92 / 247
第一部
甘く輝く・上【8】
しおりを挟む
「これは……その……モニカの言う通り、甘味が好きというのもあって……」
「甘いものが好きでも限度というものがあります。
それに、お砂糖を沢山いれる方法以外にも、砂糖と一緒に少しだけ塩を入れてみるとか、果物のジャムを入れてみるとか、果物や花を浮かべてみるとか、色んな工夫が出来るはずです」
「果物や花を浮かべる飲み方は、貴族の女性を中心に人気の飲み方なので知っていますが……。ジャムや塩を入れるんですか?」
「私が住んでいた国ではありませんが、紅茶にジャムを入れて飲んでいる国もあるそうです。実際は、紅茶と一緒にジャムを舐めるのが正しいとも言われていますが……。
私も試したことがありますが、紅茶とジャムの甘さが非常に合っていて、美味しかったです」
御國だった頃、紅茶にジャムを入れて飲む国があると聞いたが、一説によると、紅茶にジャムを入れるのではなく、紅茶と一緒にジャムを舐めるのが正しいとも言われていた。
ジャムなら、マキウスの世界にもあり、よく食卓にも出てくるので、広く流通しているのだろうと思った。
「それなら、塩も他国での飲み方なんですか?」
「いいえ。塩は砂糖の甘さを引き立てる効果があるそうです。砂糖と反対の味である塩を同時に摂取すると、脳が錯覚を起こして、甘みが増したように感じるって聞いたことがあります。それを味の相乗効果って言うような……」
御國だった頃もあまり料理をしなかったのでそこまで詳しくないが、砂糖と一緒にひとつまみの塩を加えることで、脳が錯覚を起こして、甘さが増したように感じるらしい。
俗に言う、「かくし味」も、この脳が錯覚を起こしたことによる効果だと聞いたことがあった。
「砂糖を入れる以外にも、様々な飲み方があるんですね。今度、試してみます」
「そもそも、あの国に果物や花を浮かべる飲み方があるなら、それをやった方がいいと思います。
お砂糖を大量に入れるよりは、まだ良いです」
「それは……」
「それとも、入れられない事情でもあるんですか。女性しかやってはいけない飲み方とか」
モニカが問い詰めると、やがてマキウスは諦めた様に頬を赤く染めて話し出したのだった。
「女性の前では格好をつけたいから、砂糖だけ入れて紅茶を飲んでいたんです。……特に好きな女性の前では」
納得しかけて紅茶に口をつけたモニカだったが、けれどもふと気付くと、カップを置きながら「好きな人の前?」と繰り返した。
「マキウス様の好きな人ですか?」
「……貴女のことです。モニカ」
呆れ気味なマキウスがため息を吐くと、自分の頬が赤くなっていくのを感じた。
「私のことだったんですね……」
「貴女以外、好きな女性はいません」
「そうですか……」
「無論、まだ赤子とはいえ、女性であるニコラも好きです。ですが、一人の女性として愛しているのは貴女だけですーーモニカ」
熱烈なマキウスの言葉に、モニカは耳まで真っ赤になる。
「あ、ありがとうございます。嬉しいです……」
そして、マキウスから目を逸らすと、残っていたパンケーキを食べたのだった。
御國の時に食べたパンケーキを再現したはずなのに、何故か前に食べた時よりも甘く、あの時よりも美味しく感じられたのだった。
「甘いものが好きでも限度というものがあります。
それに、お砂糖を沢山いれる方法以外にも、砂糖と一緒に少しだけ塩を入れてみるとか、果物のジャムを入れてみるとか、果物や花を浮かべてみるとか、色んな工夫が出来るはずです」
「果物や花を浮かべる飲み方は、貴族の女性を中心に人気の飲み方なので知っていますが……。ジャムや塩を入れるんですか?」
「私が住んでいた国ではありませんが、紅茶にジャムを入れて飲んでいる国もあるそうです。実際は、紅茶と一緒にジャムを舐めるのが正しいとも言われていますが……。
私も試したことがありますが、紅茶とジャムの甘さが非常に合っていて、美味しかったです」
御國だった頃、紅茶にジャムを入れて飲む国があると聞いたが、一説によると、紅茶にジャムを入れるのではなく、紅茶と一緒にジャムを舐めるのが正しいとも言われていた。
ジャムなら、マキウスの世界にもあり、よく食卓にも出てくるので、広く流通しているのだろうと思った。
「それなら、塩も他国での飲み方なんですか?」
「いいえ。塩は砂糖の甘さを引き立てる効果があるそうです。砂糖と反対の味である塩を同時に摂取すると、脳が錯覚を起こして、甘みが増したように感じるって聞いたことがあります。それを味の相乗効果って言うような……」
御國だった頃もあまり料理をしなかったのでそこまで詳しくないが、砂糖と一緒にひとつまみの塩を加えることで、脳が錯覚を起こして、甘さが増したように感じるらしい。
俗に言う、「かくし味」も、この脳が錯覚を起こしたことによる効果だと聞いたことがあった。
「砂糖を入れる以外にも、様々な飲み方があるんですね。今度、試してみます」
「そもそも、あの国に果物や花を浮かべる飲み方があるなら、それをやった方がいいと思います。
お砂糖を大量に入れるよりは、まだ良いです」
「それは……」
「それとも、入れられない事情でもあるんですか。女性しかやってはいけない飲み方とか」
モニカが問い詰めると、やがてマキウスは諦めた様に頬を赤く染めて話し出したのだった。
「女性の前では格好をつけたいから、砂糖だけ入れて紅茶を飲んでいたんです。……特に好きな女性の前では」
納得しかけて紅茶に口をつけたモニカだったが、けれどもふと気付くと、カップを置きながら「好きな人の前?」と繰り返した。
「マキウス様の好きな人ですか?」
「……貴女のことです。モニカ」
呆れ気味なマキウスがため息を吐くと、自分の頬が赤くなっていくのを感じた。
「私のことだったんですね……」
「貴女以外、好きな女性はいません」
「そうですか……」
「無論、まだ赤子とはいえ、女性であるニコラも好きです。ですが、一人の女性として愛しているのは貴女だけですーーモニカ」
熱烈なマキウスの言葉に、モニカは耳まで真っ赤になる。
「あ、ありがとうございます。嬉しいです……」
そして、マキウスから目を逸らすと、残っていたパンケーキを食べたのだった。
御國の時に食べたパンケーキを再現したはずなのに、何故か前に食べた時よりも甘く、あの時よりも美味しく感じられたのだった。
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる