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第2環 影の薄さと存在理由
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「はっ……?冗談ですよね?」
有り得ない。と言うような表情で、こちらを見てくる。彼の手には、昨日新人の子がやらかした始末を付ける為の報告書がある。既に力が入りすぎて若干皺がよっちゃってるけど。
「冗談じゃないわよ。今日はエイプリルフールでも無いんだし、もう決定事項よ」
「嘘だろっおい!?」
「上司に向かって偉そうねー。関戸石くん、それ、再提出して貰おうかしら?」
「うぐっ……。わかりましたよ」
「うん、わかればよろしい。今日も頼んだわよー」
肩を落とし歩いていく彼の姿を見送りながら、机の上に載せられた書類を確認していく。昨日転生手続きを終えた魂達のデータだ。
初仕事にしては上々の方じゃないかしら。
まあ、問題が多々あるのはたまに傷なのだけれど…。今日はどんな子が来るのかしらね。
「あっんのクソ上司………」
苛立ち紛れに壁を殴ってみる。痛い。
「随分機嫌が悪そうですね?」
「あぁ!?」
「ひぃ!!?」
「あっ、すまん。天邪鬼か」
ついメンチをかましてしまった。天邪鬼は大袈裟にビビったようだが、実際こいつのせいで頭を抱えているのだ。
「そういえば、今日から私たちがペアで組まされるみたいですね」
「…俺は嬉しくないがな」
俺もついさっき上司から聞かされたのだが、今日からの仕事は、天邪鬼と進めるように言われたのだ。報告書の提出をして、さっさとあいつから離れられると思っていた矢先に告げられたのでどうしようもない。
俺とこいつが組まされるのは、これから少しだけ制度を変える為の、言わば実験だ。新人にしても、元から気の弱い奴に関しても、1人で大勢の魂達の相手をするのにはどうも尻込みしてしまうらしい。
そこで、二人一組での対応に切り替える試みがされるため、物は試しに俺と天邪鬼に白羽の矢がたった訳だ。なんとも傍迷惑な話である。
「やだぁもう、照れちゃってー」
すっと握り拳を用意する。
「嘘、嘘ですから!それホントに痛いんで止めて下さい!」
「次言ったらマジでやるからな?それじゃ、さっさと始めんぞ」
「ウィ!えっと…84620番さん!受付カウンター642番にお越し下さい!」
意気揚々と魂を呼ぶ天邪鬼。しかし…
「…来ませんね」
「来ないな」
一向に現れる気配が無い。かれこれ1時間位は経っている気がする。
「84620番さん、84620番さん!?」
「仕方が無いです…。えっと……」
資料を探し、何かをずっと見ている。これはまさか…。息継ぎをしようとする口を手で塞ぐ。
「待て、それ以上は言わせないぞ?」
「来ないのなら、もう最後の手段しかないじゃないですか!」
「お前のは最後の手段じゃねぇ!とにかく過去大暴露はさせねぇからな!」
「あの……ここに…いま、す…」
「「!!?」」
いた。しかも小さかった。
「あの…、どれくらい前から?」
「……一時間位、前から、です」
しかも最初からいた。存在感無さすぎじゃないか!?
