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21.六日目、特別補習二時限
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次は『吹き上がる噴水』のイメージです。
これはかさかさしてひりひりしたり皮や肉が剥がれていたり乾き切ってかゆかったり痛んだりする部位に効果があります。
では始めます。
さきほどの「森」のイメージを呼び起こします。
…………そうですね、「森」は「護り(まもり)」の意味もありますね。
金色の光が残っていても、山小屋があっても構いません。
その中で「痛み」のポイント近くに小さな水盤と噴水を置きましょう。
………水盤の色は好きな色でかまいませんよ。
……はい、そうですね。
これは回復ですから、この前やった「回復の光」のカラーを使うと効果が高いです。
始めは水盤は枯れています。
乾いて今にも割れそうです。
けれど、近付いて手を触れてみると、じわりと水が滲み出してきます。
……温度はどうでしょう?
温かい……冷たい……それはそのままで構いません。
その水が次第に溢れだし水盤を満たしていきます。
底の部分が水に覆われると、ひからびて消えかけていた絵が浮かび上がってきます。
………どんな絵ですか?
……薔薇………天使………幾何学模様………何もないけどレリーフ………よろしい。
水盤はもう一杯になりました。
水が縁を這い上がり、表面張力で揺れ、やがて溢れ落ちます。
同時に水盤の中央の口から水が吹き上がってあなたにかかります。
………逃げないで浴びてみて下さい。
そうですね、シャワーのように………けれど、できれば『奇跡の水』だと呟いてみてはどうでしょうか。
水はあなたを濡らし、水盤を越え、周囲をどんどん満たしていきます。
「痛み」の部分を浸してごらんなさい。
そこを柔らかく包む水の防護膜を感じ取りましょう。
………満ちていく。
大きな潤いがあなたを満たしていきます。
深呼吸をして、その満足感を受け入れましょう。
……………そう……よろしいですね。
……はい。
………はい、いいでしょう。
これは過熱して「痛み」に繋がってしまっているものに効果があります。
ただし、「発熱」の場合は別の意味も含んでいるので、無闇にこれを使ってはいけません。
逆にとにかく使っても大丈夫なのが、金銭的問題です。
……え?
イメージがそんな現実なことに効果があるのか?
…………経済的困窮もまた「痛み」であることには違いありません。
これもまたいつか話すかもしれませんが、経済的困窮を招くのは「餓えている」感覚です。
このイメージはそれを癒す方向に使えるのです。
金銭問題、経済問題というのは、愛情と密接に繋がっています。
特に市場経済の原則を基本に育ってきたのなら、なおさらです。
愛情を「お金」や「物質」で表現しようとする人は、嫌がられる場合が多いですが、「ことば」や「行動」や「性的関係」にそれを置き換えてみれば、誰でもよく行っていることです。
愛情そのものを何かと置き換えずに表現し伝えること。
それが至難の技であるから、人々は自分達の暮らす世界で「貴い」と思うものに代用させるのですね。
それが「お金」「物質」であるか「ことば」「行為」であるかは、厳密に言えばその人の経験値による評価が違うだけで、どちらが尊いと比べるのは意味がないことです。
愛情だけは十分にありますと言いつつ子どもを抱き締めもしない親、愛情の表し方がわかりませんからと子どもの好きなものを必死に探して買い与えようとする親、どちらが愛情に溢れているでしょう。
愛情は、何よりその相手を他者と区別して認識している、ということから始まります。
誰にでも等分に与えられるものではない、と賢者が言うのは、そういう与え方は「みんな」という代名詞でくくっている「幻の一人」に与えているのと同じで、結局は誰にも与えていないからです。
それぞれを個人としてかけがえなく認識しつつ、しかも全て平等に与えること。
それだけの容量を持つ人間は、今のところほとんど確認されていませんので、安心して下さい。
あなたがたの目標は、そんな遠大なものではないでしょう?
