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第5話 ハッシュドビーフ

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香水の甘い香りが漂う。
ピンクシュガー、これが無いと眠れなくなった。
今日も一段と寒いな。布団から出れない。もぞもぞと這い出る。
寒いんだよな…暖房つけないと。
暗い部屋リモコンを探す。
リモートコントローラーってやつな。フルで言うことはまず無いな。
夕食ですよー! 
小鳥遊が急かす。今晩はなんだろう。
香りからするとカレーかな、ビーフシチューかな。

ハッシュドビーフでした。

オレンジの色に染まる景色を眺めて。変えれない運命なんてないと思った。
今日は風が強い、それは甘い夢の続きで。
冬の始まりに、僕はため息をつく。それは美しい、新しい僕らの始まり。
眠い目をこすりながら、僕は思う。
僕らいつまで微温湯に浸かってられるんだろう。
いずれ結婚をし、子を授かる。

そんな当たり前な事が凄く不思議に思えた。浅い夢のように。
僕は浅はかだ。ドがつくほどにさ。

もうすぐ春の歌が流て
冬の涙はそっと消えて
寂しい気持ちが消えていく
手に取った幸、明日には分かるだろう

ただ君を見失いように
始まりに終わりがあると知りながらも。
涙も連れて行ってよ。
今しかない冬だと知ってるさ。
冬がすべて ふわり風が彼方。
つまらないエピローグなんていらない。僕はただ流されていたいだけ。

ひとつひとつ失わないよう。

綺麗な恋に乗せて。
愛してるって伝えたくて。
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