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移送作戦【準備】・5
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オルキデアが仕事の合間にアリーシャの移送日について調べていたところ、丁度、四日後に軍部で大きな演習を行うことを知った。
王都駐在の兵士の士気や能力の維持、部隊での結束を図る為に、定期的に行っている演習であり、持ち回り制で軍部の三分の二以上の部隊と兵が、参加を命じられているものだった。
勿論、軍部を空にするわけにもいかないので、残りの三分の一の部隊と兵は軍部に残って通常の仕事を行う。
そして今回軍部に残留する部隊の中には、オルキデアが指揮する部隊が入っていた。
本来ならオルキデアも軍部に待機しなければならないが、この演習に関しては不参加で良いと上官であるプロキオンに言われていた。その代わりに、先日までの軍事施設の襲撃に参加していた分の休暇を取るように指示されたのであった。
またこの機会に、軍事施設の襲撃以前に休暇返上で働いていた分も、振り替えで取るように命じられていた。
そこでオルキデアはこの休暇の取得を利用して、上官の命に従って休暇を取りつつ、アリーシャの移送日に当てようと考えたのであった。
オルキデアから話を聞いたクシャースラは「なるほどな」と納得したようであった。
「それは名案だな。その日はおれも休暇を取るように命じられていたから、心置きなく手伝おう」
クシャースラもオルキデアが軍事施設の襲撃に参加する直前より、仕事でしばらく王都を不在にしていた。
その分の休暇を取るようにクシャースラも命じられており、せっかくならとオルキデアと休暇を合わせるつもりだったらしい。
「ああ。それは助かる。で、その日はセシリアの予定は空いているのか?」
「本人に確認しないとわからないが、その日は仕事が休みの日だったから、おそらくは空いていると思う。今日中に確認して連絡するよ」
高等学校を卒業してからクシャースラと結婚するまでのセシリアは、実家の為に昼も夜も関係なく、休む間もなくずっと働いていた。
セシリアの実家であるコーンウォール家には曽祖父の代に事業で失敗した際の借金が残っており、それを返済しつつ、セシリアの歳の離れた弟たちの学費も稼がなければならなかった。
そんなセシリアは家や弟たちの為に働くことで手一杯であり、当初はクシャースラと結婚する余裕さえ無かったらしい。そんな働き方ではいずれ身体を壊すと、セシリアの家族やオルキデアも説得したが、セシリアは話を聞いてくれなかった。
けれども、最終的にはセシリアの身を案じるクシャースラの熱意に負ける形でセシリアは結婚した。
借金もクシャースラが功績を上げ続けたことで軍部から得ていた多額の戦勝金を結納金として渡すことで、セシリアの無茶苦茶な労働を終わらせられた。
コーンウォール家はセシリアの父親の代でようやく借金の返済を完遂したのだった。
クシャースラと結婚して家庭に入ってからは、セシリアは以前ほど忙しく無いと聞いていた。
それどころか、自分の時間が増えて、悠々と過ごしているようであった。
ガーデニングに料理に裁縫にと、これまで出来なかった娯楽にも挑戦しているらしい。オルキデアもクシャースラを通じて、たまにおこぼれを貰うことがあった。クシャースラが得意げに話す、セシリアとの馴れ初め話付きではあるがーー。
そんな仲睦まじいクシャースラとセシリアではあるが、二人の間にまだ子供はいない。
これは内的要因、外的要因がある訳ではなく、女性に関しては初心なクシャースラが、なかなかセシリアに手を出さないのが原因ではないかとオルキデアは考えている。
士官学校にはトップの成績で入学して総代として宣誓を誓い、卒業時にもトップの成績を収めて、再び総代を務めた。
そんな智略と勇気に優れ、若くしてオルキデアと同じ将官の階級になる程に優秀な軍人であり、女性に関してはてんで奥手で駄目な男。
それがクシャースラという、オルキデアの唯一無二の親友であった。
「ああ。そうしてくれ。それで、移送の方法だが……」
オルキデアが説明すると、クシャースラからいくつか質問が上がった。
