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プロローグ3
プロローグ3
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褐色の肌の男は鼻歌交じりに豪勢な白の廊下を歩いていた。その男の側頭には大きな角が2本生えていた。
「ボロス、何やら機嫌が良いな?」
そう話しかけたのは筋肉の塊のような魔族の男だ。ボロスはその男を振り返る。
「これは、バラス。貴方も帰って来ていたのですか?」
「ああ。帝国との戦もなかなか楽しいぞ?奴らはお前が開発した「魔獣の種」と「狂化の宝石」を使って抵抗している。」
「ほう・・・。それは良いですね・・・。」
これで研究が捗ります。とボロスはにやりと笑う。
「それで?お前はどうしてそんなに機嫌がいいんだ?聞いた話ではチビット族の捕獲に失敗したみたいじゃないか?」
バラスは首をひねって尋ねる。
「それが、それ以上の成果がありましてね・・・。ああ・・・。早く、いろいろと試さないと・・・。」
そう言ってボロスはバラスと別れて研究室のドアを開ける。そこには鉄格子のなかで体を丸めて眠っているチビット族たちが入っていた。
「さて・・・。始めましょうか。」
そう言ってボロスは笑う。その笑い声は狂気じみていた。その声を聞いて檻の中のチビット族は目を覚まし恐怖で体を震わせる。
「・・・。」
女神、ネメスは手鏡を見つめていた。その目は真剣そのものだった。その手鏡に映っているのはゴブリンキングと戦うポムとボルドウの姿だった。
「・・・まさか、「バースト」を人為的に起こすことが出来るとは驚きですね・・・。」
「バースト」とは、一種のブースターだ。
本来、人は身体の機能を100%使っていない。その理由は常時身体の機能を全開に使っていると身体の寿命が早く来てしまう。そのため人は自らリミッターを作り身体の機能を制限している。
補助魔法でも精々10%程身体の機能のリミッターを外す程度だ。
しかし、「バースト」は違う。身体のリミッターをすべて取り除き、さらに魔力を限界まで高める極めて危険な禁術だ。
「でも、それをしないと魔神には敵わない・・・。」
魔神の力は強大だ。配下の魔族だって普通の人間にとっては脅威なのだから・・・。
「彼らの身体は心配だけど、そんなことも言えないのですよね・・・。」
そう言ってネメスはため息を吐く。
「本当に歯がゆいです・・・。」
ネメスは誰もいない空間でそう呟くことしか出来ない。ネメスがここを離れれば魔神と同等の化け物が封印から解き放たれる。それだけは絶対に阻止しないと・・・。
ネメスは椅子に座り只々ため息を吐くしかなかった。
「ボロス、何やら機嫌が良いな?」
そう話しかけたのは筋肉の塊のような魔族の男だ。ボロスはその男を振り返る。
「これは、バラス。貴方も帰って来ていたのですか?」
「ああ。帝国との戦もなかなか楽しいぞ?奴らはお前が開発した「魔獣の種」と「狂化の宝石」を使って抵抗している。」
「ほう・・・。それは良いですね・・・。」
これで研究が捗ります。とボロスはにやりと笑う。
「それで?お前はどうしてそんなに機嫌がいいんだ?聞いた話ではチビット族の捕獲に失敗したみたいじゃないか?」
バラスは首をひねって尋ねる。
「それが、それ以上の成果がありましてね・・・。ああ・・・。早く、いろいろと試さないと・・・。」
そう言ってボロスはバラスと別れて研究室のドアを開ける。そこには鉄格子のなかで体を丸めて眠っているチビット族たちが入っていた。
「さて・・・。始めましょうか。」
そう言ってボロスは笑う。その笑い声は狂気じみていた。その声を聞いて檻の中のチビット族は目を覚まし恐怖で体を震わせる。
「・・・。」
女神、ネメスは手鏡を見つめていた。その目は真剣そのものだった。その手鏡に映っているのはゴブリンキングと戦うポムとボルドウの姿だった。
「・・・まさか、「バースト」を人為的に起こすことが出来るとは驚きですね・・・。」
「バースト」とは、一種のブースターだ。
本来、人は身体の機能を100%使っていない。その理由は常時身体の機能を全開に使っていると身体の寿命が早く来てしまう。そのため人は自らリミッターを作り身体の機能を制限している。
補助魔法でも精々10%程身体の機能のリミッターを外す程度だ。
しかし、「バースト」は違う。身体のリミッターをすべて取り除き、さらに魔力を限界まで高める極めて危険な禁術だ。
「でも、それをしないと魔神には敵わない・・・。」
魔神の力は強大だ。配下の魔族だって普通の人間にとっては脅威なのだから・・・。
「彼らの身体は心配だけど、そんなことも言えないのですよね・・・。」
そう言ってネメスはため息を吐く。
「本当に歯がゆいです・・・。」
ネメスは誰もいない空間でそう呟くことしか出来ない。ネメスがここを離れれば魔神と同等の化け物が封印から解き放たれる。それだけは絶対に阻止しないと・・・。
ネメスは椅子に座り只々ため息を吐くしかなかった。
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