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第一章
コノヒトタチコワイ!!
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ガタガタと揺れる馬車の中、この男との二人きりはとても嫌なものだった。
(とにかく気持ち悪い!!!)
男の目と手は全てが厭らしく、体中に鳥肌がたつ。
しかし狭い空間の中ではまともに逃げることが出来ず、あと一歩のところで公爵家に着いたのが不幸中の幸いである。
男は残念そうだったけども。
公爵家、それはとてつもなく大きいものだった。
例えるならば国会議事堂の半分くらいだろうか。
(まぁ国会議事堂を直接みたことはないんだけどね。)
とてつもなく広い庭を通り、迎えた玄関もまた大きい。
その前に居た、いかにも執事という方に案内をしてもらった。
中ももちろん広い。廊下の幅だけでも前世入院していた部屋の二倍はありそうだ。
そうして歩いていくうちに執事の方が止まる。どうやら着いたそう。
ドクドクと胸から音が聞こえる。
俺はここで悪役令嬢『ビビアン・テイジャー』に会うのだ。
──────────────────────
(ビビアン視点)
今日は今までで一番最悪な日。
お父様が言うには弟が来るらしい。
だからいつも構ってくれる皆が準備に忙しいらしくぜんぜん相手をしてくれないの。
(最悪…弟なんか要らないのに。)
もしも、弟が来て皆が今日みたく構ってくれなくなったらどうしよう。
全く遊んでくれなくなったら…
目に涙が滲むのを必死に堪える。ここで泣くのが些か格好が悪いのは、流石に分かった。
しばらく時間が経ち、到着したとの報告が来た。
「ビビアン。君の弟になる子がこれから来るんだ。しっかりと挨拶をするんだよ。」
「…わかっていますわ、お父様。」
少し不貞腐れながら返事を返す。それを悟っているのかは分からないが、仏頂面の父様は少し困ったように眉を下げた。多分。
(分かりづらいのよ…)
コツコツと廊下から歩く音が聞こえる。その音が私の体を強張らせた。
コンコンという合図に父様が返事をすると、ドアが開き男の子、と豚を連想される容姿の男性が入って来た。
男の子は白にうっすらと青のグラデーションがかかった髪を三つ編みで一つに結ってある。
顔立ちはかなり整っており、王太子と並ぶほどではないだろうか。
おそらく弟だ。
最初に言葉を発したのは男の子の隣にいる男。
「この度は我が息子を養子に迎えて頂き誠にありがとうございます。」
(うげっ)
公爵家ならばよく聞く猫撫で声に嫌気がさしてくる。この目線の向け方も下心が丸見えであり、そういう趣味なのだろうかと疑うほどだ。
(気色悪いわ)
心のなかではぁと一つため息を着いた。
「こちらが息子のジュン・テイジャー…なんて、ハッハッハ。ほら挨拶をしなさい。」
(可哀想…)
その面白くなんともない冗談に私はジュンと紹介された男の子に同情の目を向けた。
しかし、さっきのことに対して何も思っていないのか眉も何も一切動かさない。唯一身体だけは丁寧にお辞儀をしていた。
その行為に対して、どこか不気味に感じられたのは私だけではないようでお母様も訝しげな目で見つめている。
そうして、少し間が空いたあと喋りだしたのはお父様。
「やぁテイジャー家へようこそ。私が現当主のバビロンだ。気軽に呼んでくれ。私たちは君のことを歓迎するよ。
それとニミナ伯爵、大事な息子をこちらに感謝するよ。」
「バビロンの妻のレイよ。ぜひお母様と呼んでほしいわね。そしてこっちが娘のビビアン、あなたの1つ年上の姉になるわ。仲良くしてやってちょうだい。」
席から立ち上がり礼儀を行う。
それに対して向こうもお辞儀で返すがやはり愛想はないようだ。
(まぁ…私の家族も人のことはいえないわね)
先ほどの挨拶。お父様もお母様も言い方自体は優しいが、端からみたら表情は動いていないだろう。それは私にも該当する。
その環境の中で唯一冷や汗をかいているのは先の男だけだった。
(とにかく気持ち悪い!!!)
