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第2章 『竜夢』
10.ラドン温泉 「ああ失敗した、ほんと大失敗、あなたより前に生まれとくんだった」(3)
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露天風呂でその気になって、さすがに湯船の中はまずいだろうと、ぎりぎり堪えて部屋に戻って、敷き延べられた清浄な気配の布団に倒れ、そこから先はひたすら禄に貪られて。
声が漏れると窓を締め切り、布団に包まれ、それでも揺さぶられて際限なく押入られて吐き出し続ける中、禄だけじゃない自分も飢えきっていたんだと舜は悟る。
いつからいつの間に、これほど人の肌が恋しいと願うようになってしまったのか。
「は、あ、あ、あ…っ」
仰け反る首を禄が掴み、肩口に噛みつかれ、そのまま唇で首筋まで辿られ、下半身を貫く力は衰えることなく舜を抉り続ける。
奥に、奥に、もっと深く。
願いを口にするより先に、願うよりなお強く深く貫かれて、痛いはずなのにただ嬉しくて、声を上げながら舜は吐き出し、身動きできない快楽に溺れていく。
本当に、本当だよ、禄。
俺はもっと早くに生まれておくべきだった。
君よりうんと早く生まれ、誰よりも早く君と出会い、君を見出し、君を救うべきだった。
今まで生きてきた人生で、後悔なんてほとんどしたことがない、その場その場の記憶しかなくとも、舜は舜なりに十分世界を愛してきたし、満足してきたと思っていた。
けれど、禄を知るたびに。
禄の内側に触れるたびに。
足りないと感じる、全く足りないと。
覚悟も意思も能力も情熱も。
もっと早く生まれ、もっと早くに成熟し、もっと早くに経験を積んでいたなら、禄が必要とする全てを与えられた。禄が望む全てに応えられた。禄が願う全てに道を見つけられた。
失敗した、失敗した、失敗した。
竦む体を焼き尽くして欲しいと、贖罪のように体を開いていると、ふいと圧力が消え失せて、涙でずぶ濡れになった瞳を瞬く。
「舜?」
静かで深い声が呼んでくれて、ぞくりとした。
今、魂が、撫でられた気がした。
「…な…に…?」
声が掠れてうまく話せない。もし明日も芝居があったなら、プロ意識がないと罵られただろう。
けれど本当に空腹で、空っぽで、露天風呂に居る時点で限界で。
「一旦止めていいかな」
「……」
止められると二度と始まらない気がして頷けなかった。
「舜」
「……いいよ」
足りない自分では禄を満たせないのかも知れない。
禄を全面的に支えようと思ったけど、自分を使い尽くすと決めたけど、それでもこの男の器には足りないばかりなのかも知れない。
そっと引き抜かれて、びくりと震えた部分が余韻を零して、全身濡れた体を禄がシーツに包んでくれる。禄はばさりと浴衣を一枚引っ掛けて、軽く帯を締めて舜に屈み込んだ。
「何…?」
「今の舜を誰にも見せたくないから」
ぼそりと呟かれたと思うと、そのままひょいと抱き上げられて驚いた。
「わ…」
「掴まってて」
「何、どうするの」
「大浴場、行こう」
「夜中に?」
「朝の4時まで開いてるって」
「ふうん」
何をする気なの、と聞けば、誰もいない広いお風呂って知らないから、と返されて、ああなるほどと頷く。
真夜中の廊下をうろうろするのは舜と禄だけだったのか、誰にも会わずに大浴場まで辿り着いた。部屋を出るときに持たされた浴衣と半纏2人分を、脱衣室のカゴに入れ、ようやく降ろされたものの足元が危うく少しよろめく。
「…あ」
どろりと足の間を流れたものに顔が熱くなって、舜は思わず俯いた。
ほんと、人が居なくて良かった。こんな格好、とんでもないよね。
「舜、入ろう」
「、うんっ」
禄は浴室の引き戸を開けていた。シーツをもたもた引き剥がし、ざっと体を軽く拭って急いで後を追う。
声が漏れると窓を締め切り、布団に包まれ、それでも揺さぶられて際限なく押入られて吐き出し続ける中、禄だけじゃない自分も飢えきっていたんだと舜は悟る。
いつからいつの間に、これほど人の肌が恋しいと願うようになってしまったのか。
「は、あ、あ、あ…っ」
仰け反る首を禄が掴み、肩口に噛みつかれ、そのまま唇で首筋まで辿られ、下半身を貫く力は衰えることなく舜を抉り続ける。
奥に、奥に、もっと深く。
願いを口にするより先に、願うよりなお強く深く貫かれて、痛いはずなのにただ嬉しくて、声を上げながら舜は吐き出し、身動きできない快楽に溺れていく。
本当に、本当だよ、禄。
俺はもっと早くに生まれておくべきだった。
君よりうんと早く生まれ、誰よりも早く君と出会い、君を見出し、君を救うべきだった。
今まで生きてきた人生で、後悔なんてほとんどしたことがない、その場その場の記憶しかなくとも、舜は舜なりに十分世界を愛してきたし、満足してきたと思っていた。
けれど、禄を知るたびに。
禄の内側に触れるたびに。
足りないと感じる、全く足りないと。
覚悟も意思も能力も情熱も。
もっと早く生まれ、もっと早くに成熟し、もっと早くに経験を積んでいたなら、禄が必要とする全てを与えられた。禄が望む全てに応えられた。禄が願う全てに道を見つけられた。
失敗した、失敗した、失敗した。
竦む体を焼き尽くして欲しいと、贖罪のように体を開いていると、ふいと圧力が消え失せて、涙でずぶ濡れになった瞳を瞬く。
「舜?」
静かで深い声が呼んでくれて、ぞくりとした。
今、魂が、撫でられた気がした。
「…な…に…?」
声が掠れてうまく話せない。もし明日も芝居があったなら、プロ意識がないと罵られただろう。
けれど本当に空腹で、空っぽで、露天風呂に居る時点で限界で。
「一旦止めていいかな」
「……」
止められると二度と始まらない気がして頷けなかった。
「舜」
「……いいよ」
足りない自分では禄を満たせないのかも知れない。
禄を全面的に支えようと思ったけど、自分を使い尽くすと決めたけど、それでもこの男の器には足りないばかりなのかも知れない。
そっと引き抜かれて、びくりと震えた部分が余韻を零して、全身濡れた体を禄がシーツに包んでくれる。禄はばさりと浴衣を一枚引っ掛けて、軽く帯を締めて舜に屈み込んだ。
「何…?」
「今の舜を誰にも見せたくないから」
ぼそりと呟かれたと思うと、そのままひょいと抱き上げられて驚いた。
「わ…」
「掴まってて」
「何、どうするの」
「大浴場、行こう」
「夜中に?」
「朝の4時まで開いてるって」
「ふうん」
何をする気なの、と聞けば、誰もいない広いお風呂って知らないから、と返されて、ああなるほどと頷く。
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「…あ」
どろりと足の間を流れたものに顔が熱くなって、舜は思わず俯いた。
ほんと、人が居なくて良かった。こんな格好、とんでもないよね。
「舜、入ろう」
「、うんっ」
禄は浴室の引き戸を開けていた。シーツをもたもた引き剥がし、ざっと体を軽く拭って急いで後を追う。
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