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2.野戦部隊(シーガリオン)(1)
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(アシャ…)
呟けば、仄かな甘さが口に広がる。
(アシャ…)
闇の中に一条の光、金粉を散らし、膝を抱えて踞ったユーノを照らす。
その光は温かかった。凍てつき強張ったユーノの心を溶かしていく何かがあった。
(守って……くれるの?)
庇うように目の前に現れたアシャの背中に問いかける。
(姫として、守ってくれるの?)
アシャの気配が包み込むようにユーノを抱く。切ない吐息を身を震わせて吐き出しながら、ユーノは俯いた。ことん、と額をアシャの背中につけると、相手の体が静かに回った。そっと頭に置かれる大きな手、髪をまさぐり、優しく撫でてくれる、その甘さ。
(でも…アシャ)
眉をひそめ、おそるおそるためらいながら、そっとユーノは呟いた。
(私……ちっとも姫らしくないんだ……守ってもらえるもの…何一つ持ってない……)
ふ、とアシャは笑ったようだった。
ばかだな、そんなことはないよ。
音にならない声がユーノの耳に快く響く。
ユーノはほっとして体の力を抜いた。微笑む、安心して、甘えようとして。
だが、その響きは、温かな優しさのまま、こう続けた。
レアナの大切な妹じゃないか。セレドの第二皇女じゃないか。そして、何よりも、ラズーンにとってはかけがえのない『銀の王族』じゃないか、守られて当然だ。
びく、とユーノは体を強張らせた。そろそろ、顔を上げる。
(アシャ…)
違うのか?
響きは不審げに、どこかおどけてからかうように尋ねてきた。
それ以外の何かだっていうのか?
(あ……ああ)
ユーノは笑おうとした。
唇が震える。心が裂かれて血を流す。切なくひそめた眉を必死になって緩め、唇の両端を吊り上げ、目を細めて首を傾げてみせる。委ねてもたれていた体を、そっとアシャから引き離す。
(そう…だよね)
呟いた声が震えるのを堪えた。ひどく幼く舌足らずに聞こえるのに焦りながら、なおも唇を微笑ませる。とっさに、本当に不覚にも滲みそうになった涙を、できるだけ平然とした様子を崩さないように呑み下しながら、
(レアナ姉さまの……妹、だものね)
くすり、と笑ってみせた。
(ほんとに、それだけだものねえ…)
くすくすと笑い続けるだけで、自分が壊れていくのがわかる。笑い声はユーノを嘲笑っている、主であるユーノの間抜けさを。
アシャも豊かな朗らかな笑い声を上げた。
どうしたんだ? お前らしくないな。
(うん……でも、そんなに、笑わないでよ、アシャ)
同じようにどんどん明るく笑いながら、ユーノは肩にかけられたアシャの手を冗談を装って払った。
その手は二度とユーノの体に触れては来ない。それとわかると、なんだか全てがひどくおかしくなってきて、ユーノはますます笑い続けた。
(ほんのちょっと……間違えただけだよ、アシャ)
笑い続けている声は一点の曇りもなく響くのに、頬にひんやりと冷たいものが滑り落ちてくるのを感じる。
それを無視しようとして、ユーノはことさらアシャに話しかけた。
(あなたがあんまり優しいから……私は姫君扱いされないってこと、ちょっと忘れてたんだよ)
涙が溢れる。とめどなく、胸に腕に体に降りかかり、夜露のように冷えてくる。
(だから……ねえ、お願いだから、笑わないでよ、アシャ。私が……ばかだっただけだって…認めるからさ……私じゃだめだって……認めるから……お願いだよ、もう…笑わないで……)
辺りに霜が降りたように寒くなった。
セレドではめったにみかけない、銀の霜。ざくざくと足下に固い抵抗を残して砕けていく霜。砕けた欠片は鋭い針のように、立ち竦むユーノの足を貫く。
その白々とした輝きの中から、ぐいぐいとギヌア・ラズーンの姿が立ち上がった。
はっとして見つめるユーノの目に、世の魔『運命(リマイン)』を率いる長の紅の瞳が、残虐な輝きを増していくのが映る。
無意識に、さっきまでアシャが居た場所を振り返ったが、そこにはもう誰もいない。
ユーノ一人しか、ここにはいない。
淡く笑った。
(何を求めた? 誰の姿を求めていた?)
