着を読み取ってユーノはまたもや苦笑する。
(その気持ちはよくわかる)
「ボクが思いつくのはただ一つ………美しい乙女です」
「やはり…」
メーネは瞳を陰らせた。
「そなたはその方の名前を存じていますか」
(そしてまた、その名前を私に問う、か)
ユーノではないのだと、こうも繰り返し思い知らせる、運命の手。
「セレドの、レアナ」
胸が傷みに疼いた。
「セレドのレアナ…あの天上の神々に愛でられたように美しい、と聞く…」
メーネが僅かに声を掠れさせた。
「アシャはセレドでレアナを見たのです。そして、その美しさに一目で魅せられたのです」
自分で抉るしかない心の傷。
どんなにレアナが美しいか、どんなにアシャがその美に魅せられたか、レアナがどのような信頼をアシャに向けたのか。ことばを尽くして、ユーノはメーネを説得する。
「そう…あの方なら……アシャが魅せられるのもわかります」
メーネはやがて静かな諦めをたたえた声で応じた。
(あの方なら……わかります)
ユーノも心で繰り返す。
誰もが認める、その存在。
自虐に、堪えていた傷口がぱくりと口を開ける。心の虚ろな空間に、どんどん傷みを伴った何かが滲み出してくる。
「けれども、どうして、あの方とあなたが?」
どのような関係があるのですか。
無邪気なメーネの問いはユーノの心をなおも傷める。
レアナとどんな関係があるのか、身内だとも思ってもらえない、この容姿。
「……ボクの姉です」
「姉? ……でも、セレドには皇女が三人、皇子は一人もいないはず…、」
呟いて、メーネははっとしたようだ。諸国の事情にも詳しい極めて聡明な君主は、返答の意味もすぐに察した。改めて、ユーノを上から下まで見つめる。
「あなたは………ユーナ・セレディス、ですか?」
久しぶりに聞いた自分の名前は、今これほどまでに苦い。
「ええ。わけあって、こういう服装をしていますが」
寂しく笑ったユーノに、メーネは何かを感じ取ったようだ。
「哀しい想いを抱えていらっしゃるのね」
ユーノは無言で頭を垂れた。
そうだ、いっそみっともないだの、レアナの妹とは思えないなどと嘲ってくれればいいのだ。
そうすれば、ユーノにもメーネを詰る理由ができる。この美しい女性が、見かけだけの美しか持たず、その内側は真っ黒なのだと嗤うこともできる。外見に騙されているアシャの愚かさを嘲ることもできるかもしれない。
だがしかし、メーネもまたレアナ同様、外見と同じく、いや外見より遥かに輝く内面を抱いていて。
ユーノに残るのは圧倒的な敗北感しかない。
レアナやメーネの光に照らされて、むしろいじけて醜い自分の姿を見せつけられる思いがするだけだ。
唇を噛んで俯いたユーノの頭を、メーネはそっと引き寄せ、自分の胸に抱きとめるように抱えた。
「くつろいでいかれるといいわ。旅は……哀しい想いを抱いたままの旅は辛いものですから」
「『貴婦人』…」
(そして、あなたもまた、柔らかな胸と温かな魂を持っておられる)
どこまでいっても、ユーノには勝ち目がない。
どこまで逃げても。
(逃げる…?)
滲んだ涙に、ふいにユーノは瞬きした。
(逃げる? 私が?)
セレドから出たのは、果てしない世界を目指したのは。
(レアナ姉さまから…逃げたかった、のか…?)
セレドを守るためでも、ましてや家族を愛するからでもなく?
