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第三章
34.ワーウルフ
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「さて、皆にお知らせよ。なんと、わたくしたちのパーティーに新しい仲間が加わることになったわ。」
「モリナです。皆さんの足を引っ張らないように頑張ります。」
そう言ってモリナさんが僕たちにお辞儀をする。
「おう!よろしくな、モリナ!」
そう言ってドロンさんが笑う。他の皆も好意的だ。
「モリナは職業は僧侶とのことだから念願の回復役が入ったわね。」
そう言ってミネアさんは嬉しそうに言う。
「あの・・・。僕も僧侶なのですが・・・。」
そう言う僕にミネアさんはため息を吐く。
「ポムさんは僧侶というより格闘家のイメージが強いわ。現にいつも前に出て戦っているし。」
「・・・ですよね。」
僕は今までの行動を振り返ってすごすごと引っ込む。
「さて、では出発よ!」
そして、僕たちは王都「スラート」に向けて出発した。
僕達は村の人と騎士団に別れを告げて馬車を走らせる。
「しかし、始まりはお嬢様の見合いが嫌で家を出たところから随分といろいろありましたね。」
そう言ってアランさんは手綱を引きながら話す。
「そうね・・・。でも、「ランバルド」でのチビット族狩りにゴブリンの襲撃、それに魔族の襲撃・・・。まさか、全てが繋がっているなんてね・・・。」
ミネアさんはポポの頭を撫でながら言う。
「そうだな・・・。ワイたちもしかしたら大きな事件に首を突っ込んだのかもしれへんな・・・。」
ドロンさんがため息交じりに言う。
「そうね・・・。でも、わたくし達はその全てを乗り越えてきたわ。どんなことがあってもわたくし達なら大丈夫なはずよ!」
ミネアさんは明るい声でそう言う。
「でも、モリナさん。本当に良かったんですか?僕たちの旅について来て?」
「はい。私にはもう帰る場所がありませんから・・・。それにここならポムさんやポミュさんがいますから。」
そう言ってモリナさんは微笑む。
「それに、私達ホブゴブリンはチビット族とは深いつながりがあるみたいですよ。」
「そうなんですか?」
ポミュが聞き返す。モリナさんは頷いて話をする。
「はい、父の日記に書かれていました。昔、父は一人のチビット族に命を救われたそうです。それだけではなく生きるための知恵なども授けてもらっていたと・・・。」
「そうなんだ・・・。」
僕はゴブリンキングのことを思い出す。あの時、僕をボロスに渡していればゴブリンの里はあのようなことになっていなかった。
「父は悩んでいました。ポムさんを逃がす前日に父に一緒に逃げるように言われたんです。多分、父はこうなることを予感していたんだと思います。」
「そうか・・・。なら、ゴブリンキングには感謝しなくちゃね。」
僕は今はいないゴブリンキングに黙とうをささげる。どうか安らかに眠ってくれることを願って・・・。
「お嬢様、どうやらモンスターがいるみたいです。」
アランさんは馬車を止めて剣を引き抜く。
「・・・そのようね。」
ミネアさんも杖を手にして立ち上がる。他の皆も戦闘態勢に入る。僕も小手をはめる。
「ポミュ。馬車をお願い。」
「はい、ミネア様。」
ポミュは馬車の手綱を受け取る。その横にポポが寄り添う。
「では、行きましょう。」
そして、僕たちは馬車の外に出る。するとそれを待っていたようにモンスターが現れた。
「ワーウルフね・・・。」
ミネアさんは杖を構える。数は5体。体長は2m程の二足歩行の狼だ。その前足は鍛え抜かれた太い腕をしておりその手にはこん棒を持っていた。
「気を付けて、こいつら早いから。」
エレナさんが弓を構えながら呟く。ドロンさんとアランさん、そして僕はそれぞれの得物を持ってワーウルフと睨み合う。
そして、先に動いたのはワーウルフだった。
「がぁ!!」
ワーウルフたちはこん棒を振りあげて僕たちに近づいて来る。
「早い!?」
僕は後ろに飛びワーウルフの攻撃を避ける。そんな僕にワーウルフはこん棒を持っていない手で殴りかかる。僕はそれを腕で受け止めるが衝撃を完全に殺せずに後ろに大きく吹き飛ばされてしまう。
「「ウォーム・ヒール」」
そんな僕にモリナさんは回復魔法を掛ける。腕に温かな温度を感じて次の瞬間には痛みは無くなっていた。
「ありがとうございます、モリナさん!」
「ポムさん、気を付けて。ワーウルフは近接格闘が得意なモンスターです。体格差ではポムさんが不利です。」
「・・・確かにそうですね。」
僕は改めてワーウルフを見る。筋力も腕や脚の長さも何倍もある。