向き直れば、ギヌアが、黒くなるまで人の血を吸ったと言いたげな『運命(リマイン)』の黒剣を差し上げているのが、目に飛び込んでくる。
(一人で戦え、ということだ)
唇を噛む。
いまさらだじろいでどうする。そんなに弱い娘だったのか。カザド相手に幾千もの、幾万もの夜を駆け抜けてきた自分が、アシャさえ手こずるような相手だからと言って、後ろを見せていいということにはならない。
ユーノは剣を引き抜いた。猛々しく青く、底光りする剣の重さが、今のユーノには唯一の慰めとなる。
気合いを込めた、と見る間に、ギヌアの黒馬がこちらを目指して駆け寄ってきた。待ち構え、呼吸をはかる。初めの太刀は耐え抜けるだろう。次の太刀も運さえよければ受け堪えられる。だが、三太刀めは? その次の太刀は?
(考えるな)
ユーノは怯え始める自分を叱咤した。アシャ達のいる安心に慣れ切ってしまった心がぐずぐずと弱く座り込みそうになる。
(未来を考えるな。考えたところで、全ては一瞬、ラズーンの神のもとにしかない!)
黒剣が振り下ろされるのに、ユーノは渾身の力で剣を振り上げた。
ガキッ!
「っ!」
はっとして、ユーノは我に返った。
目の前に、夢の続きなのか、それとも現実なのか、ギヌアの冷たく整った顔が迫ってきている。一撃を受け止めた剣を支えた腕は、既にじんわりと痺れ始めている。
「ほほう」
満足げな声が相手の薄い唇から響いた。
「これは、たいした遣い手だったな」
にんまりと笑うと、端正な顔立ちが妙に醜悪に引き攣れた。
「眠っていると思っていたのだが」
「く…」
剣を受け止めたユーノに、ことばに応じる余裕はなかった。押してくる力に抵抗するだけで精一杯、両脚の間で不安そうに猛るヒストを御する気力がない。食いしばった歯の間から、思わず細い呻きが漏れる。
「無茶なことをする『銀の王族』もいたものだ、こともあろうに、守り手たる視察官(オペ)を置き去るとは」
「こっ…ちの勝手……だろ」
ユーノは小さく喘いだ。ぎりりっと刃が噛み合った部分から微かな火花が散ったように見える。
「そうだな、お前の勝手だろうよ。しかし、『銀の王族』狩りの格好の餌食となることまでは、考えていなかっただろう」
爛々と輝くギヌアの瞳の邪悪さに、ユーノはめまいを感じた。心を直接侵されるような不快感、じりじりとした痺れが腕の力を奪っていく。
殺られるな、と、心のどこかが悟り切ったように呟いた。
(死ぬ寸前なら、アシャを呼んでもいいかな)
醒めて冷ややかなその部分は、ぼんやりと虚ろに続けた。
死ぬ前なら、どこの誰にも迷惑はかからない。レアナに知られることも、アシャに届くこともなく、それでも満足して逝けるかも知れない、と。
その呟きは甘い香りを漂わせていた。心の空白を呼び込むような、全てを投げ出してしまえと誘うような声だ。
(死ねばいいのか? 死ねば、この気持ちは……全うされるのか?)
