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勝負の日・6
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先にオルキデアが応接間に入ると、ティシュトリアの姿はソファーになかった。
その姿は、部屋の隅にある片付けが間に合っていなかった結婚祝いの山の前にあったのだった。
「こんなに結婚祝いを貰ったのね。片付いていないじゃない」
「どれも安物ばかり……」と紙袋の中を漁っていたティシュトリアだったが、オルキデアの気配に気付くと振り返る。
「安物ものばかりでも、どれも贈り主の心がこもった大切な物です」
「またそう言って。貴方には相応しくない……」
すると、ティシュトリアの視線がテーブルを見つめたまま固まる。
視線の先を辿ると、テーブルにはお茶の用意をするアリーシャの姿があった。
「あの娘……」
「彼女がアリーシャです。今、紹介します」
お茶の用意を終えたところで、オルキデアはティシュトリアを連れてテーブルに向かう。
アリーシャの隣に並ぶと、華奢な肩に腕を回して抱き寄せたのだった。
「母上。彼女が俺の伴侶であるアリーシャです」
次いでアリーシャに「俺の母のティシュトリアだ」と紹介する。
「初めまして。アリーシャです。先日はご挨拶が出来ず、申し訳ありません」
「ということは、やっぱり、この間、軍部に行った際に、オーキッドの部屋の前で会った……」
「はい。あの時はオルキデア様のお手伝いでお邪魔していただけだったので、身なりも整っておりませんでした。すみません。
改めて、ご挨拶させてください。お義母様」
明るい声で「義母様」と呼ばれたのが、相当答えたのか、ティシュトリアの顔が引きつっていた。
(いい気味だ)
内心でほくそ笑むと、二人にソファーを勧める。
「母上、座って話しませんか。アリーシャも」
「そうです、義母様。紅茶も淹れたので、召し上がって下さい。美味しいアールグレイティーです。冷める前にどうぞ」
アリーシャにも勧められたからか、ティシュトリアは渋々座る。
アリーシャの肩を離して、その向かいに並んで座りながら母の様子を伺う。
ティーカップを手に取ると警戒しているのか、くんくんと紅茶の匂いを嗅いだ後に、そっと口をつけたのだった。
「……なかなか美味しいんじゃない?」
ティーカップから口を離して、どこまでもぞんざいな態度のティシュトリアだったが、それを気にせず、「ありがとうございます」とアリーシャは笑みを浮かべていた。
「オーキッド。私はこの娘と別れるように言ったはずよ。どうして結婚したの?」
「愛しているからです」
間髪入れずに返したオルキデアに、ティシュトリアだけではなく、傍らに座るアリーシャも振り向く。
「彼女を愛している。結婚するなら、彼女以外、誰も考えられなかった。だから、結婚しました」
「オーキッド……」
「父上が生涯、ただ一人の女性である母上、貴女を愛したのと同じように。俺は彼女をーーアリーシャを愛しています」
立て板に水のようにアリーシャについて話すオルキデアだったが、これには自分自身も驚いていた。
アリーシャに対する「愛」について、ここまで淀みなく話せるとは思わなかった。
本当に今ここで話しているのは自分なのか、と戸惑う程に。
「唯一の家族である母上に相談せずに結婚したのは謝ります。
母上にアリーシャを否定されるのが怖かった。彼女との仲を引き裂かれるのが怖かったからです」
「すみません」と頭を下げるオルキデアに目もくれず、ティシュトリアはアリーシャに視線を向ける。
「アリーシャさんは? オーキッドを愛しているの?」
「私も、オルキデア様を愛しています」
アリーシャの「愛している」が胸に響く。
演技だとわかっているのに、何故か胸の中が温かくなっていく。
その姿は、部屋の隅にある片付けが間に合っていなかった結婚祝いの山の前にあったのだった。
「こんなに結婚祝いを貰ったのね。片付いていないじゃない」
「どれも安物ばかり……」と紙袋の中を漁っていたティシュトリアだったが、オルキデアの気配に気付くと振り返る。
「安物ものばかりでも、どれも贈り主の心がこもった大切な物です」
「またそう言って。貴方には相応しくない……」
すると、ティシュトリアの視線がテーブルを見つめたまま固まる。
視線の先を辿ると、テーブルにはお茶の用意をするアリーシャの姿があった。
「あの娘……」
「彼女がアリーシャです。今、紹介します」
お茶の用意を終えたところで、オルキデアはティシュトリアを連れてテーブルに向かう。
アリーシャの隣に並ぶと、華奢な肩に腕を回して抱き寄せたのだった。
「母上。彼女が俺の伴侶であるアリーシャです」
次いでアリーシャに「俺の母のティシュトリアだ」と紹介する。
「初めまして。アリーシャです。先日はご挨拶が出来ず、申し訳ありません」
「ということは、やっぱり、この間、軍部に行った際に、オーキッドの部屋の前で会った……」
「はい。あの時はオルキデア様のお手伝いでお邪魔していただけだったので、身なりも整っておりませんでした。すみません。
改めて、ご挨拶させてください。お義母様」
明るい声で「義母様」と呼ばれたのが、相当答えたのか、ティシュトリアの顔が引きつっていた。
(いい気味だ)
内心でほくそ笑むと、二人にソファーを勧める。
「母上、座って話しませんか。アリーシャも」
「そうです、義母様。紅茶も淹れたので、召し上がって下さい。美味しいアールグレイティーです。冷める前にどうぞ」
アリーシャにも勧められたからか、ティシュトリアは渋々座る。
アリーシャの肩を離して、その向かいに並んで座りながら母の様子を伺う。
ティーカップを手に取ると警戒しているのか、くんくんと紅茶の匂いを嗅いだ後に、そっと口をつけたのだった。
「……なかなか美味しいんじゃない?」
ティーカップから口を離して、どこまでもぞんざいな態度のティシュトリアだったが、それを気にせず、「ありがとうございます」とアリーシャは笑みを浮かべていた。
「オーキッド。私はこの娘と別れるように言ったはずよ。どうして結婚したの?」
「愛しているからです」
間髪入れずに返したオルキデアに、ティシュトリアだけではなく、傍らに座るアリーシャも振り向く。
「彼女を愛している。結婚するなら、彼女以外、誰も考えられなかった。だから、結婚しました」
「オーキッド……」
「父上が生涯、ただ一人の女性である母上、貴女を愛したのと同じように。俺は彼女をーーアリーシャを愛しています」
立て板に水のようにアリーシャについて話すオルキデアだったが、これには自分自身も驚いていた。
アリーシャに対する「愛」について、ここまで淀みなく話せるとは思わなかった。
本当に今ここで話しているのは自分なのか、と戸惑う程に。
「唯一の家族である母上に相談せずに結婚したのは謝ります。
母上にアリーシャを否定されるのが怖かった。彼女との仲を引き裂かれるのが怖かったからです」
「すみません」と頭を下げるオルキデアに目もくれず、ティシュトリアはアリーシャに視線を向ける。
「アリーシャさんは? オーキッドを愛しているの?」
「私も、オルキデア様を愛しています」
アリーシャの「愛している」が胸に響く。
演技だとわかっているのに、何故か胸の中が温かくなっていく。
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