食堂のおばあちゃん物語

みどり

文字の大きさ
6 / 37

思うツボ

しおりを挟む
ゴトウは職場の小さな社員寮に住んでいた。


幽霊の出るホテルと言われた所だった。


3階に大浴場とトレーニングルームがあった。


いわく付の場所の器具は売れなかったらしく

仕方なく寮に残った。


事務員のみちよは福利厚生として

トレーニングルームと浴室を

無料で利用できるようにした。


指導員として

社長の孫娘・ゆいの友人が

アルバイトしていた。


ゴトウは筋トレに興味はなかったが無料で利用できるので

通っているうちにハマった。


もっと別の器具も入れて欲しくなった。

筋トレにハマった数名はみちよに頼んでみた。


「う~ん。でも、予算が限られているから。
 やっぱりみんなが使えるものが優先されるでしょ?」


みちよはすぐにうんとは言わなかった。


「オレたち頑張って働きますから!考えといてください。お願いします!」


数名の筋トレマニアが揃ってお願いした。






みちよは夫の杏(きょう)に筋トレマニアの話をした。


「買ってあげたいんだけどね。
 杏ちゃんも新しいの欲しいとか言ってたでしょ?何とかならない?」


「う~ん。まだ、スペース的には置けそうだとオレも思ってたんだよね。
 じーちゃんの許可取ってみるわ。」



数ヶ月後


杏が買った新しい器具設置。


筋トレマニアたち大喜び。


「みちよさんありがとうございます‼︎」


ますます仕事と筋トレに励む。



杏はミュージシャンだったので

小さな音楽事務所にはファンクラブもあり

杏の友人が事務所スタッフ件カメラマンも担当していた。


ファンクラブの特典として

毎年卓上カレンダーがあり

イケメン風写真タイプと

月ごとにメンバーが仮装したり

大浴場での写真等を使った

バラエティタイプからファンは選べた。

なぜか、イケメン風写真は人気がなかった。


みちよはカメラマンスタッフに頼んで

ついでに男性スタッフのカレンダーも

作ってもらった。

スタッフは恥ずかしそうに写るおじさんや

張り切って浴室で写る筋トレマニアたちなど。

みちよは田舎の親御さんに送ったり

商店街のスタンプラリーの景品にした。


スタンプラリーの景品としては意外と人気が出て

毎年商店街の年末の売上に貢献した。



田舎に住むゴトウの母も

カレンダーを楽しみにしているうちのひとりだった。

ゴトウは母がカレンダーを持っていることを知らなかった。


やんちゃな息子が東京に飛び出して行ってから連絡も無く

みちよからカレンダーが送られてきた時はびっくりした。

毎年それなりに成長している息子を見るのが楽しみになった。


母は東京に行くことにした。


田舎の町にある家を出て


夜行列車に乗って東京へやって来た。


まだ見ぬ東京とは一体どのような所なのか?


息子もこんな期待する気持ちで眠れなかったのか?


長い夜が明けると、東京とは騒々しい場所だった。


右も左もわからないゴトウの母はとりあえずタクシーに乗った。


そして、カレンダーが入っていた封筒をドライバーに見せた。


「わかりました。私、ここによくお客さまをお連れするんですよ。」


たまたま乗ったタクシーは女性ドライバーの個人タクシーで

ドライバーのトシコはこれから向かう息子の会社の面白話を色々としてくれた。



「ありがとうございました。では、よい一日を。」


タクシーを降りたゴトウの母は

さて、どこから入るのかわからなかった。


「母ちゃん⁉︎」


偶然外に出たゴトウと会った。


母は自然と涙が出てきた。

ゴトウは慌ててとりあえず食堂に母と入った。


ゴトウはこれから仕事に行くところだったので

帰ってきてからゆっくり話をすることになった。


日中、ゴトウの母は退屈することはなかった。


どこからともなくおばあちゃんたちがやってきて

話に花が咲いた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...