「ふふふふ…」
ギヌアは低い含み笑いを漏らした。片手でユーノに黒剣を押しつけながら、もう片方の手をマントの下に差し入れる。それから、ゆっくりと見せびらかすような仕草で、視察官(オペ)の徴の黄金の短剣を抜き放った。
装飾的な造りの剣が、どれほどの威力を備えているのか、ユーノはよく知っている。ガズラの湖での死闘、辺境の塔での戦い……焼け焦げた傷を抱えてのたうち回る『運命(リマイン)』の姿と、肉の焦げ爛れるおぞましい臭いが、ユーノの感覚にはっきりと蘇ってくる。
無意識に体を強張らせたのだろうか、凝視していたギヌアがことばの効果を十分楽しむように短剣の切っ先をユーノに向けた。両手を塞がれ、無防備になっている彼女の鳩尾めがけて、するすると剣を進め始める。
「お前は幾度も、この剣による死を見て来ているな」
掠れるような、さっきまでの明瞭さとは打って変わった、どこか妖しい喜びを含ませた不気味な声で、ギヌアは囁いた。
「だが、その体で感じたことはあるまい? どれほどの苦痛か、どれほどの絶望か……味わってみるのもよかろう?」
ユーノの額から冷や汗が流れ落ちる。
塔での戦いで、ユーノは腹に傷を負った。その傷が再び口を開いて膿み出した気がする。今度はもっと酷い痛みかも知れない、そんな恐怖が勝手に体を走り抜け、力を削いでいく。
「他の『銀の王族』なら、私自ら狩りには来ん」
ユーノの体まで後少し、というところで、ギヌアは短剣を進めるのを止めた。ぎしぎし、なおもきしんでいる上方の剣の絡み合いを一瞥し、再びにやりと禍々しい笑みを広げる。
「だが、お前は特別だ………アシャの保護下にあるからな」
くっくっくっ……と喉の奥で、ギヌアは陰鬱な笑い声を響かせた。
「私は、あいつの関わる全てのものを、できるだけ惨い方法で屠ってやりたいのだ。……そんなもので、あいつに与えられた屈辱が消えるわけではないが……せめてもの代償としてな」
ギヌアの瞳はぎらついて憎しみに満ちている。その目の奥には、この前の戦いが再現されているのかも知れない。アシャの手加減、ミネルバの仲裁でようやく命長らえた戦いのことを。それは煮えたぎるような恨みとなって、ギヌアの心を呑み尽くし、焼き続けているのかも知れない。
ユーノが抵抗を強めたのを感じたのか、ギヌアは再び剣を進め始めた。切っ先が僅かにユーノのチュニックに触れ、微かに横に揺れたような動きで擦れ合った、と、たったそれだけの接触だったのに、チュニックはあっさりと裂かれて、淡い色の煙を上げた。恐ろしい切れ味だ。
「く…」
竦む体に、ユーノは二重に焦った。
(このままじゃ…確実に殺られる)
危機感がぼやけた意識を払いのけた。と、その時、いかなる天の配剤か、曇っていた空からついにぽつりと雨滴が落ちてきた。
ほんの一瞬、ギヌアの気がそちらに逸れる。
万に一つの活路を見出そうとしているユーノにとっては奇跡の瞬間、声にならぬ気合いとともに、重なっていた剣を引きはがし、同時に片足を振り上げ、突然剣から力が抜けたせいで前へのめり込むような姿勢になったギヌアの顔めがけて爪先を叩き込む。
「はっ」
「ち!」
だが、さすがに『運命(リマイン)』の王、ユーノの動きはギヌアに捉えられていた。すぐに体勢を立て直したギヌアは、寸前にマントで視界を遮りながら飛びすさって、足蹴りを避ける。
二人は再び間を空けて対峙した。
はあはあと息を荒げ、肩を上下させながらギヌアの動きを警戒しているユーノ、じっと見返すギヌアの目に、ふいに異様に朗らかな喜びが満ちた。
「なんと、な」
低く嗄れた声が、感極まったように呟く。
「お前は……素晴しい獲物だ」
ユーノはぞっとして身を竦めた。
『運命(リマイン)』の立場の正否は別としても、ギヌア・ラズーンには持ってうまれたと言ってもいいような独特な禍々しい気配がある。
ギヌアはじろじろとユーノを、頭の先から足の先へ、再び足の先から舐め上げるように頭の上へと視線を動かした。
「ユーノ・セレディス、ふうん」
味わうように名前を呟く。
「さぞ、楽しい狩りになるだろうな」
薄い酷薄そうな唇を綻ばせた。
ぽつ…ぽつ、と間合いを縮めて落ちて来る雨に目を細める。