……………みなさん深刻な顔になりましたね。
知恵熱にうなされる前に、次のステップを学びましょう。
これはかさかさしてひりひりしたり皮や肉が剥がれていたり乾き切ってかゆかったり痛んだりする部位に効果があります。
では始めます。
さきほどの「森」のイメージを呼び起こします。
…………そうですね、「森」は「護り(まもり)」の意味もありますね。
金色の光が残っていても、山小屋があっても構いません。
その中で「痛み」のポイント近くに小さな水盤と噴水を置きましょう。
………水盤の色は好きな色でかまいませんよ。
……はい、そうですね。
これは回復ですから、この前やった「回復の光」のカラーを使うと効果が高いです。
始めは水盤は枯れています。
乾いて今にも割れそうです。
けれど、近付いて手を触れてみると、じわりと水が滲み出してきます。
……温度はどうでしょう?
温かい……冷たい……それはそのままで構いません。
その水が次第に溢れだし水盤を満たしていきます。
底の部分が水に覆われると、ひからびて消えかけていた絵が浮かび上がってきます。
………どんな絵ですか?
……薔薇………天使………幾何学模様………何もないけどレリーフ………よろしい。
水盤はもう一杯になりました。
水が縁を這い上がり、表面張力で揺れ、やがて溢れ落ちます。
同時に水盤の中央の口から水が吹き上がってあなたにかかります。
………逃げないで浴びてみて下さい。
そうですね、シャワーのように………けれど、できれば『奇跡の水』だと呟いてみてはどうでしょうか。
水はあなたを濡らし、水盤を越え、周囲をどんどん満たしていきます。
「痛み」の部分を浸してごらんなさい。
そこを柔らかく包む水の防護膜を感じ取りましょう。
………満ちていく。
大きな潤いがあなたを満たしていきます。
深呼吸をして、その満足感を受け入れましょう。
……………そう……よろしいですね。
……はい。
………はい、いいでしょう。
これは過熱して「痛み」に繋がってしまっているものに効果があります。
ただし、「発熱」の場合は別の意味も含んでいるので、無闇にこれを使ってはいけません。
逆にとにかく使っても大丈夫なのが、金銭的問題です。
……え?
イメージがそんな現実なことに効果があるのか?
…………経済的困窮もまた「痛み」であることには違いありません。
これもまたいつか話すかもしれませんが、経済的困窮を招くのは「餓えている」感覚です。
このイメージはそれを癒す方向に使えるのです。
金銭問題、経済問題というのは、愛情と密接に繋がっています。
特に市場経済の原則を基本に育ってきたのなら、なおさらです。
愛情を「お金」や「物質」で表現しようとする人は、嫌がられる場合が多いですが、「ことば」や「行動」や「性的関係」にそれを置き換えてみれば、誰でもよく行っていることです。
愛情そのものを何かと置き換えずに表現し伝えること。
それが至難の技であるから、人々は自分達の暮らす世界で「貴い」と思うものに代用させるのですね。
それが「お金」「物質」であるか「ことば」「行為」であるかは、厳密に言えばその人の経験値による評価が違うだけで、どちらが尊いと比べるのは意味がないことです。
愛情だけは十分にありますと言いつつ子どもを抱き締めもしない親、愛情の表し方がわかりませんからと子どもの好きなものを必死に探して買い与えようとする親、どちらが愛情に溢れているでしょう。
愛情は、何よりその相手を他者と区別して認識している、ということから始まります。
誰にでも等分に与えられるものではない、と賢者が言うのは、そういう与え方は「みんな」という代名詞でくくっている「幻の一人」に与えているのと同じで、結局は誰にも与えていないからです。
それぞれを個人としてかけがえなく認識しつつ、しかも全て平等に与えること。
それだけの容量を持つ人間は、今のところほとんど確認されていませんので、安心して下さい。
あなたがたの目標は、そんな遠大なものではないでしょう?
……………みなさん深刻な顔になりましたね。
知恵熱にうなされる前に、次のステップを学びましょう。
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