『ラズーン』番外編

segakiyui

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『愛ってなあに?』

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「まず、肉だ」
「う、うん」
 イルファががしっと掴んだ血の滴る生肉にレスファートがびくりとする。
「ギュー肉だろ、ブターの肉だろ、トーリ肉だろ、ラッム肉だろ」
「イ、イルファ…」
 レスファートの困惑におかまいなしに、イルファは手にした肉をどがどがばきばきと叩き切りながら大鍋の中に放り込んでいく。
 それは一体何の肉なの、とか、それがぼくの質問とどういう関係があるの、とか、レスファートにはいろいろ聞きたいことがあったが、とても口を挟めない。
 大好きな人においしいものを食べてもらいたいって思う気持ちって『愛』っていうのかな。
 ぼくはそう聞いたんだけど。
「まあ、いささかこだわりだが、ウーマとか、シシーとかも入れていい」
 香ばしい匂いの煙をあげ、じゅわじゅわと脂を弾けさせながら焼かれていく肉を呆然と見ていたレスファートがはっと我に返った。
「イルファっ」
「あん?」
「おやさい、は?」
「邪道だ」
「え?」
「野菜は、邪道だ」
「じゃどー……」
「あえてこれに追加するなら」
 ペクだな。
「えええっ!」
 それってアシャに食べてもらうんだよね? でもって、ペクってアシャが苦手だっていってるものだよね? 食べると気持ちが落ち着かなくなるから嫌いだっていってたよね?
「なのに、なんでいれちゃうの?」
 慌てて確認したレスファートにイルファが盛大ににっこりする。
「だからだ」
「?」
「いいか、レス」
 素早く手を拭ったイルファが、その両手でがちりとレスファートの肩を掴んで深々と覗き込んできた。
「時に愛は非情なものだ」
「う、うん」
「惚れてるからこその試練、ということもある」
「う、うん…?」
「それに考えてみろ?」
 落ち着かなくて不安そうなアシャは、いつもより色っぽいんだぞ。
「うん……? あ…」
 ふいにごそりとイルファの背後に立ち上がった相手にレスファートは目を見開く。
「恋人たるもの、そんなおいしい機会を逃していいと思って……っぐがっ!」
 満面崩れた笑みを浮かべたイルファの脳天直撃コースでアシャのこぶしが炸裂した。
「誰が恋人だ」
「………アシャ」
 たぶん、イルファには聞こえてないと思うよ。
 レスファートはひくひく痙攣しながら転がっているイルファを見下ろして溜め息をついた。
「一つわかった」
「あん?」
「『愛』ってキケンなんだね」
「……まあな」
 引きつった顔で視線を逸らせるアシャに、レスファートは思う。
 ぼくがユーノに作ってあげるときは、ユーノの大好きなものにしよう。
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