「お前が欲しいな。お前の血を、我らが祭壇に、一滴残らず捧げてやろう……お前は、それに十分価する。このうえない扱いだ、感謝するがいい」
「おぞましい趣味だな」
ユーノが吐き捨てると、ギヌアはより嬉しそうに嗤った。
「それをかきたてるものを、お前は持っている」
ギヌアは黒剣を無造作に振り上げた。ユーノも剣を構えた。恐怖だろうか、それともぎりぎりの誇りだろうか、体を小刻みに震えが走る。
「まずは腕、一本」
「!」
何をする暇もなかった。ぴりっとふいに左腕に痛みが走り、ユーノはとっさに悲鳴だけを何とか噛み殺した。
(剣筋も、わからない)
衝撃に体がふらついている。左腕には、まるで稲妻に打たれでもしたような黒い焦げ痕が刻まれている。力がそこから一気に抜け落ち、剣も支えられなくなって、ユーノは右腕一本の力で剣を構えた。
(やっぱり、ただの剣じゃない)
もう剣は離れているのに、傷痕そのものが何か別の生き物のように、ユーノの表皮から内側へ、体を食い荒らしに入ってくるような感覚だ。出来る限り早く傷を受けた部分を削ぎ落とさなくてはならない、そんな不安さえ胸に広がる。
「それでも、本能的に避けた、か」
ギヌアはますます楽しそうに続けた。
「傷は痛いだろう? ただの『運命(リマイン)』の剣と思うなよ……視察官(オペ)が使う黒剣、その威力は」
にぃやり、とギヌアの顔が歪む。
「これから存分に味わえるがな」
(嬲り殺しにする気だ)
ユーノは左腕から広がってくる痛みから、必死に我を取り戻そうとした。
「次……左脚、一本」
気負いもせずに淡々と宣言した瞬間に伸びて来る剣に、ユーノは青眼から剣を動かさなかった。避けられるとすれば、ぎりぎりで躱すしかない。その躱した瞬間に飛び込んで仕留めるしかない。あえて左脚を餌にしての、相打ち覚悟だ。
(この一撃で終わりだ、勝つにしても、負けるにしても)
が、その時ふいに、予期せぬ叫びが密度を増していく雨の垂れ幕の彼方から沸き起こった。
「オーダ・シーガル! オーダ・レイ!」
わああっ、と怒濤のような声が響き渡る。同時に大地を揺らす、重い蹄の音が辺りを圧する。凄まじい音量だ。
「オーダ・シートス! オーダ・レイ!」
レイ、レイ、レイ、と声が続いた。
ちっと忌々しそうに舌打ちするギヌアが振り向いた方向から、地面を這う黒雲のような塊が押し寄せてきた。驟雨の中をものともせずに、およそ百騎ほどの群れが声を上げながら走り寄ってくる。
馬ではない。深い緑色の肌、尖った耳と嘴を持った四つ足で走る竜、のような動物だ。
「シーガリオンか!」
ぐ、とギヌアは手綱を引いた。悔しげに、
「とんだ邪魔を!」
突進してくる竜達の進路から、うろたえたように馬を移動させる。
「オーダ・シーガル! オーダ・レイ! レイ、レイ、レイ、レイ、レイ!」
竜には武装した男達が乗っている。そして彼らは、ユーノが聞き慣れないことばを繰り返し叫びながら押し寄せてくる。
(シーガリオン? ああ、そう言えば)
アシャから聞いたことがある、と思い出した。
ラズーンの南の平原には、野戦部隊(シーガリオン)という荒くれ達の部隊があり、ラズーンの外部防衛に当たっている。見かけはごついが性格はおとなしい、しかし一旦怒らせれば一都を灰燼にするという平原竜(タロ)を乗り回していると言う。
今、押し寄せてきている一隊は、まさしくその野戦部隊(シーガリオン)そのものに違いない。
平原竜(タロ)の上に一人か二人ずつ、深い緑の鎧を着け茶色の衣の裾をなびかせた、体格の良い男達が乗っている。身に帯びている剣や抱えた投げ槍が、雨の中でぎらぎらとユーノの目を射てくる。
猛々しい壮観さ、草原の王者のような力強さは周囲を圧した。避けねば流れに押し潰されると気づいた時には既に遅く、ユーノは奔流となって駆け抜ける野戦部隊(シーガリオン)の群れの中に呑み込まれていた。
呟けば、仄かな甘さが口に広がる。
(アシャ…)
闇の中に一条の光、金粉を散らし、膝を抱えて踞ったユーノを照らす。
その光は温かかった。凍てつき強張ったユーノの心を溶かしていく何かがあった。
(守って……くれるの?)
