44 / 247
第一部
魔法【4】
しおりを挟む
多少、バラつきはあるが、カーネ族は生まれつき魔力を持っている。
けれども、指紋と同じで、同じ血の繋がった家族でも、魔力の強さ、色、属性など、魔力の種類は少しずつ違うらしい。
鍵を始めとする一部の道具は、この魔力を認識して使用する。
魔法は魔力を糧として、振るう力である。
魔力の持ち主が思い描いた力や願いを、魔力を使って、叶えることが出来る。
例えば、「雨を降らしたい」という願いがあったとする。
それを叶えるために、自らの魔力を使って、雨を降らせたとする。
この「雨を降らせた」という行為を、魔法というらしい。
ただ、大きな願いほど、それに比例する魔力が必要になる。
国を滅ぼすことや大量殺人を行うなど、自分の魔力を超える力を振るうことや、願いを叶えることは出来ない。
また、魔力は生命力と直結している。
魔力を使い過ぎると、命を落としてしまうこともあるらしい。
「魔力を使いすぎたら死んでしまうって……。それなら、扉の鍵を開閉する度に、マキウス様たちも魔力を使っているので、いつか死んでしまうのでは……」
「あれくらいでは死にません」
モニカの言葉に、マキウスは苦笑する。
「鍵の開閉に使うのは、ほんのわずかな魔力です。しっかり身体を休めれば、回復するくらいの」
マキウスの話によると、魔力は充分な休息を取れば、回復するらしい。
その為、魔力を日常的に使う者たちーー宮廷魔法使いなどは、かなりの休息が必要だと。
「それなら良かったです……。安心しました」
胸を撫で下ろしていると、マキウスは嬉しそうに微笑んだ。
「モニカの気持ちは嬉しいですが、心配するまでもありません。
それに、私が持っている魔力は、せいぜい扉の開閉くらいのもの。
魔法を使うには、力が弱いそうです。
魔法石で魔力を補っても、火をおこすくらいの弱い魔法が使えるだけで、強い魔法は使えません」
魔力を魔法として普段から使えるようになる者は、ごく一部の魔力が強い者か、魔法が使えるように訓練をした者だけらしい。
ほとんどのカーネ族は、鍵の開閉など、道具に使用するだけで終わるらしい。
魔法石は魔力が少ない者や持たない者の魔力を補う、いわばマジックアイテムである。
魔法石が認識した者の魔力を魔法石に宿し、魔法石の持ち主の願いを叶える。
そうして、魔法石に宿った魔力が無くなったら、また魔法石が認識した者から魔力をもらう……。といったことを、魔法石の寿命がくるまで繰り返すのだった。
「ということは、マキウス様は魔法石なくしては魔法が使えないんですね……」
「そうなりますね」
「せっかく、念願の魔法が見られるかと思ったのに……」
モニカは落胆するが、「ですが」とマキウスは続けた。
「近年、魔力の強い者が増えてきています。
調べたところ、魔力が強い者の殆どはカーネ族とユマン族の間に生まれた者か、ユマン族の血を引く者が多いらしいです」
「カーネ族とユマン族の間に生まれた者って……要はカーネ族とユマン族のハーフってことですよね? どうして、カーネ族とユマン族の子供の魔力が強いんですか? だって、ユマン族は魔力を持たないのに……」
バルコニーから室内に戻ろうとするマキウスの後に続きながら、モニカは尋ねた。
マキウスはベッドに座るようにモニカを促すと、その近くに椅子を持ってきて座ったのだった。
けれども、指紋と同じで、同じ血の繋がった家族でも、魔力の強さ、色、属性など、魔力の種類は少しずつ違うらしい。
鍵を始めとする一部の道具は、この魔力を認識して使用する。
魔法は魔力を糧として、振るう力である。
魔力の持ち主が思い描いた力や願いを、魔力を使って、叶えることが出来る。
例えば、「雨を降らしたい」という願いがあったとする。
それを叶えるために、自らの魔力を使って、雨を降らせたとする。
この「雨を降らせた」という行為を、魔法というらしい。
ただ、大きな願いほど、それに比例する魔力が必要になる。
国を滅ぼすことや大量殺人を行うなど、自分の魔力を超える力を振るうことや、願いを叶えることは出来ない。
また、魔力は生命力と直結している。
魔力を使い過ぎると、命を落としてしまうこともあるらしい。
「魔力を使いすぎたら死んでしまうって……。それなら、扉の鍵を開閉する度に、マキウス様たちも魔力を使っているので、いつか死んでしまうのでは……」
「あれくらいでは死にません」
モニカの言葉に、マキウスは苦笑する。
「鍵の開閉に使うのは、ほんのわずかな魔力です。しっかり身体を休めれば、回復するくらいの」
マキウスの話によると、魔力は充分な休息を取れば、回復するらしい。
その為、魔力を日常的に使う者たちーー宮廷魔法使いなどは、かなりの休息が必要だと。
「それなら良かったです……。安心しました」
胸を撫で下ろしていると、マキウスは嬉しそうに微笑んだ。
「モニカの気持ちは嬉しいですが、心配するまでもありません。
それに、私が持っている魔力は、せいぜい扉の開閉くらいのもの。
魔法を使うには、力が弱いそうです。
魔法石で魔力を補っても、火をおこすくらいの弱い魔法が使えるだけで、強い魔法は使えません」
魔力を魔法として普段から使えるようになる者は、ごく一部の魔力が強い者か、魔法が使えるように訓練をした者だけらしい。
ほとんどのカーネ族は、鍵の開閉など、道具に使用するだけで終わるらしい。
魔法石は魔力が少ない者や持たない者の魔力を補う、いわばマジックアイテムである。
魔法石が認識した者の魔力を魔法石に宿し、魔法石の持ち主の願いを叶える。
そうして、魔法石に宿った魔力が無くなったら、また魔法石が認識した者から魔力をもらう……。といったことを、魔法石の寿命がくるまで繰り返すのだった。
「ということは、マキウス様は魔法石なくしては魔法が使えないんですね……」
「そうなりますね」
「せっかく、念願の魔法が見られるかと思ったのに……」
モニカは落胆するが、「ですが」とマキウスは続けた。
「近年、魔力の強い者が増えてきています。
調べたところ、魔力が強い者の殆どはカーネ族とユマン族の間に生まれた者か、ユマン族の血を引く者が多いらしいです」
「カーネ族とユマン族の間に生まれた者って……要はカーネ族とユマン族のハーフってことですよね? どうして、カーネ族とユマン族の子供の魔力が強いんですか? だって、ユマン族は魔力を持たないのに……」
バルコニーから室内に戻ろうとするマキウスの後に続きながら、モニカは尋ねた。
マキウスはベッドに座るようにモニカを促すと、その近くに椅子を持ってきて座ったのだった。
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる