ひこうき雲

みどり

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ユウキの弟④

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中学生の間ボクは部活を頑張った。


そうすれば、推薦で授業料免除で高校に進学出来るかもしれない。

兄ちゃんみたいに。


兄ちゃんと同じ高校に入れば、制服などもらえるから、

買わなくていいので、ボクは勉強をとにかく頑張った。


杏ちゃんの家でご飯を食べてスクスクと育ったボクたちは

ゆいちゃんのお母さんのすすめで小学生の高学年から

バレーボールのチームに入った。


高校でもバレーボールを続けたボクは

兄ちゃんの弟ということで

部活のセンパイたちにも可愛がられた。


兄ちゃんは、建築の設計をやりたいと言って

大学に進学した。


さすがにボクは大学まで兄ちゃんを追いかけるのは

ダメだな、と思い違う大学に入った。


それから、兄ちゃんとはたまに連絡するくらいで

杏ちゃんの家にもほとんど行かなくなった。


大学で知り合った友人の影響で

ボクは今外国で暮らしている。

またボロアパート暮らしに逆戻りだ。


ゆいちゃんはなぜか今航空会社の国際線の客室乗務員をやっているらしい。


家族の連絡を取るメールで近況は知っていた。


今日たまたまボクが住んでいる国に来るらしい。


時間があるから「晩ごはんでも一緒に食べよう。」と

数年ぶりに会うことになった。


今となっては、ゆいちゃんはオトコ友達みたいなもんだ。


ボクはちょっと意地悪をして

ゆいちゃんとふたりで食事している写真を兄ちゃんに送った。


何も知らないゆいちゃんは、美味しそうなご飯を前に満面の笑みで

ボクと一緒にフレームに収まっっている。


これを見た兄ちゃんは「ぴえん」かな?


と、すぐ電話がかかってきた。


「キミたち今何処にいるのかな?」

兄ちゃんは平静を装ってはいるが、心は乱れているようだ。


こりゃ、メンドくさいことになったな。


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