アリサ・リリーベル・シュタルクヘルトは死んだ

夜霞

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※初夜・6

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「アリーシャ。お前の声を聞かせて欲しい」
「声、ですか?」
「さっきから全く声を上げていないじゃないか。苦しいのか? それとも、嫌か?」
「そうじゃないんです! その……変な声が出てしまいそうで……それで……」
「変な声でも、俺にとっては愛らしい囁きかもしれんぞ」
「でも……」
「いいから声を出せ。……愛する女を満足させることすら出来ないのかと、自分を責めてしまいそうになる」

顔を顰めて嘆息するオルキデアの首に腕を回したまま、「でも、どうすれば……」と息も絶え絶えに呟くと、強く抱きしめ返される。 

「これならいいだろう」
「こうって……?」

甘く優しい囁きなのに、どこか毒の様な苦みを感じて、そっと顔を上げる。オルキデアの濃い紫色の両目が細められたかと思うと、胸の頂を舐められたのだった。

「あ……ああん!」

繋がった状態で頂を吸われて、声が漏れてしまう。
先程、頂を吸われた時よりも快楽を覚えて、頭の中が惚けてしまいそうだった。

「あ、ああ……! そ、そこ、んんん……!」

飴の様にオルキデアの舌の上で転がされて、クチュと音を立てて吸われる。
更にアリーシャが身動いだ分、肉棒が動いて敏感な箇所を擦るので、ますます気持ち良くなって、声を上げてしまう。
声を上げる度に、これまで聞いたことのない艶かしい女の声が自分の口から出てくる。
こんな声が自分の口から出てくるとは思わず、耳まで赤く染まってしまう。

「そうだ。それでいい」
「うっ……イヤッ……」

あまりに満足そうに微笑むので、羞恥で涙が溢れてくる。それを目敏く見つけたのか、オルキデアは含むように笑いながらアリーシャの目元に口づけると、今にも溢れ落ちそうになっていた涙を吸い取ってくれたのだった。

「嫌と言いながらも、俺の身体から手は離さないんだな」

アリーシャの両手はずっとオルキデアの両肩を掴んだままであった。
そっと手を離すと、気づかない内に力を入れていたのか、オルキデアの逞しい腕に薄っすらとアリーシャの手形が残っていた。
それに気づいて顔を上げると、濃い紫色の瞳は気にするなというように小さく頷いた。

「もっと嫌がられて、怖いと言って泣き出すのではないかと思っていた。だが、お前は俺をしっかり掴んで、見つめてくる……やはり、お前は強い人間だな」
「それは……オルキデア様が目を逸らすなって言うから……」
「オルキデアかオーキッドと呼べと言っただろう。今度こそ、俺たちはもう何も遠慮しなくていい仲になったんだ。夫婦に……家族になったんだからな」

夫婦、家族という単語が頭の中に響き渡る。
これからは一人ぼっちじゃないんだと、胸が熱くなる。傍らには常に濃い紫色の瞳の夫がいてくれる。なんて心強く、幸福に満ちたことだろう。シュタルクヘルトあっちに住んでいた頃とは、雲泥の差であった。

「私たち、家族になったんですね……」

オルキデアの鍛えられた身体に身を委ねると、広い背中に腕を回して抱きつく。
そんなアリーシャの耳の後ろを、まるで猫を撫でるかの様に優しく撫でながら、オルキデアは甘く優しい声色で話しだす。

「これからは一時的でも、仮初めでもない。生涯、家族だ」 
「家族……嬉しいです。私にはもう無いと思っていたので……」
「ああ。俺もだ」

アリーシャの左手にはまった銀色の指輪が、外から差し込む明かりを受けて、小さく光ったような気がした。
両手を絡め合った時、オルキデアが腰を動かした。中に入っている肉棒が勢いを増して、その瞬間、これまで感じたことのない熱が、アリーシャの中に入って来ようとしていた。

「ひゃ!! あっ、な、何かが、入ってくる……!」
「俺色に染まれ。アリーシャ」

囁く様な甘い吐息と共に放たれた白濁が、アリーシャを内側から熱くする。
白濁から放たれた身を焦がすような灼熱に、身を悶えさせたのだった。

「あ、ああ……! いやっ! ああああああ……!」

熱が引くまでの間、アリーシャは悲鳴にも似た嬌声を上げ続けて、オルキデアを満足させたのだった。
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