【第一部完結・改稿版】ハージェント家の天使

夜霞

文字の大きさ
225 / 247
第一部

★一線を越えて【5】

しおりを挟む
「あの……」

 身体を起こそうとすると、その上にマキウスが覆い被さってくる。背中に流していたマキウスの白に近い灰色の髪がモニカの周りに広がった。

「最初なのでなるべく加減はしますが、嫌な時は言って下さい。貴女の過去の傷に触れて、貴女に嫌われたくないので」

 それだけ言うと、マキウスはモニカに口づけてくる。
 マキウスの艶やかな唇と触れ合ったかと思うと、口の中に舌を入れられて絡め取られる。
 互いの舌と舌を絡め合わせている間に、マキウスの手はモニカの胸を掴んだ。
 頂を摘まれ、何度も揉まれていく内に、頂はピンと立ってきた。
 息苦しくなってマキウスの身体を叩いて訴えると、銀の糸と共に口を離してくれるが、すぐにまた舌を入れられて絡め取られる。

(なんだろう。頭がぼうっとしてきた……)

 頭が惚けてしまったのか、次第に何も考えられなくなり、モニカが呆然としていると、ようやくマキウスは舌を解放して、口を離した。
 モニカの唇をひと舐めした舌は、今度はピンと立った頂に向かう。

「あっ……」

 ペロペロと舐められたかと思うと、頂を口に含んで飴の様に舌で転がされる。
 口を離すと、今度は反対の頂を同じ様に舐めた後に、舌で転がされた。
 くすぐったくなるが、身じろいだ分、マキウスが身体を押さえつける力が強くなり、それがまたモニカの身体中をむず痒くした。

 ようやく頂から口を離してくれたかと思うと、腹部に口づけを落としてくる。
 腹部、足、腰、腕、と先程、沐浴の時に口づけなかった場所を重点的に口づけているようだった。
 軽く肌を吸われて、赤くなった肌が身体中に広がっていく。
 まるで身体中に赤い花びらが散った様だと思っていると、一段とくすぐったくなった。
 足元を見ると、マキウスがモニカの足を持ち上げて、太腿の内側に口づけていたのだった。

「ああっ……!」

 太腿の内側に口づけられながら、そっと撫でられて肌が総毛立つのを感じた。
 あの秋暮れのーー強姦されかかった恐怖を思い出して、涙が溢れてくる。
 マキウスに知られたくなくて、腕で目元を隠したが、逆にそれが原因で気づかれてしまったようだった。

「モニカ……?」

 腕で顔を隠すモニカに気づいたマキウスが、太腿の内側から口を離したのだった。

「どうしましたか?」

 マキウスがベッドの上を動く度に、ギシギシとスプリンクラーの音が聞こえてベッドが揺れる。
 それを感じながらも、モニカは何でもないと首を振るが、マキウスは解放してくれなかった。

「……怖くなりましたか?」

 その言葉に頷くと、マキウスの熱が近くなった。
 マキウスが隣に寝たのだと分かった時には、モニカは腕の中にいたのだった。

「すみません。辛いことを思い出させました。もう大丈夫です。これ以上は何もしません」

 優しく後頭部を撫でられて、恐怖心は落ち着いてくるが、代わりに罪悪感で胸が溢れてくる。

「今夜はここまでにして、続きはまた後日やりましょう。無理をしても良いことはありません。一度ついた傷が、瞬時に治ることはないのですから……」

 今はモニカを労るマキウスの言葉が胸に痛かった。
 このままでは何も変わらないだろう。
 怯えて、怖がっているだけでは、何度やっても同じことの繰り返しな気がした。
 いつまでもマキウスに気遣われて、気遣わせたことに罪悪感を抱くだけ。
 それならーー。

「……けて下さい」
「モニカ?」
「続けて下さい! 私は大丈夫なので……」

 多少、荒療治かもしれないが、今はこれが一番良いような気がした。
 どこかで一線を越えなければ、何も変わらない。
 それなら、今、越えるべきだろう。
 愛する人の手を借りて、乗り越えよう。
 御國の傷を越えて、モニカになろう。自分だけの「モニカ」になるために。
 この身体に恥じない、「モニカ」になるためにもーー。

 顔から腕を離して、涙目になりながらも、訴えてくるモニカに何かを感じ取ったのか、マキウスは小さく息を吐いた。

「本当に良いんですね?」

 何度も頷くと、マキウスは身体を離してくれた。
 そろそろとベッドを動いて、モニカの足元まで行くと、先程の続きなのか、また太腿の内側に口づけてきたのだった。
 歯を食いしばるようにして耐え、目を開けると、足元には心配そうな顔をしたマキウスの姿があった。

「ミクニ……」

 今のマキウスはモニカではなく、モニカの中にいる御國を見ていると分かって、急に胸が激しく高鳴り出す。
 身体を起こしかけるが、モニカはベッドに腰を押さえつけられる。
 マキウスはモニカの身体を横向きにすると、端麗な顔を尻に近づけてきた。
 そうして、モニカの尻をひと舐めした後に口づけてきたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜

丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。 与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。 専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、 失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。 そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、 セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。 「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」 彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、 彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。 嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、 広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、 独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。 栄養と愛情を取り戻したセレナは、 誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、 社交界で注目される存在となる。 一方、セレナを失った伯爵家は、 彼女の能力なしでは立ち行かず、 ゆっくりと没落していくのだった――。 虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

処理中です...