「存在感無いですね…」
「はっきり言うな!」
「あはは…構いませんよ。事実ですから」
影が薄い…いや、この状態だと魂が薄いと言うべきか?それほどまでに、この魂は透けて見えるほど薄かった。
「そうなると今までの人生で苦労も多かったですよね」
「ええ、本当ですね。手続きしようとしても気付かれないし…」
「それは本当にすいませんでした」
これは謝るしかない。なんだか悪い事をしてしまった。
「えっと、今日は転生手続きという事ですが、何か希望はありますか?」
「希望…か…。出来るなら、石ころになりたいですね…」
「石…ですか?」
「ええ。しかも道に転がっているような、ただの石ころに。誰にも存在を気にされず、ただそこにあるだけの、ちっぽけな存在になりたいんです」
「先輩、石に転生って、出来るんですか?」
「ああ、手続き自体が面倒だが一応ある」
石は、多くの魂が避ける転生先だ。自らで身動きが取れず、道具のように扱われることもない。本当に『ただそこにあるだけ』になってしまう。
それは自らの存在意志を示すことも出来ない上、なかなか死ぬということが出来ない。石は呼吸も、栄養も必要としない。それは当たり前の事だ。それ故に、死ぬ事を選べなくなる。
唯一死ぬ、という概念があるとすれば、コンクリートにされる際に砕かれることだ。
「私は今まで、長い時を過ごしてきました。寿命を全うして何度も生涯を終え、こうしてまた向こうに戻る。けど、それは人に忘れられながら生きてきたのです」
人として生き、誰にも気付かれないまま、1人で息を引き取ってきた。この魂は、何度もそれを繰り返してきた。
「それ、かなり辛くないですか?」
「そう言われても仕方が無いと思います。最初のうちは、やっぱり堪えますから」
ははは、と力なく笑う魂の顔は、どこか自らを笑うような感じがした。
履歴から見ると、若い頃から存在感が薄かったらしい。基本1人で過ごす事が多く、誰かに気付かれる事がない。
道具になっても同じ。誰かに買われ、作られたとしても、必ずどこかで忘れられる。見つかったとしても持ち主は見つからず、結局そこで棄てられる。難儀な人生、いや、物生とも言えるか。
「でも、1人だけどいい生をおくれた。私はこれで充分だ」
「…それでも転生をするのは、何故ですか?」
唐突に、天邪鬼が口を開く。
「どういう事かな?」
「これは私の予測に過ぎないのですが、あなたは何度も人として、向こうで人生を過ごしています。それはあなたに何か、特別な思い入れがあるからじゃないでしょうか」
転生の理由は、それぞれある。この世に未練を残したり、人生をやり直したいと願ったりが大半だ。
あとは単純な暇つぶし目的の者もいるが、それは本当に稀な事案だ。
この魂にも、何か目的があるのだろうか。
「お嬢さんは、何もかも見えているのかな。それとも私がわかりやすいのか…」
「どちらでもありませんよ。ただ、このあなたの生きた歴史に何か、心残りがあるのではないかと思ったに過ぎません」
こいつと仕事をして思った事がある。天邪鬼は魂の前世に関してとても鋭い。普段はふざけていても、魂達に何の気兼ねもなく来世を過ごして欲しいという心が伝わってくる。
「ふふっ。面白いですね。こういう時に推理小説では、『君みたいに勘のいいガキは嫌いだよ』とでもいうのかな」
「こちらにも、そのような書籍があるのを存じております。特に長年アニメ化している物とかは……」
「話がずれてるぞ」
「ぴぎゃ!」
某漫画は俺も読むことはあるが、主人公がどこかに行く度に人が死ぬのは如何な物かと思う。もし現実にそんな人物がいたら、即召集がかかり何かしらの力が働きかねん。
「実は一度、私の存在に気付く事の出来た人がいたんです。たった1人ですが…」
「友達…いたんですね」
「余計な事言うな!」
「ははっ…。その通りだから大丈夫ですよ。多分、たった1人の、かけがえの無い友人だったんです。ですが……」
笑ってはいるが、どこか影のある笑い方だ。
「目の前で……死んでいると」
履歴には、その魂の全てが書いてある訳ではない。交友関係といった物や、誰と過ごしていたかは、省略される場合が多い。
だから、この魂の友人がどこで死んだのか自体は、この魂の履歴には書いてない。
「ええ…。私は、酷い奴なんですよ。せっかく出来た友人を、目の前で見殺しにしてしまった。私は死神です。誰にも知られず、人知れず死を運ぶ。最も大切な筈の友人を………」
「…だから、人に生まれ変わる事をやめるんですか?」
「…恥ずかしながら」
この人は、望んで1人でいた訳ではなかった。ただ、たった1人の友人を亡くした記憶を抱えながら生きてしまったのだ。
「今まであなたが転生を繰り返してきたのは、その人もまた生まれ変わっているかを確かめる為だったんですね」
