ひこうき雲

みどり

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円天⑤

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9月になった。


ゆいは夏休みで帰省する。

有給消化とあわせまとまった休みを取る。


大阪周りの仕事で昼頃東京に着く。


ユウキはこの日に合わせて仕事のスケジュールを調整して

休みを取っていた。


ゆいは白いカブるタイプのパーカーが好きなことを知っているユウキは

ゆいの好きそうな白いパーカーを着て空港内で待っていた。


定刻通りに飛行機は到着した。


しばらくして


以前からの知人たちがユウキを見つけて近寄って来た。

「やっぱりユウキじやないか。」

「お久しぶりです。ホソカワさん。みなさんも。仕事ですか?お疲れさまです。」

「機内でゆいに会ったぞ。」

「そうですか。」

「あ~そうか。そういうことか!じゃ、オレたちは次の仕事があるから。」

「お疲れさまです。お気をつけて。」



それからしばらくして


飛行機を降りたゆいが見えた。


ゆいは白いパーカーを着たユウキに吸い寄せられるように

近づいて来た。


「ユウちゃん。誰かと待ち合わせ?」

「ゆいを迎えに来たんだよ。さぁ、帰ろう。」

「誰かに頼まれたの?」

「頼まれてないよ。」

「ふ~ん。あっ、そうだ。さっきホソカワさんたちに会ったよ。それでね」

「ホソカワさんたちは仕事になったから先に帰るって。」

「そうなんだ。美味しいご飯食べられると思ったのにな。」

「オレが美味い所連れてってやるよ。着替えてこいよ。」

「うん。わかった。急いで出て来るね!」

「走らなくていいよ。転ぶぞ。」



空港スタッフはふたりの様子を見ていた。


「あれ、ユウキですよね?ゆいさんユウキのファンなのかな?積極的ですね~」

「ゆいの彼氏は学生時代から付き合ってるって噂よ。」

「あ~、それで、今年こっち帰って来て結婚するのか?って噂だったんですね。」

「あなた、ホントに何も知らないのね。ゆいは杏と拓の従兄弟なのよ。

 それで、学生時代からの彼氏といったら、ユウキなんじゃないの?」

「え~!残念だなぁ。ユウキじゃ勝ち目ないですね。オレゆいさんちょっと好きだったんです。

 異端児的なトコがカッコイイなぁと思って。」

「あら、隣にも異端児タイプはいるわよ。」

「え~。まさかのそういう展開ですか??」


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