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お祭り・1
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通りから人々の歓声が聞こえてくる。
汗や香水など、人々の体臭が混ざった臭い。通りに設置された花の臭い。それとーー。
「美味しそうな匂いがしますね」
「そうだな」
通りに軒を連ねる屋台からは、食欲をそそる食べ物の匂いが漂っていたのだった。
お祭りの日、当日。
朝からソワソワするアリーシャにねだられて、早速、王都に繰り出したのだった。
「王族によるパレードがあるんでしたっけ?」
「パレードって程でも無いけどな。車に乗って、王都を回るんだ。この辺りだと百貨店前のメインストリートを通るな」
パレードでは、主役となる王族ーー今回は第二王子だ。が、オープンカーに乗って貴族街から順に王都を巡る。
パレードの度に、国民は街頭を花で彩り、国の礎を作ったとされる偉大なる王族を歓声を持って出迎えるのが、建国以来の習わしであった。
当然、オープンカーや街頭には、軍部の兵たちと王都を守護する警察が道に立って、不審な輩から王族を警備することになっている。
「この辺りは貴族があまり来ないからか、いつも好き勝手に屋台や店を出しているな」
「貴族は来ないんですか?」
「こんな人が多くて、雑多な場所に貴族は来ないさ。貴族たちは貴族街でパレードを見る」
「貴族街から巡るんでしたよね。あっちでも同じように出迎えるんですか?」
「あっちはただ通りを走るだけだ。
食べ物の屋台や出店も、出し物も何も無いから、パレードが終わった後は、警備する側も暇でな。
担当になった年には、はずれくじを引かされたと、平民出身の兵たちはぼやいていたな」
オルキデアは企むような笑みを浮かべる。
「この辺りの警備担当になれば、屋台や出店の監視という名目で飲食しながら、仕事が出来るだろう」
暗にさぼれると言ったオルキデアに、クスクス笑いながら「そうですね」とアリーシャも微笑を浮かべたのだった。
結婚指輪を買いに出掛けた際に通った道は、平民街と直結しているからか、道端には食べ物を扱う屋台や、小物や雑貨を扱う出店が所狭しと並んでいた。
祭りとあって人が多い中で、屋台や出店に釣られて立ち止まる者や、道端で止まって買い食いする者も多く、すれ違い様や前方が急に立ち止まっては、ぶつかり、足を踏まれて、非常に歩き辛かったのだった。
「聞いていた通り、人手が多いですね」
「離れるなよ。俺の腕に掴まっていろ」
そうは言っても、既にアリーシャは右腕にしがみついており、更にはオルキデアの薄茶色の薄手のコートのポケットの中でも手を握っているので、離れようがなかった。
「も、勿論です!」
茶色が混ざった様な色をしたメープルローズ色のドレス、クローゼットにあったという白地にマリーゴールドの様なオレンジのリボン飾りがついた帽子を被り、肩から革のハンドバッグを下げたアリーシャは、オルキデアの言葉にますますギュッとしがみついてきのだった。
「さっきから人混みに流されそうで……こんなに人が集まるんですね」
頭の後ろで丸く一つにまとめた藤色の髪が乱れないように帽子ごと手で押さえながら、人混みで掻き消されそうになる声を張り上げるアリーシャに負けないように、オルキデアも声量を上げる。
「祭りの時しか騒げないからな。王都の内外から集まるんだ」
さっきから、腕にしがみつくアリーシャの胸が当たっており、妙に意識しそうになる。
おかしい。毎晩、毎朝と、ベッドと浴室で見ているのに……。
こんな時に何を考えているんだと首を振っていると、アリーシャが感嘆したように話し出す。
「こんなに大勢の住民が住んでいるんですね。この王都と近辺には」
アリーシャの手を引きながら人混みを抜けると、どこかの建物の入り口で立ち止まる。
汗や香水など、人々の体臭が混ざった臭い。通りに設置された花の臭い。それとーー。
「美味しそうな匂いがしますね」
「そうだな」
通りに軒を連ねる屋台からは、食欲をそそる食べ物の匂いが漂っていたのだった。
お祭りの日、当日。
朝からソワソワするアリーシャにねだられて、早速、王都に繰り出したのだった。
「王族によるパレードがあるんでしたっけ?」
「パレードって程でも無いけどな。車に乗って、王都を回るんだ。この辺りだと百貨店前のメインストリートを通るな」
パレードでは、主役となる王族ーー今回は第二王子だ。が、オープンカーに乗って貴族街から順に王都を巡る。
パレードの度に、国民は街頭を花で彩り、国の礎を作ったとされる偉大なる王族を歓声を持って出迎えるのが、建国以来の習わしであった。
当然、オープンカーや街頭には、軍部の兵たちと王都を守護する警察が道に立って、不審な輩から王族を警備することになっている。
「この辺りは貴族があまり来ないからか、いつも好き勝手に屋台や店を出しているな」
「貴族は来ないんですか?」
「こんな人が多くて、雑多な場所に貴族は来ないさ。貴族たちは貴族街でパレードを見る」
「貴族街から巡るんでしたよね。あっちでも同じように出迎えるんですか?」
「あっちはただ通りを走るだけだ。
食べ物の屋台や出店も、出し物も何も無いから、パレードが終わった後は、警備する側も暇でな。
担当になった年には、はずれくじを引かされたと、平民出身の兵たちはぼやいていたな」
オルキデアは企むような笑みを浮かべる。
「この辺りの警備担当になれば、屋台や出店の監視という名目で飲食しながら、仕事が出来るだろう」
暗にさぼれると言ったオルキデアに、クスクス笑いながら「そうですね」とアリーシャも微笑を浮かべたのだった。
結婚指輪を買いに出掛けた際に通った道は、平民街と直結しているからか、道端には食べ物を扱う屋台や、小物や雑貨を扱う出店が所狭しと並んでいた。
祭りとあって人が多い中で、屋台や出店に釣られて立ち止まる者や、道端で止まって買い食いする者も多く、すれ違い様や前方が急に立ち止まっては、ぶつかり、足を踏まれて、非常に歩き辛かったのだった。
「聞いていた通り、人手が多いですね」
「離れるなよ。俺の腕に掴まっていろ」
そうは言っても、既にアリーシャは右腕にしがみついており、更にはオルキデアの薄茶色の薄手のコートのポケットの中でも手を握っているので、離れようがなかった。
「も、勿論です!」
茶色が混ざった様な色をしたメープルローズ色のドレス、クローゼットにあったという白地にマリーゴールドの様なオレンジのリボン飾りがついた帽子を被り、肩から革のハンドバッグを下げたアリーシャは、オルキデアの言葉にますますギュッとしがみついてきのだった。
「さっきから人混みに流されそうで……こんなに人が集まるんですね」
頭の後ろで丸く一つにまとめた藤色の髪が乱れないように帽子ごと手で押さえながら、人混みで掻き消されそうになる声を張り上げるアリーシャに負けないように、オルキデアも声量を上げる。
「祭りの時しか騒げないからな。王都の内外から集まるんだ」
さっきから、腕にしがみつくアリーシャの胸が当たっており、妙に意識しそうになる。
おかしい。毎晩、毎朝と、ベッドと浴室で見ているのに……。
こんな時に何を考えているんだと首を振っていると、アリーシャが感嘆したように話し出す。
「こんなに大勢の住民が住んでいるんですね。この王都と近辺には」
アリーシャの手を引きながら人混みを抜けると、どこかの建物の入り口で立ち止まる。
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