「…えっ?」
「だって、あなたはその人の事を、本当に大切に思っているんでしょ?出なければ、こんな人生を繰り返すなんて事、出来ませんよ」
天邪鬼は朗らかな笑みを浮かべる。
誰にも気付かれないから、履歴に特徴的な変化は見られない。けど、何度も人としてやり直している。
行動原理は人それぞれだが、この魂にはちゃんと、生きる理由があったのだ。一見無意味にも取れる行為には、この魂なりの想いが籠もっていた。
「…あなたは魔法使いのようですね。……次は、会えると思いますか?」
「会えますよ、きっと。想いは繋がります。どこにいても、離れていたとしても。その事を忘れない限り、あなた達は大丈夫です。次の門出に幸ある様に、祈ってます」
ありがとうございます。そう言い残して、影の薄い魂は去っていった。ちゃんと転生希望欄には、『人』という文字が書かれている。
多分。いや、きっと、あの魂達は巡り会えるだろう。覚えていなくても、きっとどこかで、繋がれる。現世は何が起こるかわからないのだから。
「あっ、先輩、お疲れ様ですー」
休憩時間になり、休憩室のソファに寝転がる天邪鬼の姿を見つける。
「ああ。ほら、やるよ」
差し入れついでに自販機で買ったココアを投げ入れる。
「うわっ、投げないで下さいよ」
「悪いな」
缶コーヒーを飲みながら、そっと息を吐き出す。天邪鬼の勘の鋭さは、1日に一度が限度らしい。本人曰わく、糖分の消費がマジヤバい、との事だ。
魂は何かを求めて生まれ変わる。新しい出会いや、前とは違う自分を求める者もいる。けど、その志は転生すれば一旦忘れてしまう。
だからこそ面白いのだ。某アニメではないが、まさに0から始まる事が、その生を面白く彩ってくれる。
…こいつには、学ぶ事が多いな。
「zzz…」
─寝てやがる!!
有り得ない。と言うような表情で、こちらを見てくる。彼の手には、昨日新人の子がやらかした始末を付ける為の報告書がある。既に力が入りすぎて若干皺がよっちゃってるけど。
「冗談じゃないわよ。今日はエイプリルフールでも無いんだし、もう決定事項よ」
「嘘だろっおい!?」
「上司に向かって偉そうねー。関戸石くん、それ、再提出して貰おうかしら?」
「うぐっ……。わかりましたよ」
「うん、わかればよろしい。今日も頼んだわよー」
肩を落とし歩いていく彼の姿を見送りながら、机の上に載せられた書類を確認していく。昨日転生手続きを終えた魂達のデータだ。
初仕事にしては上々の方じゃないかしら。
まあ、問題が多々あるのはたまに傷なのだけれど…。今日はどんな子が来るのかしらね。
「あっんのクソ上司………」
苛立ち紛れに壁を殴ってみる。痛い。
「随分機嫌が悪そうですね?」
「あぁ!?」
「ひぃ!!?」
「あっ、すまん。天邪鬼か」
ついメンチをかましてしまった。天邪鬼は大袈裟にビビったようだが、実際こいつのせいで頭を抱えているのだ。
「そういえば、今日から私たちがペアで組まされるみたいですね」
「…俺は嬉しくないがな」
俺もついさっき上司から聞かされたのだが、今日からの仕事は、天邪鬼と進めるように言われたのだ。報告書の提出をして、さっさとあいつから離れられると思っていた矢先に告げられたのでどうしようもない。
俺とこいつが組まされるのは、これから少しだけ制度を変える為の、言わば実験だ。新人にしても、元から気の弱い奴に関しても、1人で大勢の魂達の相手をするのにはどうも尻込みしてしまうらしい。
そこで、二人一組での対応に切り替える試みがされるため、物は試しに俺と天邪鬼に白羽の矢がたった訳だ。なんとも傍迷惑な話である。
「やだぁもう、照れちゃってー」
すっと握り拳を用意する。
「嘘、嘘ですから!それホントに痛いんで止めて下さい!」
「次言ったらマジでやるからな?それじゃ、さっさと始めんぞ」
「ウィ!えっと…84620番さん!受付カウンター642番にお越し下さい!」
意気揚々と魂を呼ぶ天邪鬼。しかし…
「…来ませんね」
「来ないな」
一向に現れる気配が無い。かれこれ1時間位は経っている気がする。
「84620番さん、84620番さん!?」
「仕方が無いです…。えっと……」
資料を探し、何かをずっと見ている。これはまさか…。息継ぎをしようとする口を手で塞ぐ。
「待て、それ以上は言わせないぞ?」
「来ないのなら、もう最後の手段しかないじゃないですか!」
「お前のは最後の手段じゃねぇ!とにかく過去大暴露はさせねぇからな!」
「あの……ここに…いま、す…」
「「!!?」」
いた。しかも小さかった。
「あの…、どれくらい前から?」
「……一時間位、前から、です」
しかも最初からいた。存在感無さすぎじゃないか!?