「あれは…」
凍りついたユーノの耳に、不安げなメーネの声が響いて、緩んだ腕から顔を上げた。
「え?」
遠くから響いてくる地鳴りのような音。
それは昼間一度耳にしている、巨大な生き物が群れを為して大地を駆ける、深く重い振動音。
「あれは……王の雪白(レコーマー)の群れだわ!」
何に怯えたのだろう、雪白(レコーマー)達は凄まじい勢いで宮殿に向かって突進しつつある。
それは夜目にも白く、月光を浴びて押し寄せる猛り狂った奔流のようだった。
「雪白(レコーマー)追いがいない…」
愕然としたメーネのことばが、妙にはっきりと響いた。
「アシャ……久しぶりですね」
玉座に座ったメーネ、ソクーラの『貴婦人』は、純白の衣に金糸銀糸の花を散らせたものを纏っていた。流れる髪は甘く優しい茶色、瞳は人の心にしみいるような深い青だった。
「はい」
拝跪の礼を取ったアシャが相手を見上げて、憎らしいほど鮮やかな笑みを見せる。
「突然姿を消したことを、さぞかしお怒りだと思っておりましたが……私は旅に身を委ねるもの、一所に留まれぬのが生業」
「わかっています」
メーネは寂しげな笑みを頬に広げた。
「しかし、そのあなたが、今はそちらの少年に仕えているとのこと」
幾分皮肉の混じった声で続ける。
「はい、確かに。彼が、今は私の主人です」
「そうまでして、あなたが守る絆とは何ですか、アシャ」
メーネは満足げなアシャの声に興味をそそられたようだった。皮肉な響きは消えている。同じく片膝をついていたユーノは思わず肩を震わせる。
「私の覚えている限りでは、あなたは誰ともそのような絆を結びはしなかった。あなたはいつも、諸国を巡る旅人だったはずではありませんか」
「……」
ユーノがちらりと横目で見やると、アシャは曖昧に微笑んでいる。
「我らはラズーンへ向かうのです、姫君」
メーネの美しさにぼうっとしていたらしいイルファが、ようやく口がきけるようになったのか、野太い声で答えた。
彼が身に着けているのは赤銅色の長衣、袖口と裾に銀糸の縫い取りがある。
「ラズーンへ? あの、世の中心のラズーンですか?」
「そうです」
イルファは得意気に胸を張った。
「世界の中心を一目見たいと、旅に出たのです」
「その旅に、アシャ、あなたが?」
「はい」
イルファが余計なことを言う前に、と思ったのか、アシャがことばを引き取った。
「私が諸国巡礼の旅人ならば、これに優る旅はございますまい」
「確かにそうです、しかし…」
メーネはまだ納得しかねた様子だったが、エタの快活な声に遮られた。
「姉君、もういいではありませんか」
エタは、玉座の横の椅子に、濃紫長衣の正装で控えている。
「アシャ達は長い旅の途中、ならば、その旅がうまくいくように、数日間の憩いと慰め、充分な食べ物と休養、さらなる旅への支度を整えてやるのが、よく知った昔なじみというものですよ」
言いながら、アシャにいたずらっぽい目配せを送ってきた。
「そう、ですね」
メーネはほんのりと頬を染めて頷いた。自分の執着の仕方がおかしくなったのだろう、美しい唇に笑みを浮かべて、
「特に、そのお小さい方」
「ぼく、『オチイサイカタ』じゃありません、レスファートです」
空色の明るい長衣を着たレスファートが不服そうに応じる。
メーネはくすりと笑って頷いた。
「レスファートも疲れているでしょう。夜会の間に床の用意をさせますから、ゆっくりお楽しみなさい」
