上 下
6 / 14

第4話 二度と来ない今日が終わる

しおりを挟む
小鳥遊は可愛い。可愛い。
声も顔も仕草も全部。


そんな事を考えながら暖房をきかしておいてお風呂に浸かる。一日の疲れが取れる。極楽ってこういうのなんだろうな。
なんだろう、冬は身体の芯まで温まるような。足先からジワって温まる
でもなんかヒートショックを起こしそうだ。

先輩、入っていいで…ダメに決まってるだろ。

僕はシャツ系のパジャマだ。
ジャージやスウェットはダメだ。慣れない。結局ここに行き着いた。
綿100%だぞ。いいだろ。

好みに合わせて小鳥遊もシャツ系にしてもらった。わがまま。
似合うのを選ぶのも楽しかった。
女性の買い物は長いって言うが、僕はそれが楽しい。変わってるのだろうか。いや、色々眺めて、色々試着して、楽しくない訳が無い。
1人ファッションショーしてもらってだな。

暖房が暑い。シャツを脱ぎ上半身裸で涼む。それでもまだ暑いか。
暖房を切ろうとも考えたが、お風呂から出た小鳥遊が寒がるだろうな。
ちょっと暑いが我慢しよう。
お風呂上がりは暑いけどな、湯冷めしてもらっては困る。

先輩が脱いでる!きゃー! 

わざとらしいリアクションに、僕は暑いからだよと素っ気なく返す。
この子のリアクションもだいぶ分かってきたな。
それだけ傍にいるって事か。嬉しいな。その感情が、笑顔が、悲しみが、どんどん近くなってる感覚。
生活の一部だ。どこまでも。
そうしてシャツを着る。
着ると言ってもシャツをはだけて、胸から腹にかけて露出している。露出?変態みたいだな。
羽織ってるだけだよ。

せめてハグ!!

そのぐらいならいいか。おいで。

それでもまぁ、冷めても小鳥遊の温かさはわかる。
暖かい。伝わる命の鼓動。
トクントクン、伝わる命の鼓動、そのもの。
少し鼓動が早くなる。心音を合わせて僕らは繋がる。
永遠を願うには僕ら大人になりすぎたけれど。

ずっとこうしてたい。そんな事を考えたんだ。僕はまだまだ甘いな。
大好きだ。愛してる。そんな言葉じゃ表現できないくらい。
そこに居てくれるだけでいいんだ。
ただ、傍に居てくれれば。それがずっと続けば。永遠に、なんて。枯れるまで、命果てるまで。

二度とない今日が終わる。
今はこの体温に、すこしでも長く包まれていたい

しおりを挟む

処理中です...