『DRAGON NET』

segakiyui

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6.『平穏に倦むなかれ』(2)

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「さむ………って、え? 何、これ?」
 ぼんやり考えながら歩いていたせいか、いつの間にか、妙な場所へ入り込んでしまったようだ。本当はオウライカの出掛けた中央宮へ忍び込めないかと考えて、そちらへ向かっていたはずなのに、薄暗い原っぱのようなところに出てしまった。
 しかもよく見ると、それは草ではなくて、丸い青い蕾を先端に乗せた花のようだ。濃い緑の葉が風に揺れているが、そのどれもが蕾で一輪も開いたものがないのがひどく不気味だ。
 慌てて周囲を見回し、元の道に戻ろうとして足を踏み出したカザルは次の瞬間、何かに足を取られて激しく転がった。
「ったあ……ぁあ……?」
 どさりと地面に倒れ込み、うわ、服汚しちゃった怒られるかな、そう思って足首を見たカザルの顔から血の気が引く。
「う…あ」
 何、これ。
 足首にいつの間にか、あたりに生えている青い蕾の花が、葉をつけた茎ごとというか蔓というか、うねうねと足首に絡みついているのだ。
「や、やだ………っえ、ええっ」
 急いで足を引き寄せて花を払おうとした途端、その指先に触れた蔓がざわりと大きく揺れて一気に手首に這い上がって凍りつく。
「あ、あっ、あっ…あっ!」
 驚いている間に蔓は見る見るカザルの体を覆って、地面に引き倒し群生している場所へ引きずり込んだ。
「やっ、やだっ、やだっ、オウライカっ、うああっ」
 ばたばた暴れたせいで数本引きちぎりはしたものの、そんな抵抗は意味を為さなかった。のしかかってくるような花の群れ、習い覚えた数々の体術も殴る相手がいない、蹴りつける姿がない。しかも。
「ひ…っ」
 うねり蠢く蔓がシャツのボタンの間から潜り込むように入ってきて、さわさわとした繊毛のついた先でカザルの胸を嬲った。ただの偶然、そう思おうとする意識を嘲笑うように、獲物を見つけたように勢いづいた蔓が次々とシャツに潜り込んできて、そのどれもがまるでカザルの弱い部分を確かめるように撫で摩っていく。
「や、あっ、あっ」
 恐怖にもがきながらもオウライカに満足させてもらえていない体が火をともし始めて、カザルは焦った。
 『塔京』ではこんなおかしなことはない、カザルの体を狙ってくるもの望むものは人間で、実体があり対応のしようがある。
 けれどこれは掴んで引きちぎっても埒があかないばかりか、抵抗を喜ぶようにその部分ばかりを責めてくる。
「あっ……あっ……ああっ」
 両手を蔓に縛られながら、胸の尖った頂きを何度も執拗に擦られて、カザルは喘ぎながら仰け反った。体がしっとり汗に濡れてくる。その濡れた感触でまた細かな毛が掠めるように実をいじる。びっ、と鋭い音がして、シャツが中に潜り込んだ蔓で裂け、身体を這い回る蔓がスラックスの中へ滑り込んでいく。
「い…やっ……あ…あ……っ」
 細い縄で縛られていくような感覚、しかもそれは強く締まりながら上下する。恐怖に怯えて縮こまっていたものがみるみる固さを増して勃ち上がっていくと、それを待っていたように蔓が力を弱めて繊毛の柔らかさで包みながら扱き始める。
「あ…っ……ああっ………あああ……っ」
 ぞくぞくと身体を震わせながら、カザルは耐え切れずに腰を揺らせた。もっと強くもっと激しくしてほしい。朦朧として見開いた目に、胸の先にゆらゆらと立ち上がった蕾がいきなり花開くのが映る。ぱかりと開いたその青い花の中央に毒々しい赤く濡れためしべとそれを囲む金色のおしべがある。
「ひ…んっ」
 次の瞬間、その花がむしゃぶりつくように胸を含んで、カザルは悲鳴を上げた。吸いつくような濡れた感触が何度も何度も吸い上げる。また大きくなった股間に食い込む蔓が数を増し、まるで巨大な筒に押し込められて扱かれているようだ。
「は、あっあっ…………あああっ!」 
 激しく揺れる身体に甘い声を上げていたカザルは周囲の花が次々と開くのを目にした。次の瞬間、猛りきった先端を絞り取るように吸いつかれて大きく声を上げて仰け反る。耐え切れず弾けたのに、萎えることを許されないように繰り返し蠕動し吸い付かれる。
「う、うあああっ」
 ましてや、その尖っためしべが先を割るように入ってこようとして、カザルは絶叫した。恐怖と痛みで我を失う。身体を満たしていた快感もあっというまに消え失せて身悶えると、萎えてしまおうとするものをきつく締め上げた花々が嘲笑うように揺れる。
『中身を食らおうぞ』
「ひ…っいっ……っっっ!」
 足を左右に開かれた。無防備に晒された後ろへねっとりと濡れた蔓が次々這い降りてくる。
「や、やだっ、やだっ、やああああっ、オウライカ…ッっっっ!」
 泣きながら叫ぶのと同時に細い蔓が入り込む、がそれはすぐに絡み合わされるように太くなっていき奥へ奥へと侵入してくる。濡れた繊毛が過敏になっている内壁を擦り、身体は勝手に受け入れるように動き始める、けれど耳に響く貪欲な笑い声がカザルを追い詰める。
『中身を食わせろ』
「やああーーーーーっっ!」
 一番弱くて敏感で、触れられただけでも背筋を貫かれるそこにずるずるとざわめくようなものを押しつけられて、ぼろぼろ涙が零れた。喘ぎながら空気を貪る、快感に意識が飛びそうになった瞬間、どんっ、と激しい振動が響いた。
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