メーネの声を合図に、待ちかねたように、ぞろぞろと人々が入ってきた。こちらへ、とメーネに招かれるままに、ユーノ達は玉座の近くへ寄り、広間がみるみるより華やかに賑やかにざわめきを増すのを見守った。
着飾った貴族達が居る。威厳ある大臣達も居る。軍属だろう目つき鋭い男達、初めての夜会なのか緊張した顔の娘達。
「凄いな…」
さすがのイルファが感嘆する。
広間の壁際、取り囲むように並べられたテーブルには、料理が溢れんばかりに載せられている。まだその上にも料理人達が食べ物を盛り上げた皿を掲げて次々と列をなして入ってくるのに、イルファが溜め息をつく。
「菓子もありますよ、レスファート」
メーネが優しく言った。
「はい、ありがとうございます」
レスファートの頬も上気している。
楽士達が呼ばれ、音楽が始まり、人々が踊り始めた。酒や料理に気持ちが解れ、広間が熱気に満ちていく。
それまであれやこれやと四人の話し相手を務めていたメーネが、頃合い良しと見たのだろう、柔らかく促した。
「さあ、どうぞ。お好きなものをお楽しみなさい」
「では!」
イルファが真っ先に料理に突進していった。目をつけていたのか、カーノの丸焼きにかぶりつく。カーノは数が少ない小さな鳥で、肉は柔らかく独特の風味があり、かなり高価な料理とされている。
「ユーノ! こっち!」
はしゃいだレスファートがユーノの手を引いた。色鮮やかな菓子が盛られたテーブルにユーノを導こうとする。
「どこが子どもじゃない、だよ、ねえ、アシャ…」
ユーノはアシャに苦笑を向けて、相手が背後からメーネに呼びかけられて立ち止まったのに気づいた。親しげな甘えるようなメーネの瞳は、レアナより、レスファートより、彼女とアシャの距離の近さを思わせる。
(何を話しているんだろう)
「……私には、関係ない、か」
軽く唇を噛んで自分に言い聞かせ、ユーノはレスファートの後を追った。
「アシャ」
「はい、姫君」
柔らかな声が何を尋ねようとしているのか、おおよその察しはつく。
「あなたは、いつも私をそう呼んでいましたね」
アシャが振り向いた先でメーネは瞳に微かな憂いを浮かべている。
「あの時の問いには、まだ答えられませんか?」
メーネは片手を差し伸べた。その手を受け止め、踊る人々の中へアシャがメーネを導いて入っていくと、周囲は二人の美しさにざわめき、しばし踊りが中断する。
懐かしい、何度もあった穏やかな光景。
「楽師! 音楽を!」
エタの声に、我に返ったように曲が始まる。甘く切ない恋の歌だ。
恋よ、恋、わが胸に巣食い、何を欲してかくも育つか…。
「私は二つ問いかけました」
メーネはアシャに思い出させた。正確な足取りで踊り続けながら、
「一つは、あなたの心を溶かす乙女はいないのかという問い」
さらりとアシャは髪を払って、メーネを振り向きつつすれ違う。
「もう一つは、あなたの旅の意図は何なのかという問い」
メーネが開いた距離を埋めようとするように、体を寄せて見上げてくる。
「三つめの問いを付け加えましょう。あなたの旅はラズーンに深く関係しているのではありませんか」
「『貴婦人』」
アシャは苦笑した。
「一つめの答えは『いる』です」
迷いのない口調にメーネが衝撃を受けたように顔を強張らせる。
「それは……いえ、その方との絆なのですか、あなたを引き止めるのは」
ためらいながら、なおも確かめる声。昔からそうだった。穏やかで柔らかな見かけと裏腹に、メーネははっきりとした問いと応えを好む。
「おそらくは」
「……二つめは?」
アシャの答えに一瞬瞳を閉じ、けれどすぐに次を迫る。
「三つめも合わせ」