「存在感無いですね…」
「はっきり言うな!」
「あはは…構いませんよ。事実ですから」
影が薄い…いや、この状態だと魂が薄いと言うべきか?それほどまでに、この魂は透けて見えるほど薄かった。
「そうなると今までの人生で苦労も多かったですよね」
「ええ、本当ですね。手続きしようとしても気付かれないし…」
「それは本当にすいませんでした」
これは謝るしかない。なんだか悪い事をしてしまった。
「えっと、今日は転生手続きという事ですが、何か希望はありますか?」
「希望…か…。出来るなら、石ころになりたいですね…」
「石…ですか?」
「ええ。しかも道に転がっているような、ただの石ころに。誰にも存在を気にされず、ただそこにあるだけの、ちっぽけな存在になりたいんです」
「先輩、石に転生って、出来るんですか?」
「ああ、手続き自体が面倒だが一応ある」
石は、多くの魂が避ける転生先だ。自らで身動きが取れず、道具のように扱われることもない。本当に『ただそこにあるだけ』になってしまう。
それは自らの存在意志を示すことも出来ない上、なかなか死ぬということが出来ない。石は呼吸も、栄養も必要としない。それは当たり前の事だ。それ故に、死ぬ事を選べなくなる。
唯一死ぬ、という概念があるとすれば、コンクリートにされる際に砕かれることだ。
「私は今まで、長い時を過ごしてきました。寿命を全うして何度も生涯を終え、こうしてまた向こうに戻る。けど、それは人に忘れられながら生きてきたのです」
人として生き、誰にも気付かれないまま、1人で息を引き取ってきた。この魂は、何度もそれを繰り返してきた。
「それ、かなり辛くないですか?」
「そう言われても仕方が無いと思います。最初のうちは、やっぱり堪えますから」
ははは、と力なく笑う魂の顔は、どこか自らを笑うような感じがした。
履歴から見ると、若い頃から存在感が薄かったらしい。基本1人で過ごす事が多く、誰かに気付かれる事がない。
道具になっても同じ。誰かに買われ、作られたとしても、必ずどこかで忘れられる。見つかったとしても持ち主は見つからず、結局そこで棄てられる。難儀な人生、いや、物生とも言えるか。
「でも、1人だけどいい生をおくれた。私はこれで充分だ」
「…それでも転生をするのは、何故ですか?」
唐突に、天邪鬼が口を開く。
「どういう事かな?」
「これは私の予測に過ぎないのですが、あなたは何度も人として、向こうで人生を過ごしています。それはあなたに何か、特別な思い入れがあるからじゃないでしょうか」
転生の理由は、それぞれある。この世に未練を残したり、人生をやり直したいと願ったりが大半だ。
あとは単純な暇つぶし目的の者もいるが、それは本当に稀な事案だ。
この魂にも、何か目的があるのだろうか。
「お嬢さんは、何もかも見えているのかな。それとも私がわかりやすいのか…」
「どちらでもありませんよ。ただ、このあなたの生きた歴史に何か、心残りがあるのではないかと思ったに過ぎません」
こいつと仕事をして思った事がある。天邪鬼は魂の前世に関してとても鋭い。普段はふざけていても、魂達に何の気兼ねもなく来世を過ごして欲しいという心が伝わってくる。
「ふふっ。面白いですね。こういう時に推理小説では、『君みたいに勘のいいガキは嫌いだよ』とでもいうのかな」