庇うように目の前に現れたアシャの背中に問いかける。
(姫として、守ってくれるの?)
アシャの気配が包み込むようにユーノを抱く。切ない吐息を身を震わせて吐き出しながら、ユーノは俯いた。ことん、と額をアシャの背中につけると、相手の体が静かに回った。そっと頭に置かれる大きな手、髪をまさぐり、優しく撫でてくれる、その甘さ。
(でも…アシャ)
眉をひそめ、おそるおそるためらいながら、そっとユーノは呟いた。
(私……ちっとも姫らしくないんだ……守ってもらえるもの…何一つ持ってない……)
ふ、とアシャは笑ったようだった。
ばかだな、そんなことはないよ。
音にならない声がユーノの耳に快く響く。
ユーノはほっとして体の力を抜いた。微笑む、安心して、甘えようとして。
だが、その響きは、温かな優しさのまま、こう続けた。
レアナの大切な妹じゃないか。セレドの第二皇女じゃないか。そして、何よりも、ラズーンにとってはかけがえのない『銀の王族』じゃないか、守られて当然だ。
びく、とユーノは体を強張らせた。そろそろ、顔を上げる。
(アシャ…)
違うのか?
響きは不審げに、どこかおどけてからかうように尋ねてきた。
それ以外の何かだっていうのか?
(あ……ああ)
ユーノは笑おうとした。
唇が震える。心が裂かれて血を流す。切なくひそめた眉を必死になって緩め、唇の両端を吊り上げ、目を細めて首を傾げてみせる。委ねてもたれていた体を、そっとアシャから引き離す。
(そう…だよね)
呟いた声が震えるのを堪えた。ひどく幼く舌足らずに聞こえるのに焦りながら、なおも唇を微笑ませる。とっさに、本当に不覚にも滲みそうになった涙を、できるだけ平然とした様子を崩さないように呑み下しながら、
(レアナ姉さまの……妹、だものね)
くすり、と笑ってみせた。
(ほんとに、それだけだものねえ…)
くすくすと笑い続けるだけで、自分が壊れていくのがわかる。笑い声はユーノを嘲笑っている、主であるユーノの間抜けさを。
アシャも豊かな朗らかな笑い声を上げた。
どうしたんだ? お前らしくないな。
(うん……でも、そんなに、笑わないでよ、アシャ)
同じようにどんどん明るく笑いながら、ユーノは肩にかけられたアシャの手を冗談を装って払った。
その手は二度とユーノの体に触れては来ない。それとわかると、なんだか全てがひどくおかしくなってきて、ユーノはますます笑い続けた。
(ほんのちょっと……間違えただけだよ、アシャ)
笑い続けている声は一点の曇りもなく響くのに、頬にひんやりと冷たいものが滑り落ちてくるのを感じる。
それを無視しようとして、ユーノはことさらアシャに話しかけた。
(あなたがあんまり優しいから……私は姫君扱いされないってこと、ちょっと忘れてたんだよ)
涙が溢れる。とめどなく、胸に腕に体に降りかかり、夜露のように冷えてくる。
(だから……ねえ、お願いだから、笑わないでよ、アシャ。私が……ばかだっただけだって…認めるからさ……私じゃだめだって……認めるから……お願いだよ、もう…笑わないで……)
辺りに霜が降りたように寒くなった。
セレドではめったにみかけない、銀の霜。ざくざくと足下に固い抵抗を残して砕けていく霜。砕けた欠片は鋭い針のように、立ち竦むユーノの足を貫く。
その白々とした輝きの中から、ぐいぐいとギヌア・ラズーンの姿が立ち上がった。
はっとして見つめるユーノの目に、世の魔『運命(リマイン)』を率いる長の紅の瞳が、残虐な輝きを増していくのが映る。
無意識に、さっきまでアシャが居た場所を振り返ったが、そこにはもう誰もいない。
ユーノ一人しか、ここにはいない。
淡く笑った。
(何を求めた? 誰の姿を求めていた?)