男の目と手は全てが厭らしく、体中に鳥肌がたつ。
しかし狭い空間の中ではまともに逃げることが出来ず、あと一歩のところで公爵家に着いたのが不幸中の幸いである。
男は残念そうだったけども。
公爵家、それはとてつもなく大きいものだった。
例えるならば国会議事堂の半分くらいだろうか。
(まぁ国会議事堂を直接みたことはないんだけどね。)
とてつもなく広い庭を通り、迎えた玄関もまた大きい。
その前に居た、いかにも執事という方に案内をしてもらった。
中ももちろん広い。廊下の幅だけでも前世入院していた部屋の二倍はありそうだ。
そうして歩いていくうちに執事の方が止まる。どうやら着いたそう。
ドクドクと胸から音が聞こえる。
俺はここで悪役令嬢『ビビアン・テイジャー』に会うのだ。
──────────────────────
(ビビアン視点)
今日は今までで一番最悪な日。
お父様が言うには弟が来るらしい。
だからいつも構ってくれる皆が準備に忙しいらしくぜんぜん相手をしてくれないの。
(最悪…弟なんか要らないのに。)
もしも、弟が来て皆が今日みたく構ってくれなくなったらどうしよう。
全く遊んでくれなくなったら…
目に涙が滲むのを必死に堪える。ここで泣くのが些か格好が悪いのは、流石に分かった。
しばらく時間が経ち、到着したとの報告が来た。
「ビビアン。君の弟になる子がこれから来るんだ。しっかりと挨拶をするんだよ。」
「…わかっていますわ、お父様。」
少し不貞腐れながら返事を返す。それを悟っているのかは分からないが、仏頂面の父様は少し困ったように眉を下げた。多分。
(分かりづらいのよ…)
コツコツと廊下から歩く音が聞こえる。その音が私の体を強張らせた。
コンコンという合図に父様が返事をすると、ドアが開き男の子、と豚を連想される容姿の男性が入って来た。
男の子は白にうっすらと青のグラデーションがかかった髪を三つ編みで一つに結ってある。
顔立ちはかなり整っており、王太子と並ぶほどではないだろうか。
おそらく弟だ。
最初に言葉を発したのは男の子の隣にいる男。
「この度は我が息子を養子に迎えて頂き誠にありがとうございます。」
(うげっ)
公爵家ならばよく聞く猫撫で声に嫌気がさしてくる。この目線の向け方も下心が丸見えであり、そういう趣味なのだろうかと疑うほどだ。
(気色悪いわ)
心のなかではぁと一つため息を着いた。
「こちらが息子のジュン・テイジャー…なんて、ハッハッハ。ほら挨拶をしなさい。」
(可哀想…)
その面白くなんともない冗談に私はジュンと紹介された男の子に同情の目を向けた。
しかし、さっきのことに対して何も思っていないのか眉も何も一切動かさない。唯一身体だけは丁寧にお辞儀をしていた。
その行為に対して、どこか不気味に感じられたのは私だけではないようでお母様も訝しげな目で見つめている。
そうして、少し間が空いたあと喋りだしたのはお父様。
「やぁテイジャー家へようこそ。私が現当主のバビロンだ。気軽に呼んでくれ。私たちは君のことを歓迎するよ。
それとニミナ伯爵、大事な息子をこちらに感謝するよ。」
「バビロンの妻のレイよ。ぜひお母様と呼んでほしいわね。そしてこっちが娘のビビアン、あなたの1つ年上の姉になるわ。仲良くしてやってちょうだい。」
席から立ち上がり礼儀を行う。
それに対して向こうもお辞儀で返すがやはり愛想はないようだ。
(まぁ…私の家族も人のことはいえないわね)
先ほどの挨拶。お父様もお母様も言い方自体は優しいが、端からみたら表情は動いていないだろう。それは私にも該当する。
その環境の中で唯一冷や汗をかいているのは先の男だけだった。
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