アシャは相手の青の瞳に見入った。美しい青だ。雪白(レコーマー)を擁する豊かなこの国で、敬意と忠誠を捧げられるにふさわしい気品、その瞳を望まない男は数少ないことだろう。
「ご推察の通り、と申し上げておきます」
メーネが瞳を陰らせた。
「あなたは聡明な方だ。私がこれ以上お話しするまでもなく、ラズーンの状況をお察しのことと思っております」
「では、やはり、ラズーンの支配力は衰えつつあるのですね」
アシャは頷き、それ以上は口にしないように、と無言で制した。
憂いに沈んだ顔もまた美しく、メーネは静かに俯いた。
「できることならば、私が、その乙女でありたかったのですが……」
掠れた声で呟く。
「さぞかし美しい方でしょうね」
ユーノ・セレディスが美しさでここまで名前が響くとは思えない。となれば、メーネの考えているのがレアナであろうことは容易に想像がついた。
だが、アシャはあえてそれを正さなかった。
ユーノだと告げて、メーネを納得させられるとは思えない。
なぜ彼女なのか、そう問われても、アシャに答える術はない。
美しくはない。愛らしくはない。素直ではない、華やかではない、甘やかでもない。
(なぜ魅かれるのか)
同情だと言われるのは不愉快だ。気の迷いだと諭されるのはなお堪え難い。ましてや、自分の方が明らかに愛されるに価すると、メーネに言わせるのは怒りさえ覚える。
(なぜユーノなのか)
恋よ、恋、わが胸に巣食い、何を欲してかくも育つか。何を願ってかくも猛るか。
(なぜ)
それは俺にもわからない、ただ。
(ユーノでなければ)
心が動かなかった。
(ただ、それだけ)
それだけの理由を、おそらく『貴婦人』はわかろうとはしないだろう。
曲が終わった。
「しばしの憩いを、私の側で」
メーネが愛情に満ちた礼を送ってくる。
「深く感謝します」
しばしの眠りを、あなたの側で。
本来ならばそう返すことばを謝意に変えて応じ、アシャはメーネの側から離れた。
(こういう席になると、すぐに消えてしまう)
人の間を縫い、絡み付くような娘の視線から紛れ込むように移動しながら、アシャはユーノを探す。
(いつも、どんな気持ちでレアナ達のドレス姿を見ていた?)
アシャの脳裏に、華やかな夜会が続く広間の外、カザドの襲撃に神経を研ぎすませて、じっと闇を凝視しているユーノの姿が浮かぶ。
(着飾った娘達を横目に、傷を負いながら一人で戦って)
ドレスを着たくなかったのだろうか。一度ぐらいは、その広間で、光を浴びて楽しみたいとは思わなかったのだろうか。
夜会は苦手なのだと青白い月光の中で笑っていたのが、ついこの間のことのようだ。
(外、か)
思いついて、アシャは身を翻し、広間の外のテラスに出た。
いた。
テラスの端に、その身を影に溶かすようにして、ユーノが一人佇んでいる。物思いに耽っているようでもあり、心ここにあらずとぼんやりしているようにも見える。
うすぼんやりと闇の中に浮かんでいる顔は、寒々とした孤独の色をたたえている。暗く虚ろな目が痛々しいほどの不安に閉ざされている。
しばらく無言で見守っていると、身じろいだユーノがテラスに腕を載せ、その上に頭を預けた。
それは疲れ果てた人間の仕草に他ならない。ぐっすり眠る事を許されぬ者が、ほんのひと時、偽りの休息を貪る姿だ。
(ユーノ)
この娘に、誰が、これほどの孤独を強いたのだ。
熱く滾る心で考える。
だが問いはすぐに己の出自へと戻る。
(ラズーンか? 結局はラズーンの支配の緩みがそうさせたのか?)