それに答えつつ、アリーシャの移送作戦について段取りを決めていると、やがて外は暗くなり、夜になったのだった。
王都駐在の兵士の士気や能力の維持、部隊での結束を図る為に、定期的に行っている演習であり、持ち回り制で軍部の三分の二以上の部隊と兵が、参加を命じられているものだった。
勿論、軍部を空にするわけにもいかないので、残りの三分の一の部隊と兵は軍部に残って通常の仕事を行う。
そして今回軍部に残留する部隊の中には、オルキデアが指揮する部隊が入っていた。
本来ならオルキデアも軍部に待機しなければならないが、この演習に関しては不参加で良いと上官であるプロキオンに言われていた。その代わりに、先日までの軍事施設の襲撃に参加していた分の休暇を取るように指示されたのであった。
またこの機会に、軍事施設の襲撃以前に休暇返上で働いていた分も、振り替えで取るように命じられていた。
そこでオルキデアはこの休暇の取得を利用して、上官の命に従って休暇を取りつつ、アリーシャの移送日に当てようと考えたのであった。
オルキデアから話を聞いたクシャースラは「なるほどな」と納得したようであった。
「それは名案だな。その日はおれも休暇を取るように命じられていたから、心置きなく手伝おう」
クシャースラもオルキデアが軍事施設の襲撃に参加する直前より、仕事でしばらく王都を不在にしていた。
その分の休暇を取るようにクシャースラも命じられており、せっかくならとオルキデアと休暇を合わせるつもりだったらしい。
「ああ。それは助かる。で、その日はセシリアの予定は空いているのか?」
「本人に確認しないとわからないが、その日は仕事が休みの日だったから、おそらくは空いていると思う。今日中に確認して連絡するよ」
高等学校を卒業してからクシャースラと結婚するまでのセシリアは、実家の為に昼も夜も関係なく、休む間もなくずっと働いていた。
セシリアの実家であるコーンウォール家には曽祖父の代に事業で失敗した際の借金が残っており、それを返済しつつ、セシリアの歳の離れた弟たちの学費も稼がなければならなかった。
そんなセシリアは家や弟たちの為に働くことで手一杯であり、当初はクシャースラと結婚する余裕さえ無かったらしい。そんな働き方ではいずれ身体を壊すと、セシリアの家族やオルキデアも説得したが、セシリアは話を聞いてくれなかった。
けれども、最終的にはセシリアの身を案じるクシャースラの熱意に負ける形でセシリアは結婚した。
借金もクシャースラが功績を上げ続けたことで軍部から得ていた多額の戦勝金を結納金として渡すことで、セシリアの無茶苦茶な労働を終わらせられた。
コーンウォール家はセシリアの父親の代でようやく借金の返済を完遂したのだった。
クシャースラと結婚して家庭に入ってからは、セシリアは以前ほど忙しく無いと聞いていた。
それどころか、自分の時間が増えて、悠々と過ごしているようであった。
ガーデニングに料理に裁縫にと、これまで出来なかった娯楽にも挑戦しているらしい。オルキデアもクシャースラを通じて、たまにおこぼれを貰うことがあった。クシャースラが得意げに話す、セシリアとの馴れ初め話付きではあるがーー。
そんな仲睦まじいクシャースラとセシリアではあるが、二人の間にまだ子供はいない。
これは内的要因、外的要因がある訳ではなく、女性に関しては初心なクシャースラが、なかなかセシリアに手を出さないのが原因ではないかとオルキデアは考えている。
士官学校にはトップの成績で入学して総代として宣誓を誓い、卒業時にもトップの成績を収めて、再び総代を務めた。
そんな智略と勇気に優れ、若くしてオルキデアと同じ将官の階級になる程に優秀な軍人であり、女性に関してはてんで奥手で駄目な男。
それがクシャースラという、オルキデアの唯一無二の親友であった。
「ああ。そうしてくれ。それで、移送の方法だが……」
オルキデアが説明すると、クシャースラからいくつか質問が上がった。
それに答えつつ、アリーシャの移送作戦について段取りを決めていると、やがて外は暗くなり、夜になったのだった。
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