向き直れば、ギヌアが、黒くなるまで人の血を吸ったと言いたげな『運命(リマイン)』の黒剣を差し上げているのが、目に飛び込んでくる。
(一人で戦え、ということだ)
唇を噛む。
いまさらだじろいでどうする。そんなに弱い娘だったのか。カザド相手に幾千もの、幾万もの夜を駆け抜けてきた自分が、アシャさえ手こずるような相手だからと言って、後ろを見せていいということにはならない。
ユーノは剣を引き抜いた。猛々しく青く、底光りする剣の重さが、今のユーノには唯一の慰めとなる。
気合いを込めた、と見る間に、ギヌアの黒馬がこちらを目指して駆け寄ってきた。待ち構え、呼吸をはかる。初めの太刀は耐え抜けるだろう。次の太刀も運さえよければ受け堪えられる。だが、三太刀めは? その次の太刀は?
(考えるな)
ユーノは怯え始める自分を叱咤した。アシャ達のいる安心に慣れ切ってしまった心がぐずぐずと弱く座り込みそうになる。
(未来を考えるな。考えたところで、全ては一瞬、ラズーンの神のもとにしかない!)
黒剣が振り下ろされるのに、ユーノは渾身の力で剣を振り上げた。
ガキッ!
「っ!」
はっとして、ユーノは我に返った。
目の前に、夢の続きなのか、それとも現実なのか、ギヌアの冷たく整った顔が迫ってきている。一撃を受け止めた剣を支えた腕は、既にじんわりと痺れ始めている。
「ほほう」
満足げな声が相手の薄い唇から響いた。
「これは、たいした遣い手だったな」
にんまりと笑うと、端正な顔立ちが妙に醜悪に引き攣れた。
「眠っていると思っていたのだが」
「く…」
剣を受け止めたユーノに、ことばに応じる余裕はなかった。押してくる力に抵抗するだけで精一杯、両脚の間で不安そうに猛るヒストを御する気力がない。食いしばった歯の間から、思わず細い呻きが漏れる。
「無茶なことをする『銀の王族』もいたものだ、こともあろうに、守り手たる視察官(オペ)を置き去るとは」
「こっ…ちの勝手……だろ」
ユーノは小さく喘いだ。ぎりりっと刃が噛み合った部分から微かな火花が散ったように見える。
「そうだな、お前の勝手だろうよ。しかし、『銀の王族』狩りの格好の餌食となることまでは、考えていなかっただろう」
爛々と輝くギヌアの瞳の邪悪さに、ユーノはめまいを感じた。心を直接侵されるような不快感、じりじりとした痺れが腕の力を奪っていく。
殺られるな、と、心のどこかが悟り切ったように呟いた。
(死ぬ寸前なら、アシャを呼んでもいいかな)
醒めて冷ややかなその部分は、ぼんやりと虚ろに続けた。
死ぬ前なら、どこの誰にも迷惑はかからない。レアナに知られることも、アシャに届くこともなく、それでも満足して逝けるかも知れない、と。
その呟きは甘い香りを漂わせていた。心の空白を呼び込むような、全てを投げ出してしまえと誘うような声だ。
(死ねばいいのか? 死ねば、この気持ちは……全うされるのか?)
