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第一部
★一線を越えて【3】
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「これでもまだ自分を汚いと言いますか?」
「そ、それは……」
「次から自分を汚いと言ったら、お仕置きをしましょう。そうやって自分で自分自身を貶める行為は聞き捨てなりません」
「すみません……」
モニカが泣きそうな顔になって肩を落としていると、マキウスはフッと笑ったようだった。
「もっと自信を持って下さい。貴女は素晴らしい方です。そんな貴女じゃなければ、『モニカ』の身体は、綺麗で清らかではなかったでしょう」
「私じゃなくても、『モニカ』の身体は綺麗で、清らかです……」
「見た目がどんなに整っていても、中身が伴っていなければ、それは醜女でしかない。貴女もご存知ありませんか? 自分が美しいことを鼻にかけて傲慢な態度を取った末に、堕落し、破滅していった者たちの話を」
モニカも昔話や小説で読んだことがあった。
自分の容姿を自慢に、我が儘を繰り返し、周囲を傷つけた結果、孤立し、堕ちていった者たち。
自分よりも劣った容姿を持つ物語のヒロインばかり愛されることに嫉妬して、破滅していった麗しい悪女たち。
そんな者たちの末路は誰もが残酷で、自分が犯した罪に相応しい終焉を迎えていた。
「聞いたこと、あります……」
「でも貴女はそうならなかった。それは、貴女がその身体に相応しい人柄を持っているだからです。……そうじゃなければ、こうして私は貴女を愛さなかったでしょう」
腰を抱きしめていたマキウスの腕の力が、一際強くなる。
指先で腰を撫でられて、「あっ……」と声を漏らしてしまう。
そんなモニカの反応を楽しんでいるのか、鏡に映ったマキウスは口元を緩めていたのだった。
「貴女が綺麗なのは、綺麗な身体を持っているからではありません。貴女自身が美しいからです」
「そうでしょうか……?」
「そうです。……これまで、貴女に聞こうか迷って、聞けなかったことがあるんです。もしかしたら、貴女に辛い思いをさせてしまうかもしれないと……聞いてもいいですか?」
「な、何でしょうか?」
「貴女の名前を教えて下さい。異なる世界から、私の元に来てくれた『天使』さん」
そう言って、モニカの身体に顔を埋めたマキウスに、胸が激しく高鳴った。
「無論、答えられないなら、それでも……」
「御國。杜園御國って言います! 御國が名前です!」
マキウスの顔が晒した肩に当たってくすぐったかった。
緊張のあまり声が上ずってしまったが、マキウスは満足そうな笑みを浮かべたのだった。
「ミクニ。貴女はとても綺麗です。その『モニカ』の身体に相応しい人柄を持っています」
マキウスに本来の本名を呼ばれて、更に胸が激しく高鳴る。
モニカではなく、モニカの中にいる御國を見てもらえた様な、嬉しいような、くすぐったい気持ちになる。
声が出なくて、口を開閉していると、後ろから衣摺れの音が聞こえてきた。
「貴女こそ私の妻に相応しい。貴女は私に相応しい人になるまで待って欲しいと言っていましたが、今でも充分、相応しい女性です。貴女以上に愛せる人を私は知りません。貴女以上に麗しい人も……」
その時、マキウスが着ていたバスローブが落ちて、足元に落下した。
二人揃って、産まれた時の姿になると、マキウスは後ろから抱きしめてきたのだった。
「そ、それは……」
「次から自分を汚いと言ったら、お仕置きをしましょう。そうやって自分で自分自身を貶める行為は聞き捨てなりません」
「すみません……」
モニカが泣きそうな顔になって肩を落としていると、マキウスはフッと笑ったようだった。
「もっと自信を持って下さい。貴女は素晴らしい方です。そんな貴女じゃなければ、『モニカ』の身体は、綺麗で清らかではなかったでしょう」
「私じゃなくても、『モニカ』の身体は綺麗で、清らかです……」
「見た目がどんなに整っていても、中身が伴っていなければ、それは醜女でしかない。貴女もご存知ありませんか? 自分が美しいことを鼻にかけて傲慢な態度を取った末に、堕落し、破滅していった者たちの話を」
モニカも昔話や小説で読んだことがあった。
自分の容姿を自慢に、我が儘を繰り返し、周囲を傷つけた結果、孤立し、堕ちていった者たち。
自分よりも劣った容姿を持つ物語のヒロインばかり愛されることに嫉妬して、破滅していった麗しい悪女たち。
そんな者たちの末路は誰もが残酷で、自分が犯した罪に相応しい終焉を迎えていた。
「聞いたこと、あります……」
「でも貴女はそうならなかった。それは、貴女がその身体に相応しい人柄を持っているだからです。……そうじゃなければ、こうして私は貴女を愛さなかったでしょう」
腰を抱きしめていたマキウスの腕の力が、一際強くなる。
指先で腰を撫でられて、「あっ……」と声を漏らしてしまう。
そんなモニカの反応を楽しんでいるのか、鏡に映ったマキウスは口元を緩めていたのだった。
「貴女が綺麗なのは、綺麗な身体を持っているからではありません。貴女自身が美しいからです」
「そうでしょうか……?」
「そうです。……これまで、貴女に聞こうか迷って、聞けなかったことがあるんです。もしかしたら、貴女に辛い思いをさせてしまうかもしれないと……聞いてもいいですか?」
「な、何でしょうか?」
「貴女の名前を教えて下さい。異なる世界から、私の元に来てくれた『天使』さん」
そう言って、モニカの身体に顔を埋めたマキウスに、胸が激しく高鳴った。
「無論、答えられないなら、それでも……」
「御國。杜園御國って言います! 御國が名前です!」
マキウスの顔が晒した肩に当たってくすぐったかった。
緊張のあまり声が上ずってしまったが、マキウスは満足そうな笑みを浮かべたのだった。
「ミクニ。貴女はとても綺麗です。その『モニカ』の身体に相応しい人柄を持っています」
マキウスに本来の本名を呼ばれて、更に胸が激しく高鳴る。
モニカではなく、モニカの中にいる御國を見てもらえた様な、嬉しいような、くすぐったい気持ちになる。
声が出なくて、口を開閉していると、後ろから衣摺れの音が聞こえてきた。
「貴女こそ私の妻に相応しい。貴女は私に相応しい人になるまで待って欲しいと言っていましたが、今でも充分、相応しい女性です。貴女以上に愛せる人を私は知りません。貴女以上に麗しい人も……」
その時、マキウスが着ていたバスローブが落ちて、足元に落下した。
二人揃って、産まれた時の姿になると、マキウスは後ろから抱きしめてきたのだった。
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