乙女ゲームのモブキャラから離脱してみせます。

沖城沙音

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46話 ドラゴン

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僕らはドラゴンから少し距離を置いて山に降り、岩陰に身を潜めながら様子をうかがう。
ドラゴンはやはり穴の中で寝ているらしく、僕らに気づいている様子はない。

「まだ私たちに気がついていないみたいだから、不意打ちを狙いましょ。」
「うん。そうだね。ただ、あの体勢だと仕留めきれないね。」

ん?どういうこと?
「お父さん、今の体勢だとまずいの?」

「ドラゴンを倒すにはドラゴンの首にある核を壊す必要があるんだ。」
「なるほど。」
確かに今は首が胴体の方にまるまるようにして寝ているから、お父さんが言うように核は確認ができない。

「とりあえず胴体を狙って魔法を打ち込むしかないね。」
「わかった。」

「そしたら、お父さんとフランツで一緒に魔法を打ち込もうか。」
「うん。その後はどうすればいい?」

「核が確認出来たら、それを破壊することに集中すればいいよ。」
「わかった。あれ?そういえばお母さんはどうやって戦うの?」

「もちろん剣よ。」
「え?でも持ってないよね?」

「あるわよ?ここに。」
お母さんは上に羽織っていた服をめくると、腰のあたりに短剣が隠れていた。

「あっ本当だ。短剣なんだね。てっきり長いのかと思ってた。」
「そうね。普段から目立たないようにするために短剣なの。じゃ、やりましょうか。」

僕らはドラゴンの方に近づき、お父さんと目で合図してそれぞれ同時に魔法を打ち込む。

ドラゴンは勢いよく起き上がると、僕らをにらみつけている。
気持ちよく寝ているところを邪魔されて相当怒っているようだ。

でもそのおかげで、エメラルドのように輝いている核の場所は確認できた。

ドラゴンは僕らに向かって火を吹いてきたが、各々かわし、間髪入れずに核をめがけて魔法を放つ。

ただ、ドラゴンも核を意識しているのか、簡単には当たらない。


その後自然と、お母さんは接近戦で、お父さんはその支援をするという構図になった。
そのコンビネーションの良さに、つい見とれてしまう。
何て言うか、息ぴったりだ。前もこんな風に2人で戦ってたりしたのかな?

2人はドラゴン相手に一歩も引けを取っていない。

「フランツ!」
「フランツ!」
2人が同時に僕の名前を呼ぶ。

しまった!見とれてた。
ドラゴンはいつの間にか僕に狙いを定めたらしく、ドラゴンの爪が僕を捕らえようとしていた。
この距離はまずい!!
避けるより防御の方がいいと思い、最大強度の結界を張り、構える。

あれ?当たった感覚がない。

「フランツ、大丈夫?」
お母さんが、ドラゴンの爪を剣で受け止めていた。
「お母さん。」

「フランツ、油断しないよ。今お父さんたちが抑えているうちに核を壊すんだ!」
お父さんも魔法でドラゴンの動きを制限していた。

「お父さんも。ありがとう!わかった!」

2人とも、僕を守りながら戦ってくれてたんだ。

僕はドラゴンの首にある宝石のような核に向かって、最大級の雷の矢を放った。
「行けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

その雷は、見事ドラゴンに命中し、核が砕ける。
それと同時にドラゴンもその場に倒れた。
「これって、倒せたの?」

「あぁ。よくやったな。」
「フランツ怪我はない?」
「うん。大丈夫だよ。お母さん、お父さんもありがとう。」
僕はお父さんお母さんを抱きしめる。


「この倒したドラゴンってどうするの?」
「そうね。ドラゴンは貴重な素材だらけだから、持って帰りたいところだけど、これを運ぶのは大変ね。」

「持って帰るなら僕、多分持てるよ。」
ドラゴンの周りの空気を利用して、ドラゴンを包み込みように持ち上げる。

「相変わらず、すごいな。」
お父さんは感心しているようだ。

「あっ、そうだ。フランツ、お母さんから一つアドバイス。この割れたドラゴンの核は少し貰っていったら?」
確かに核は宝石みたいできれいだけど、
「なんで核?」

「魔物の核はアクセサリーにも使われているのよ。さすがにドラゴンのはないけどね。好きな子いるんでしょ?その子にこの核を使ってアクセサリープレゼントしたら?」

「そうなんだ。知らなかった。じゃぁこの破片貰ってもいい?」
「ええ。いいわよねあなた?」
「うん。少しくらい大丈夫だと思うよ。」
「ありがとう。」


それから、僕らは隣国の軍隊がいるところまで戻り、ドラゴンを討伐したと報告する。
ドラゴンを丸々持っていったからか、兵士達はざわざわしている。

「おっお前ら!まさか本当にドラゴンを倒したというのか!?」
最初に来た、がたいのいい隊長が聞いてくる。

ドラゴンを倒しに行くということは、新人兵士から伝わっていたと思うが、まさか本当にやり遂げるとは思っていなかったんだろう。

その後、ドラゴンはそのまま王宮まで持ち帰り、解体してもらうことになった。

色々な報告や事務的なことは、すべてお父さんやお母さんがやってくれたらしく、今回、ドラゴンを倒しに行くという勝手な行動をとったにもかかわらず、お偉いさんたちからのお咎めはなかった。

まぁドラゴンの素材が手に入っただけでも十分だったんだろう。それに隣国に恩も売れることになっただろうし。

初めての外国、今度はゆっくり観光したいな。
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