「ふふふふ…」
ギヌアは低い含み笑いを漏らした。片手でユーノに黒剣を押しつけながら、もう片方の手をマントの下に差し入れる。それから、ゆっくりと見せびらかすような仕草で、視察官(オペ)の徴の黄金の短剣を抜き放った。
装飾的な造りの剣が、どれほどの威力を備えているのか、ユーノはよく知っている。ガズラの湖での死闘、辺境の塔での戦い……焼け焦げた傷を抱えてのたうち回る『運命(リマイン)』の姿と、肉の焦げ爛れるおぞましい臭いが、ユーノの感覚にはっきりと蘇ってくる。
無意識に体を強張らせたのだろうか、凝視していたギヌアがことばの効果を十分楽しむように短剣の切っ先をユーノに向けた。両手を塞がれ、無防備になっている彼女の鳩尾めがけて、するすると剣を進め始める。
「お前は幾度も、この剣による死を見て来ているな」
掠れるような、さっきまでの明瞭さとは打って変わった、どこか妖しい喜びを含ませた不気味な声で、ギヌアは囁いた。
「だが、その体で感じたことはあるまい? どれほどの苦痛か、どれほどの絶望か……味わってみるのもよかろう?」
ユーノの額から冷や汗が流れ落ちる。
塔での戦いで、ユーノは腹に傷を負った。その傷が再び口を開いて膿み出した気がする。今度はもっと酷い痛みかも知れない、そんな恐怖が勝手に体を走り抜け、力を削いでいく。
「他の『銀の王族』なら、私自ら狩りには来ん」
ユーノの体まで後少し、というところで、ギヌアは短剣を進めるのを止めた。ぎしぎし、なおもきしんでいる上方の剣の絡み合いを一瞥し、再びにやりと禍々しい笑みを広げる。
「だが、お前は特別だ………アシャの保護下にあるからな」
くっくっくっ……と喉の奥で、ギヌアは陰鬱な笑い声を響かせた。
「私は、あいつの関わる全てのものを、できるだけ惨い方法で屠ってやりたいのだ。……そんなもので、あいつに与えられた屈辱が消えるわけではないが……せめてもの代償としてな」
ギヌアの瞳はぎらついて憎しみに満ちている。その目の奥には、この前の戦いが再現されているのかも知れない。アシャの手加減、ミネルバの仲裁でようやく命長らえた戦いのことを。それは煮えたぎるような恨みとなって、ギヌアの心を呑み尽くし、焼き続けているのかも知れない。
ユーノが抵抗を強めたのを感じたのか、ギヌアは再び剣を進め始めた。切っ先が僅かにユーノのチュニックに触れ、微かに横に揺れたような動きで擦れ合った、と、たったそれだけの接触だったのに、チュニックはあっさりと裂かれて、淡い色の煙を上げた。恐ろしい切れ味だ。
「く…」
竦む体に、ユーノは二重に焦った。
(このままじゃ…確実に殺られる)
危機感がぼやけた意識を払いのけた。と、その時、いかなる天の配剤か、曇っていた空からついにぽつりと雨滴が落ちてきた。
ほんの一瞬、ギヌアの気がそちらに逸れる。
万に一つの活路を見出そうとしているユーノにとっては奇跡の瞬間、声にならぬ気合いとともに、重なっていた剣を引きはがし、同時に片足を振り上げ、突然剣から力が抜けたせいで前へのめり込むような姿勢になったギヌアの顔めがけて爪先を叩き込む。
「はっ」
「ち!」
だが、さすがに『運命(リマイン)』の王、ユーノの動きはギヌアに捉えられていた。すぐに体勢を立て直したギヌアは、寸前にマントで視界を遮りながら飛びすさって、足蹴りを避ける。
二人は再び間を空けて対峙した。
はあはあと息を荒げ、肩を上下させながらギヌアの動きを警戒しているユーノ、じっと見返すギヌアの目に、ふいに異様に朗らかな喜びが満ちた。
「なんと、な」
低く嗄れた声が、感極まったように呟く。
「お前は……素晴しい獲物だ」
ユーノはぞっとして身を竦めた。
『運命(リマイン)』の立場の正否は別としても、ギヌア・ラズーンには持ってうまれたと言ってもいいような独特な禍々しい気配がある。
ギヌアはじろじろとユーノを、頭の先から足の先へ、再び足の先から舐め上げるように頭の上へと視線を動かした。
「ユーノ・セレディス、ふうん」
味わうように名前を呟く。
「さぞ、楽しい狩りになるだろうな」
薄い酷薄そうな唇を綻ばせた。