それはつまり、アシャの責任、でもある。
(ならば、今ここで俺がその責任を果たそう)
揺れ動く世界の動乱にユーノの盾となり剣となって、彼女を守り、彼女を安らがせ、彼女の願いを全うさせてやろう。
(セレドの平安、そのちっぽけな願いを抱えるあいつのために)
悩ましく眉をひそめて、今すぐ走り寄って抱き締め、耳元で誓いを立てたいという想いと戦う。ついこの間、堪え切れず抱き締めてしまったユーノの目が脳裏を過る。
どうしてだ、と問いかけ詰る、黒い瞳。
怒りと困惑、そこに恥じらいと微かな歓びを見て取ったのが、男としての傲慢さだとはわかっている。
(あれはきっと)
ユーノの心の中へいきなり無遠慮に踏み込んできたことへの抗議だったのだろう。
(けれど、ユーノ)
アシャは一歩、足を進めた。
(一人で苦しむな。自分を追い詰めてしまうな。俺が居る。お前の側には常に俺が)
気配に気づいたように、ユーノがふいに顔を上げた。振り向いて、アシャが居るのにぎょっとした顔になる
「アシャ…」
その顔で、アシャの気持ちはたちまち萎えた。メーネを袖にしても、いささかも揺らがなかったしたたかな気持ちが、だ。
「…やあ」
「…気づかなかった、全然」
衝撃だったように、ユーノは呟いた。
「いつから、いたの?」
不安げな声音。
自分の存在が寛がせようとした愛しい娘を不安がらせている。皮肉に傷つく心を押し殺して、アシャは穏やかに笑ってみせた。
「今、来たところだ」
「そう」
ほ、と小さく息を吐く相手に、こっちも溜め息をつきたくなる。
(俺ではだめだ、そういうことか)
側に居て安らげる相手ではない、そう伝えられたようでがっかりする。
背後の広間で無作法な大声が響いた。酒が入って、いつもより無礼講になったイルファの声だ。
「アシャーっ、どこだ-っ、俺の美姫はどこだーっ」
「っ」
あらあら、と貴婦人達の笑い声とがやがやしたおしゃべりが続いて、なおぐったりした。
「イルファが呼んでるよ?」
加えてユーノが早く行け、と促した気がして、思わず軽く相手を睨む。
「なに?」
「…なんでもない」
あの酔っぱらいをおさめてくる、これ以上派手なことをしないうちにな。
言い捨てたアシャは、この鬱憤を晴らす相手を誰にするか思いついて、足音高く広間に戻った。
(メーネを除いて、ここで一番綺麗なのはアシャだな)
イルファの上機嫌によほど苛立ったのだろう、肩を軽く怒らせて広間に戻っていくアシャに、ユーノは苦笑する。
(深緑の衣がよく似合ってる……本当に、きれい)
その衣を用意した女性は、そこまでアシャのことをよく知っている相手なのだと思い、なるほどそういう相手の居るところに、自分達のような仲間では立ち寄りたくなかったかもしれないとまで思い。
「は…」
小さく溜め息をついた。
「レアナ姉さまなら……恥ずかしい思いはしなくて済んだ、のかな」
呟いて切なくなり、目を閉じて眉を寄せる。
「ユーノ」
「っ」
すぐ近くで声が聴こえ、慌てて目を開けた。
いつの間にそこに居たのか、メーネがすぐ側に立っていた。慌てて拝跪の礼を取ろうとしたユーノを軽く制して、メーネは低い声で続けた。
「尋ねたいことがあるのです、ユーノ」
「何でしょうか」
「アシャのことです」
思わず体が震えた。気持ちを見抜かれたような緊張でことばを待つ。
「アシャはずっと気ままな旅人でした」
メーネは見入られそうな、青の瞳でユーノを見据えた。
「どんな見返りを約束しても、この地には留まろうとはしませんでした」
その見返りに、きっとこの美しい女性との夜も入っていたのだろう。
「一体どんな絆があって、アシャはあなたに仕えているのですか?」
アシャに確かめた応えでは納得できなかったのだろう、それとももっと深く知りたいと思ってしまったのか。
そこにメーネのアシャへの執着を読み取ってユーノはまたもや苦笑する。
(その気持ちはよくわかる)
「ボクが思いつくのはただ一つ………美しい乙女です」