「こちらにも、そのような書籍があるのを存じております。特に長年アニメ化している物とかは……」
「話がずれてるぞ」
「ぴぎゃ!」
某漫画は俺も読むことはあるが、主人公がどこかに行く度に人が死ぬのは如何な物かと思う。もし現実にそんな人物がいたら、即召集がかかり何かしらの力が働きかねん。
「実は一度、私の存在に気付く事の出来た人がいたんです。たった1人ですが…」
「友達…いたんですね」
「余計な事言うな!」
「ははっ…。その通りだから大丈夫ですよ。多分、たった1人の、かけがえの無い友人だったんです。ですが……」
笑ってはいるが、どこか影のある笑い方だ。
「目の前で……死んでいると」
履歴には、その魂の全てが書いてある訳ではない。交友関係といった物や、誰と過ごしていたかは、省略される場合が多い。
だから、この魂の友人がどこで死んだのか自体は、この魂の履歴には書いてない。
「ええ…。私は、酷い奴なんですよ。せっかく出来た友人を、目の前で見殺しにしてしまった。私は死神です。誰にも知られず、人知れず死を運ぶ。最も大切な筈の友人を………」
「…だから、人に生まれ変わる事をやめるんですか?」
「…恥ずかしながら」
この人は、望んで1人でいた訳ではなかった。ただ、たった1人の友人を亡くした記憶を抱えながら生きてしまったのだ。
「今まであなたが転生を繰り返してきたのは、その人もまた生まれ変わっているかを確かめる為だったんですね」
「…えっ?」
「だって、あなたはその人の事を、本当に大切に思っているんでしょ?出なければ、こんな人生を繰り返すなんて事、出来ませんよ」
天邪鬼は朗らかな笑みを浮かべる。
誰にも気付かれないから、履歴に特徴的な変化は見られない。けど、何度も人としてやり直している。
行動原理は人それぞれだが、この魂にはちゃんと、生きる理由があったのだ。一見無意味にも取れる行為には、この魂なりの想いが籠もっていた。
「…あなたは魔法使いのようですね。……次は、会えると思いますか?」
「会えますよ、きっと。想いは繋がります。どこにいても、離れていたとしても。その事を忘れない限り、あなた達は大丈夫です。次の門出に幸ある様に、祈ってます」
ありがとうございます。そう言い残して、影の薄い魂は去っていった。ちゃんと転生希望欄には、『人』という文字が書かれている。
多分。いや、きっと、あの魂達は巡り会えるだろう。覚えていなくても、きっとどこかで、繋がれる。現世は何が起こるかわからないのだから。
「あっ、先輩、お疲れ様ですー」
休憩時間になり、休憩室のソファに寝転がる天邪鬼の姿を見つける。
「ああ。ほら、やるよ」
差し入れついでに自販機で買ったココアを投げ入れる。
「うわっ、投げないで下さいよ」
「悪いな」
缶コーヒーを飲みながら、そっと息を吐き出す。天邪鬼の勘の鋭さは、1日に一度が限度らしい。本人曰わく、糖分の消費がマジヤバい、との事だ。
魂は何かを求めて生まれ変わる。新しい出会いや、前とは違う自分を求める者もいる。けど、その志は転生すれば一旦忘れてしまう。
だからこそ面白いのだ。某アニメではないが、まさに0から始まる事が、その生を面白く彩ってくれる。
…こいつには、学ぶ事が多いな。
「zzz…」
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