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107.『化身』(1)
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カークは目を開けた。
同時にライヤーも目を開ける。
「……おはようございます、カークさん」
「…同時に起きてどうする」
「え?」
「準備は?」
「…っ」
突き放してやると目の前のへらんとした顔が弾けるような笑みに綻んだ。
「もちろんです! すぐに支度します、申し訳ありません!」
「あ…」
ばっと上掛けを跳ね除け飛び出してしまった相手を、ちょっと恨めしく眺める。
「せっかく側に居たのに…」
「ですよね!」
小さな声でぼやいたはずだが、すぐにライヤーが跳ね飛んで戻ってきて、ちゅ、とカークの額にキスをくれた。
「おい」
「ああすみません、ほんと僕って気が利かないですよね!」
その実、そんなことは全く思っていない顔で覗き込み、カークが焦れるまで微笑んでから、ようやく唇を合わせてくれた。
「ふ…」
甘い。柔らかい。懐かしい。嬉しい。
ぞくりと震えた体があっさり快感を拾って揺れていくのに気づいたライヤーが、目を細めて笑う。
「カークさん好きですよね、バードキス」
「…そんなことを言っている場合か」
「聞こえました?」
「聞いた」
夢の中で、正確には『紋章』を通じて、オウライカが呼びかけてきていた。
「行くぞ」
「わかっています。でも、まずこちらも体力を整えて」
ライヤーは愛おしそうにカークを眺めた。
全身まだ包帯やガーゼやテープで覆われて、薄く血が滲んでいるところもある。
「こちらの持ち駒はあまりありません。ほとんど父が破壊してしまっていましたし」
「不要だ。ここの始末は後でする」
「では、僕だけが」
ベッドから体を起こしたカークの足元に、ライヤーは跪いた。痛々しく傷に塗れた足をそっと掬い上げ指先に口付ける。舌を出して指の間に差し込み、ひくりとカークが震えたのに笑みを浮かべた。
「あなたに同行する」
唇を這わせながら、カークの足を広げていく。
「でも、大丈夫?」
「私が」
鼻で笑ってライヤーを見下ろす。
「痛みに呻くとでも?」
ライヤーの指先を誘うように、まだ腫れ上がり爛れて過敏な部分を開いて見せる。少し目を見開いたライヤーが、切なく顔を歪めながら顔を埋めてきた。
「っ」
舌に触れられ思わず体が跳ねる。激痛は体をすくませる、だが。
「全部、やる」
柔らかく優しく舐められ入り込まれながら、呟いた。
「私を、オウライカさんのところまで連れて行け」
「…そんな意地悪言って」
「…、あっ」
一瞬途切れた感覚に気を抜いた瞬間、容赦なく貫かれた。小さく漏れた悲鳴にくすくす笑いながらライヤーが体を抱え込んでくる。
「痛かった?」
「…痛かった」
ビクッと震えたライヤーが体を引いてカークを覗き込んでくる。真っ赤になった顔に驚いた。
「どうした?」
「ひどいです、カークさん」
「何だ」
「そんな可愛いこと言うなんてひどい」
「? んっ、あ、うっ」
きょとんとした次の瞬間、まだ傷ついている部分に擦り付けられ仰け反った。喉に噛みつかれるようにキスされ、なお深く押し込まれながら視界が暗くなる。
「ライ…」
「僕に任せて…」
「たの…む…」
先導を相手に任せて、カークは意識を手放した。
同時にライヤーも目を開ける。
「……おはようございます、カークさん」
「…同時に起きてどうする」
「え?」
「準備は?」
「…っ」
突き放してやると目の前のへらんとした顔が弾けるような笑みに綻んだ。
「もちろんです! すぐに支度します、申し訳ありません!」
「あ…」
ばっと上掛けを跳ね除け飛び出してしまった相手を、ちょっと恨めしく眺める。
「せっかく側に居たのに…」
「ですよね!」
小さな声でぼやいたはずだが、すぐにライヤーが跳ね飛んで戻ってきて、ちゅ、とカークの額にキスをくれた。
「おい」
「ああすみません、ほんと僕って気が利かないですよね!」
その実、そんなことは全く思っていない顔で覗き込み、カークが焦れるまで微笑んでから、ようやく唇を合わせてくれた。
「ふ…」
甘い。柔らかい。懐かしい。嬉しい。
ぞくりと震えた体があっさり快感を拾って揺れていくのに気づいたライヤーが、目を細めて笑う。
「カークさん好きですよね、バードキス」
「…そんなことを言っている場合か」
「聞こえました?」
「聞いた」
夢の中で、正確には『紋章』を通じて、オウライカが呼びかけてきていた。
「行くぞ」
「わかっています。でも、まずこちらも体力を整えて」
ライヤーは愛おしそうにカークを眺めた。
全身まだ包帯やガーゼやテープで覆われて、薄く血が滲んでいるところもある。
「こちらの持ち駒はあまりありません。ほとんど父が破壊してしまっていましたし」
「不要だ。ここの始末は後でする」
「では、僕だけが」
ベッドから体を起こしたカークの足元に、ライヤーは跪いた。痛々しく傷に塗れた足をそっと掬い上げ指先に口付ける。舌を出して指の間に差し込み、ひくりとカークが震えたのに笑みを浮かべた。
「あなたに同行する」
唇を這わせながら、カークの足を広げていく。
「でも、大丈夫?」
「私が」
鼻で笑ってライヤーを見下ろす。
「痛みに呻くとでも?」
ライヤーの指先を誘うように、まだ腫れ上がり爛れて過敏な部分を開いて見せる。少し目を見開いたライヤーが、切なく顔を歪めながら顔を埋めてきた。
「っ」
舌に触れられ思わず体が跳ねる。激痛は体をすくませる、だが。
「全部、やる」
柔らかく優しく舐められ入り込まれながら、呟いた。
「私を、オウライカさんのところまで連れて行け」
「…そんな意地悪言って」
「…、あっ」
一瞬途切れた感覚に気を抜いた瞬間、容赦なく貫かれた。小さく漏れた悲鳴にくすくす笑いながらライヤーが体を抱え込んでくる。
「痛かった?」
「…痛かった」
ビクッと震えたライヤーが体を引いてカークを覗き込んでくる。真っ赤になった顔に驚いた。
「どうした?」
「ひどいです、カークさん」
「何だ」
「そんな可愛いこと言うなんてひどい」
「? んっ、あ、うっ」
きょとんとした次の瞬間、まだ傷ついている部分に擦り付けられ仰け反った。喉に噛みつかれるようにキスされ、なお深く押し込まれながら視界が暗くなる。
「ライ…」
「僕に任せて…」
「たの…む…」
先導を相手に任せて、カークは意識を手放した。
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