「やはり…」
メーネは瞳を陰らせた。
「そなたはその方の名前を存じていますか」
(そしてまた、その名前を私に問う、か)
ユーノではないのだと、こうも繰り返し思い知らせる、運命の手。
「セレドの、レアナ」
胸が傷みに疼いた。
「セレドのレアナ…あの天上の神々に愛でられたように美しい、と聞く…」
メーネが僅かに声を掠れさせた。
「アシャはセレドでレアナを見たのです。そして、その美しさに一目で魅せられたのです」
自分で抉るしかない心の傷。
どんなにレアナが美しいか、どんなにアシャがその美に魅せられたか、レアナがどのような信頼をアシャに向けたのか。ことばを尽くして、ユーノはメーネを説得する。
「そう…あの方なら……アシャが魅せられるのもわかります」
メーネはやがて静かな諦めをたたえた声で応じた。
(あの方なら……わかります)
ユーノも心で繰り返す。
誰もが認める、その存在。
自虐に、堪えていた傷口がぱくりと口を開ける。心の虚ろな空間に、どんどん傷みを伴った何かが滲み出してくる。
「けれども、どうして、あの方とあなたが?」
どのような関係があるのですか。
無邪気なメーネの問いはユーノの心をなおも傷める。
レアナとどんな関係があるのか、身内だとも思ってもらえない、この容姿。
「……ボクの姉です」
「姉? ……でも、セレドには皇女が三人、皇子は一人もいないはず…、」
呟いて、メーネははっとしたようだ。諸国の事情にも詳しい極めて聡明な君主は、返答の意味もすぐに察した。改めて、ユーノを上から下まで見つめる。
「あなたは………ユーナ・セレディス、ですか?」
久しぶりに聞いた自分の名前は、今これほどまでに苦い。
「ええ。わけあって、こういう服装をしていますが」
寂しく笑ったユーノに、メーネは何かを感じ取ったようだ。
「哀しい想いを抱えていらっしゃるのね」
ユーノは無言で頭を垂れた。
そうだ、いっそみっともないだの、レアナの妹とは思えないなどと嘲ってくれればいいのだ。
そうすれば、ユーノにもメーネを詰る理由ができる。この美しい女性が、見かけだけの美しか持たず、その内側は真っ黒なのだと嗤うこともできる。外見に騙されているアシャの愚かさを嘲ることもできるかもしれない。
だがしかし、メーネもまたレアナ同様、外見と同じく、いや外見より遥かに輝く内面を抱いていて。
ユーノに残るのは圧倒的な敗北感しかない。
レアナやメーネの光に照らされて、むしろいじけて醜い自分の姿を見せつけられる思いがするだけだ。
唇を噛んで俯いたユーノの頭を、メーネはそっと引き寄せ、自分の胸に抱きとめるように抱えた。
「くつろいでいかれるといいわ。旅は……哀しい想いを抱いたままの旅は辛いものですから」
「『貴婦人』…」
(そして、あなたもまた、柔らかな胸と温かな魂を持っておられる)
どこまでいっても、ユーノには勝ち目がない。
どこまで逃げても。
(逃げる…?)
滲んだ涙に、ふいにユーノは瞬きした。
(逃げる? 私が?)
セレドから出たのは、果てしない世界を目指したのは。
(レアナ姉さまから…逃げたかった、のか…?)
セレドを守るためでも、ましてや家族を愛するからでもなく?
「あれは…」
凍りついたユーノの耳に、不安げなメーネの声が響いて、緩んだ腕から顔を上げた。
「え?」
遠くから響いてくる地鳴りのような音。
それは昼間一度耳にしている、巨大な生き物が群れを為して大地を駆ける、深く重い振動音。
「あれは……王の雪白(レコーマー)の群れだわ!」
何に怯えたのだろう、雪白(レコーマー)達は凄まじい勢いで宮殿に向かって突進しつつある。
それは夜目にも白く、月光を浴びて押し寄せる猛り狂った奔流のようだった。
「雪白(レコーマー)追いがいない…」
愕然としたメーネのことばが、妙にはっきりと響いた。
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