ぽつ…ぽつ、と間合いを縮めて落ちて来る雨に目を細める。
「お前が欲しいな。お前の血を、我らが祭壇に、一滴残らず捧げてやろう……お前は、それに十分価する。このうえない扱いだ、感謝するがいい」
「おぞましい趣味だな」
ユーノが吐き捨てると、ギヌアはより嬉しそうに嗤った。
「それをかきたてるものを、お前は持っている」
ギヌアは黒剣を無造作に振り上げた。ユーノも剣を構えた。恐怖だろうか、それともぎりぎりの誇りだろうか、体を小刻みに震えが走る。
「まずは腕、一本」
「!」
何をする暇もなかった。ぴりっとふいに左腕に痛みが走り、ユーノはとっさに悲鳴だけを何とか噛み殺した。
(剣筋も、わからない)
衝撃に体がふらついている。左腕には、まるで稲妻に打たれでもしたような黒い焦げ痕が刻まれている。力がそこから一気に抜け落ち、剣も支えられなくなって、ユーノは右腕一本の力で剣を構えた。
(やっぱり、ただの剣じゃない)
もう剣は離れているのに、傷痕そのものが何か別の生き物のように、ユーノの表皮から内側へ、体を食い荒らしに入ってくるような感覚だ。出来る限り早く傷を受けた部分を削ぎ落とさなくてはならない、そんな不安さえ胸に広がる。
「それでも、本能的に避けた、か」
ギヌアはますます楽しそうに続けた。
「傷は痛いだろう? ただの『運命(リマイン)』の剣と思うなよ……視察官(オペ)が使う黒剣、その威力は」
にぃやり、とギヌアの顔が歪む。
「これから存分に味わえるがな」
(嬲り殺しにする気だ)
ユーノは左腕から広がってくる痛みから、必死に我を取り戻そうとした。
「次……左脚、一本」
気負いもせずに淡々と宣言した瞬間に伸びて来る剣に、ユーノは青眼から剣を動かさなかった。避けられるとすれば、ぎりぎりで躱すしかない。その躱した瞬間に飛び込んで仕留めるしかない。あえて左脚を餌にしての、相打ち覚悟だ。
(この一撃で終わりだ、勝つにしても、負けるにしても)
が、その時ふいに、予期せぬ叫びが密度を増していく雨の垂れ幕の彼方から沸き起こった。
「オーダ・シーガル! オーダ・レイ!」
わああっ、と怒濤のような声が響き渡る。同時に大地を揺らす、重い蹄の音が辺りを圧する。凄まじい音量だ。
「オーダ・シートス! オーダ・レイ!」
レイ、レイ、レイ、と声が続いた。
ちっと忌々しそうに舌打ちするギヌアが振り向いた方向から、地面を這う黒雲のような塊が押し寄せてきた。驟雨の中をものともせずに、およそ百騎ほどの群れが声を上げながら走り寄ってくる。
馬ではない。深い緑色の肌、尖った耳と嘴を持った四つ足で走る竜、のような動物だ。
「シーガリオンか!」
ぐ、とギヌアは手綱を引いた。悔しげに、
「とんだ邪魔を!」
突進してくる竜達の進路から、うろたえたように馬を移動させる。
「オーダ・シーガル! オーダ・レイ! レイ、レイ、レイ、レイ、レイ!」
竜には武装した男達が乗っている。そして彼らは、ユーノが聞き慣れないことばを繰り返し叫びながら押し寄せてくる。
(シーガリオン? ああ、そう言えば)
アシャから聞いたことがある、と思い出した。
ラズーンの南の平原には、野戦部隊(シーガリオン)という荒くれ達の部隊があり、ラズーンの外部防衛に当たっている。見かけはごついが性格はおとなしい、しかし一旦怒らせれば一都を灰燼にするという平原竜(タロ)を乗り回していると言う。
今、押し寄せてきている一隊は、まさしくその野戦部隊(シーガリオン)そのものに違いない。
平原竜(タロ)の上に一人か二人ずつ、深い緑の鎧を着け茶色の衣の裾をなびかせた、体格の良い男達が乗っている。身に帯びている剣や抱えた投げ槍が、雨の中でぎらぎらとユーノの目を射てくる。
猛々しい壮観さ、草原の王者のような力強さは周囲を圧した。避けねば流れに押し潰されると気づいた時には既に遅く、ユーノは奔流となって駆け抜ける野戦部隊(シーガリオン)の群れの中に呑み込まれていた。
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