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第一部
流星群と明かされた過去・下【10】
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「どこから聞いていたの?」
「……マキウス殿が、モニカにドレスを着せている辺りから」
「声を掛けてくれたら良かったのに……」
モニカは呆れ気味に言ったが、リュドヴィックは戸惑いと怒りをない混ぜにした様な表情で真っ直ぐにモニカを見てきた。
「説明してくれないか?」
「それは……」
「リュド殿」
どう答えればいいのか分からず、モニカが困り果てていると、マキウスが兄妹の話を遮る様にすっと進み出てくれる。
「モニカは悪くありません」
「マキウス殿?」
リュドヴィックは両眉を上げた。先程よりも怒気を発している様な気がして、マキウスの背中に隠れてしまう。
モニカが戸惑い気味にリュドヴィックとマキウスの背中を交互に見つめていると、マキウスはそっと息を吐いたのだった。
「……全て、私の責任です」
「……っ!」
「私がモニカを……」
その瞬間、リュドヴィックの顔に怒りが生じた。リュドヴィックはマキウスに駆け寄ると、襟元を掴んだのだった。
「モニカに……。妹に何をしたんだ!?」
「止めてよ! お兄ちゃん!」
マキウスの背中から出て来たモニカは、マキウスの襟元を掴むリュドヴィックの腕にしがみつくと、何度も首を振る。
「マキウス様は悪くない! 悪くないの……!!」
「モニカ……」
マキウスは何も語らずに、ただ暗い表情のまま、リュドヴィックに掴まれるままになっていた。
「止めてよ。お兄ちゃん……。マキウス様も……」
「リュド様、マキウス」
それまで、黙って成り行きを見ていたヴィオーラは、三人に近づいてくると、マキウスの襟元を掴むリュドヴィックの手を掴んだ。
「今は止めましょう。話すにしても、ここでは私たち以外にも聞かれる可能性があります。私たち以外にもこの場所を知っている者がいるかもしれません」
リュドヴィックは納得がいかない顔をしながらも、渋々マキウスの襟元を離した。
「マキウス様!」
その場に膝をついたマキウスに、モニカは駆け寄る。
「大丈夫ですか……?」
「平気です」
苦しそうに喉元をさすっていたマキウスの肩をモニカが抱いていると、「モニカさん」とヴィオーラが静かに声を掛けてきた。
「明日の夕方、リュド様と一緒に屋敷に伺わせて下さい。そこで話しましょう」
「……はい」
静かな怒りさえ感じさせるヴィオーラの顔を見ることが出来ず、モニカは顔を伏せたまま頷く。
そうして、ヴィオーラはまだ言い足りなさそうなリュドヴィックを引っ張るようにして、戻って行ったのだった。
「マキウス様……」
「モニカ、私たちも帰りましょう」
二人は言葉少なく、流星群の空に背を向けると、丘を降りたのだった。
「……マキウス殿が、モニカにドレスを着せている辺りから」
「声を掛けてくれたら良かったのに……」
モニカは呆れ気味に言ったが、リュドヴィックは戸惑いと怒りをない混ぜにした様な表情で真っ直ぐにモニカを見てきた。
「説明してくれないか?」
「それは……」
「リュド殿」
どう答えればいいのか分からず、モニカが困り果てていると、マキウスが兄妹の話を遮る様にすっと進み出てくれる。
「モニカは悪くありません」
「マキウス殿?」
リュドヴィックは両眉を上げた。先程よりも怒気を発している様な気がして、マキウスの背中に隠れてしまう。
モニカが戸惑い気味にリュドヴィックとマキウスの背中を交互に見つめていると、マキウスはそっと息を吐いたのだった。
「……全て、私の責任です」
「……っ!」
「私がモニカを……」
その瞬間、リュドヴィックの顔に怒りが生じた。リュドヴィックはマキウスに駆け寄ると、襟元を掴んだのだった。
「モニカに……。妹に何をしたんだ!?」
「止めてよ! お兄ちゃん!」
マキウスの背中から出て来たモニカは、マキウスの襟元を掴むリュドヴィックの腕にしがみつくと、何度も首を振る。
「マキウス様は悪くない! 悪くないの……!!」
「モニカ……」
マキウスは何も語らずに、ただ暗い表情のまま、リュドヴィックに掴まれるままになっていた。
「止めてよ。お兄ちゃん……。マキウス様も……」
「リュド様、マキウス」
それまで、黙って成り行きを見ていたヴィオーラは、三人に近づいてくると、マキウスの襟元を掴むリュドヴィックの手を掴んだ。
「今は止めましょう。話すにしても、ここでは私たち以外にも聞かれる可能性があります。私たち以外にもこの場所を知っている者がいるかもしれません」
リュドヴィックは納得がいかない顔をしながらも、渋々マキウスの襟元を離した。
「マキウス様!」
その場に膝をついたマキウスに、モニカは駆け寄る。
「大丈夫ですか……?」
「平気です」
苦しそうに喉元をさすっていたマキウスの肩をモニカが抱いていると、「モニカさん」とヴィオーラが静かに声を掛けてきた。
「明日の夕方、リュド様と一緒に屋敷に伺わせて下さい。そこで話しましょう」
「……はい」
静かな怒りさえ感じさせるヴィオーラの顔を見ることが出来ず、モニカは顔を伏せたまま頷く。
そうして、ヴィオーラはまだ言い足りなさそうなリュドヴィックを引っ張るようにして、戻って行ったのだった。
「マキウス様……」
「モニカ、私たちも帰りましょう」
二人は言葉少なく、流星群の空に背を向けると、丘を降りたのだった。
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