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報告・8
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「お前も知っていたのか」
「その様子だと知っていたんだな」
そう言って、クシャースラは困ったように眉間に皺を寄せて、肩を竦める。
「祭りの準備が忙しく、報告が出来なくてすまない」
「いや。気にしてないさ。祭りの日に、たまたま昔の部下に会ってな。そこで教えてもらった」
祭りの日に、ライリーに教えられた話。
それは、オルキデアの母親であるティシュトリアが敵国のスパイとの姦通罪として拘束されたという話であった。
オルキデアが聞いていた噂通り、ティシュトリアが関係を持っていた敵国の元高級士官が、間諜罪で軍に拘束された。
どうやら、軍部が元高級士官の屋敷から出て来た者が敵国の関係者と密談する現場を押さえたらしい。
高級士官も捕らえられ、その場にいたティシュトリアも拘束されたそうだ。
取り調べの結果、複数人が元高級士官に情報を流していたのが判明した。
その一人が、ティシュトリアであった。
ティシュトリアは無実を訴え続けたが、元高級士官の証言により、ティシュトリアも求められるがままに情報を流していたそうだ。
ティシュトリアは今も軍部に拘束され、裁判を待っているらしい。
「オルキデア、あのさ……」
「気を遣わなくていい。いずれはこうなっていた」
ティシュトリアが関係しているとわかっている時から、なんとなくこうなるだろうと思っていた。
だからか、何の感情も抱かなかった。
「母上はまだ軍部が管理する留置所にいるらしい。裁判が開廷するのを待っているそうだが……。結果は明白だな」
「軍部は戦犯に慈悲を与えないからな。これまで、何人も死刑になってきた。おそらく、お前さんの母親も……」
返事をする代わりに、そっと目を伏せて、コーヒーカップに視線を落とす。
母親らしい事を何一つして来なかったとはいえ、ティシュトリアは母親だ。
父のエラフが身体を壊して、過労で死ぬ原因となった莫大な借金。あれもティシュトリアが原因だ。
このまま放っておいて、見殺しにするべきだろうか。
不意に、黒い水面にアリーシャの顔がよぎる。
これまでならティシュトリアがどうなろうと、オルキデアは放っておいただろう。
これは全て、ティシュトリアの自業自得だと。
けれども、アリーシャと出会い、彼女を愛し、彼女に愛され、「愛」を知った今となっては、悩んでしまう。
このまま、ティシュトリアを置いて、自分たちだけ幸せになっていいのかと。
「こういう時、アリーシャならどうするだろうか……」
「オルキデア?」
「もし、彼女が俺の立場なら……彼女の父親が戦犯として裁かれそうになったのなら、どうするだろうと思った」
自分と似た境遇だったアリーシャ。
彼女は自分を顧みなかった父親が、戦犯として裁かれると知った時、どうするだろうか。
何を考えて、どう行動するのだろうか。
(きっと、彼女なら……)
オルキデアはコーヒーを飲み干すと、「俺は……」と親友の顔を見つめる。
「母上に会いに行こうと思う。そこで、母上をどうするか考える」
オルキデアが伝票を片手に席を立つと、クシャースラが慌ててついて来る。
二人分の代金を支払い、店を出たところで「待てよ!」と後ろから肩を掴まれたのだった。
「今から会いに行くのか?」
「ああ。裁判がいつ開廷するかわからない以上、早い方がいいだろう」
「それなら、おれも一緒に行くよ」
「いいのか? せっかくの休日なんだろう」
「どうせ何もやることが無いんだ。あまり早く自宅に戻っても、二人の邪魔になる」
「その様子だと知っていたんだな」
そう言って、クシャースラは困ったように眉間に皺を寄せて、肩を竦める。
「祭りの準備が忙しく、報告が出来なくてすまない」
「いや。気にしてないさ。祭りの日に、たまたま昔の部下に会ってな。そこで教えてもらった」
祭りの日に、ライリーに教えられた話。
それは、オルキデアの母親であるティシュトリアが敵国のスパイとの姦通罪として拘束されたという話であった。
オルキデアが聞いていた噂通り、ティシュトリアが関係を持っていた敵国の元高級士官が、間諜罪で軍に拘束された。
どうやら、軍部が元高級士官の屋敷から出て来た者が敵国の関係者と密談する現場を押さえたらしい。
高級士官も捕らえられ、その場にいたティシュトリアも拘束されたそうだ。
取り調べの結果、複数人が元高級士官に情報を流していたのが判明した。
その一人が、ティシュトリアであった。
ティシュトリアは無実を訴え続けたが、元高級士官の証言により、ティシュトリアも求められるがままに情報を流していたそうだ。
ティシュトリアは今も軍部に拘束され、裁判を待っているらしい。
「オルキデア、あのさ……」
「気を遣わなくていい。いずれはこうなっていた」
ティシュトリアが関係しているとわかっている時から、なんとなくこうなるだろうと思っていた。
だからか、何の感情も抱かなかった。
「母上はまだ軍部が管理する留置所にいるらしい。裁判が開廷するのを待っているそうだが……。結果は明白だな」
「軍部は戦犯に慈悲を与えないからな。これまで、何人も死刑になってきた。おそらく、お前さんの母親も……」
返事をする代わりに、そっと目を伏せて、コーヒーカップに視線を落とす。
母親らしい事を何一つして来なかったとはいえ、ティシュトリアは母親だ。
父のエラフが身体を壊して、過労で死ぬ原因となった莫大な借金。あれもティシュトリアが原因だ。
このまま放っておいて、見殺しにするべきだろうか。
不意に、黒い水面にアリーシャの顔がよぎる。
これまでならティシュトリアがどうなろうと、オルキデアは放っておいただろう。
これは全て、ティシュトリアの自業自得だと。
けれども、アリーシャと出会い、彼女を愛し、彼女に愛され、「愛」を知った今となっては、悩んでしまう。
このまま、ティシュトリアを置いて、自分たちだけ幸せになっていいのかと。
「こういう時、アリーシャならどうするだろうか……」
「オルキデア?」
「もし、彼女が俺の立場なら……彼女の父親が戦犯として裁かれそうになったのなら、どうするだろうと思った」
自分と似た境遇だったアリーシャ。
彼女は自分を顧みなかった父親が、戦犯として裁かれると知った時、どうするだろうか。
何を考えて、どう行動するのだろうか。
(きっと、彼女なら……)
オルキデアはコーヒーを飲み干すと、「俺は……」と親友の顔を見つめる。
「母上に会いに行こうと思う。そこで、母上をどうするか考える」
オルキデアが伝票を片手に席を立つと、クシャースラが慌ててついて来る。
二人分の代金を支払い、店を出たところで「待てよ!」と後ろから肩を掴まれたのだった。
「今から会いに行くのか?」
「ああ。裁判がいつ開廷するかわからない以上、早い方がいいだろう」
「それなら、おれも一緒に行くよ」
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