ひこうき雲

みどり

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ゆいの帰国②ジロウ

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しばらくして


ゆいはカズキの元へ戻ってきた。

いや、正しくは、別のお客さんを案内して

ホソカワの通路を挟んだ隣席(カズキの右斜め前席)に来ただけである。


お客さんの荷物を上の棚に入れていた。


30代くらいのスーツ姿のサラリーマン風の

2人組だった。

ゆいの知り合いの剣道関係者である。


「何で?何でオマエが大手の航空会社に入れたの?」

「どう見てもおかしいだろ?まさか、体を売って」

男が言い終わらないうちに

「え~やだぁ。もう、センパイったら~」

と笑顔で言いながら、通路でゆいは男のひとりに腹パンした。

「痛い!オマエ何すんだよ。」

男は笑ってはいるが不機嫌そうだ。

「センパイ、有段者なのにスキがありますよ。」


着席後も


「CAだとモテるだろ?今まで有名人と付き合ったことある?」

「何人と遊んだんだよ?日本人より、やっぱ外国人の方がいいのか?」

などと言っている。


「そうですね。日本人はつまらないです。CAと言うと、皆同じことばかり言います。

そのくせ、痩せてる女は嫌なんだよ、とか、背の高い女は嫌なんだよ、と言います。

外国の方の方がよっぽどためになる話してくれますよ。」


続けて


「ケーサツの方も公共の場で同じようなこと言うんですね。

ジロウの教育もなってないなぁ。」


「ジロウって誰だよ?」


「あら、ご存知ないですか?祖父の幼なじみです。おかしいなぁ。ジロウが、

オレも定年過ぎたら少しはケーサツの中で名前が知れてきたかも、と言ってたのに。」

「どこの交番のおまわりだよ。オレたちはオマエのじじぃの友達とは格が違うぞ。」

「定年過ぎてからじゃ意味ないだろ。」

「やっぱりご存知なかったですか?サエキソウジロウです。」

窓側席の男が検索した。

「サエキソウジロウって…」

「誰だよ?」

「警視監だったかも」

「見せてください。あ~ジロウ制服着てる時はこんな感じなんだ。」

「言うのか?ジロウにオレたちのこと。」

「遊ぶオトコは選ばないとですね。」

「おい、ちょっと待てよ。」

ゆいはその場を離れた。


「ケイシカンって何だろ?」



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