弱小種族の冒険譚

わっしー

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第一章

8.盗賊との戦闘

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目の前には人相の悪い男5人。多分、見張りとして残された奴らみたいだ。剣を持った奴が2人、弓・斧・杖を持った奴が一人ずつ。
「見た感じ、剣士が2人、ハンター、魔法使い、戦士が一人ずつって感じね・・・。」
「前衛が3人に後衛が2人・・・。布陣としてはポピュラーですね。」
「へぇ・・・。ポム君は戦術書も読めるの?」
「意外と読書家なんですよ、こう見えて。」
まあ、前の世界で戦争系のライトノベルやゲームで得た知識だけど・・・。
「じゃあ、まずはどう攻める?」
「そうですね・・・。相手の後衛を潰しておきましょう・・・。特に魔法使いの方はもしかしたら僧侶の可能性もあります。回復役は先につぶしてあとは二人で各個撃破でどうでしょう?」
「うん!信じてるからね、ポム君!」
そう言ってエレナさんは矢をつがえる。
「魔法使いは一撃でお願いしますね・・・。」
「わかってる・・・。」
そう言って弓を引いてく。
「じゃあ、行くよ!」
次の瞬間、風切る音がした瞬間に魔法使いと思われる男の頭に矢が刺さる。
「うっ!?」
男はそのまま音を立てて倒れる。
「おい!?」
「て・・・敵襲!?敵襲だ!?」
男たちが混乱したように叫びだす。
「もういっちょう!!「土壁」」
そう言ってエレナさんは矢を剣士の男とハンターの男、剣士の男と戦士の男の間に矢を射る。すると次の瞬間、矢が刺さった個所が盛り上がり土の壁が出来る。そして、両者の間に壁を作った。
「ナイスです!では、ハンターの男の方をお願いします!僕は剣士の男を!」
「わかった!」
そして、僕は剣士の男の前に躍り出る。
「チビット族!?奴らの仲間か!?」
「はぁ!!」
僕は気合の正拳突きを繰り出す。剣士の男は防御の構えを取るが間に合わず、正拳突きはお腹に吸い込まれていく。
「がっ!?」
「もう一発!」
剣士の男が九の字になり頭が下に降りてきたので僕はその側頭部に膝蹴りを入れた。
「ぐぅ!?」
男はその一撃で頭が揺れ倒れた。
「この下等生物が!調子に乗るなよ!!」
ハンターの男が弓を構えるがそこにエレナさんの矢がハンターの男の右手に命中した。
「ぐぁ!?手が!!」
「やぁ!!」
僕は間髪入れずに男の股目掛けて正拳突きをお見舞いした。手にぐにゃっという嫌な感触を感じる。
「・・・!!」
男は冷や汗を流し白目になり、そのまま倒れる。
「この調子に乗るんじゃねぇ!!」
そう言って今度は壁の向こうからもう一人の剣士の男が現れ僕に剣を振り下ろす。僕はそれを横に避け、剣士の手を蹴る。
「ぐっ!?」
剣士の男は剣から手を離す。その隙をついてエレナさんの矢が男の頭に命中する。そして、そのまま男は動かなくなった。
「さて・・・。残りは一人!」
「ほう・・・。まさか、下等生物がここまでやるとはな・・・。」
そう言って戦士の男は斧を構える。そこにエレナさんの矢が飛来する。
「ふん!!」
戦士の男は斧を振ってその矢を弾く。
「今だ!」
僕はがら空きになった横腹に突っ込む。
「甘い!!」
そう言って戦士の男は斧を持っていない手で僕の拳を掴む。
「えっ!?」
「これでも、食らえ!!」
そう言って斧を僕に振り下ろす。掴まれた右の拳が離れない。
「うわぁ!」
僕は間一髪斧を避けるがその時に左腕を切られた。
「ポム君!」
エレナさんの声と共に矢が飛来するが、戦士の男はそれを難なく叩き落とす。
「こんな矢で、俺を倒せると思うなよ!」
そう言って戦士の男はまた斧を振りかぶる。
「くっ!!「ライト」!」
僕は咄嗟に光の魔法を放つ。その光は戦士の男の目の前で放つ。
「ぐわ!?目が・・・!!」
戦士の男は僕を掴んでいた手を離す。僕はその隙に戦士の男に足払いを掛ける。
「ぐお!?」
戦士の男は片膝をつく。その隙に距離を取る。それを見計らってエレナさんの矢が飛来し、戦士の男の左肩に刺さる。
「ぐっ・・・。この野郎!!」
戦士の男は悪態をつく。僕は左肩に「エイド」を掛けながら戦士の男に言う。
「そこまでです!もう、あなたは僕達には敵いません、降参してください!」
「は・・・!降参?この俺がか?」
「ええ。これ以上の戦いは無意味です。この傷ではもう戦えないはずです。」
「馬鹿にするんじゃねえぞ!下等生物風情が!!これで勝ったと・・・。」
次の瞬間、戦士の男の右肩に矢が刺さる。
「ぐわぁ!!」
「この状況は覆りません・・・。諦めて降参を・・・。」
「ふふふ・・・。」
次の瞬間、男は不気味に笑う。
「・・・!?ポム君、下がって!!」
僕はエレナさんの声に引かれるように後ろに下がる。すると、僕がさっきまで立っていたところが大きく凹んでいる。
「まさか、下等生物如きにこのアイテムを使うとはな・・・。」
そう言って戦士の男は立ち上がる。戦士の男の周囲にはどす黒い魔力が漂っていた。
「これは・・・!?」
「ポム君!逃げるよ!」
いつの間にか僕の後ろにエレナさんが立っていたと思うと僕を抱える。
「エレナさん!アレは一体!?」
「あの盗賊、魔獣の種を飲んだみたいね・・・。」
「魔獣の種?」
「話はあと!とにかく逃げるよ!」
「でも、チビット族の皆が!!」
「ここに居たら、彼らも巻き込まれる。今は逃げるの!」
『待て!餓鬼ども!!』
その声はもう戦士の男の声ではなかった。そして、僕が見たのは体長5メートルになる四足歩行の化け物だった。
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