「私が援護します。」
そう言ってモリナさんは魔力を集中させる。その魔力を感じ取ったのかワーウルフはモリナさんの方を見る。
「「ファイアー・ボール」!」
ワーウルフに野球ボールほどの火の玉が放たれた。大きさは小さいが早い。ワーウルフはこん棒で弾こうとした。しかし、こん棒に当たった瞬間火の玉は弾けて小さな火の粉となってワーウルフの身体に降り注ぐ。
その熱さにワーウルフは怯む。
「今です!」
モリナさんの声を聞いて僕はがら空きになった腹に拳を叩き込む。
ワーウルフはその一撃で半歩後ろに下がる。
「まだまだ!」
僕はさらに拳を叩き込む。殴って殴って殴りまくる。
「これで、最後だ!」
僕は最後に光を纏わせた拳を叩き込む。
「「光拳」!」
光の魔力がワーウルフの体内を駆け巡る。その光はワーウルフの中で暴発して身体の中を破壊する。
ワーウルフは口から血を吐き出して後ろに倒れた。
「・・・ふぅ。」
僕は息を吐く。そして、周りを見て見ると他のワーウルフはミネアさん達に倒されていた。
モリナさんが僕の元に来る。
「ポムさん、大丈夫ですか?」
「はい。モリナさんの援護のお陰で倒すことが出来ました。ありがとうございます。」
「いえ・・・。当然のことをしただけですよ。」
そう言ってモリナさんは笑った。
「モリナです。皆さんの足を引っ張らないように頑張ります。」
そう言ってモリナさんが僕たちにお辞儀をする。
「おう!よろしくな、モリナ!」
そう言ってドロンさんが笑う。他の皆も好意的だ。
「モリナは職業は僧侶とのことだから念願の回復役が入ったわね。」
そう言ってミネアさんは嬉しそうに言う。
「あの・・・。僕も僧侶なのですが・・・。」
そう言う僕にミネアさんはため息を吐く。
「ポムさんは僧侶というより格闘家のイメージが強いわ。現にいつも前に出て戦っているし。」
「・・・ですよね。」
僕は今までの行動を振り返ってすごすごと引っ込む。
「さて、では出発よ!」
そして、僕たちは王都「スラート」に向けて出発した。
僕達は村の人と騎士団に別れを告げて馬車を走らせる。
「しかし、始まりはお嬢様の見合いが嫌で家を出たところから随分といろいろありましたね。」
そう言ってアランさんは手綱を引きながら話す。
「そうね・・・。でも、「ランバルド」でのチビット族狩りにゴブリンの襲撃、それに魔族の襲撃・・・。まさか、全てが繋がっているなんてね・・・。」
ミネアさんはポポの頭を撫でながら言う。
「そうだな・・・。ワイたちもしかしたら大きな事件に首を突っ込んだのかもしれへんな・・・。」
ドロンさんがため息交じりに言う。
「そうね・・・。でも、わたくし達はその全てを乗り越えてきたわ。どんなことがあってもわたくし達なら大丈夫なはずよ!」
ミネアさんは明るい声でそう言う。
「でも、モリナさん。本当に良かったんですか?僕たちの旅について来て?」
「はい。私にはもう帰る場所がありませんから・・・。それにここならポムさんやポミュさんがいますから。」
そう言ってモリナさんは微笑む。
「それに、私達ホブゴブリンはチビット族とは深いつながりがあるみたいですよ。」
「そうなんですか?」
ポミュが聞き返す。モリナさんは頷いて話をする。
「はい、父の日記に書かれていました。昔、父は一人のチビット族に命を救われたそうです。それだけではなく生きるための知恵なども授けてもらっていたと・・・。」
「そうなんだ・・・。」
僕はゴブリンキングのことを思い出す。あの時、僕をボロスに渡していればゴブリンの里はあのようなことになっていなかった。
「父は悩んでいました。ポムさんを逃がす前日に父に一緒に逃げるように言われたんです。多分、父はこうなることを予感していたんだと思います。」
「そうか・・・。なら、ゴブリンキングには感謝しなくちゃね。」
僕は今はいないゴブリンキングに黙とうをささげる。どうか安らかに眠ってくれることを願って・・・。
「お嬢様、どうやらモンスターがいるみたいです。」
アランさんは馬車を止めて剣を引き抜く。
「・・・そのようね。」
ミネアさんも杖を手にして立ち上がる。他の皆も戦闘態勢に入る。僕も小手をはめる。
「ポミュ。馬車をお願い。」
「はい、ミネア様。」
ポミュは馬車の手綱を受け取る。その横にポポが寄り添う。
「では、行きましょう。」
そして、僕たちは馬車の外に出る。するとそれを待っていたようにモンスターが現れた。
「ワーウルフね・・・。」
ミネアさんは杖を構える。数は5体。体長は2m程の二足歩行の狼だ。その前足は鍛え抜かれた太い腕をしておりその手にはこん棒を持っていた。
「気を付けて、こいつら早いから。」
エレナさんが弓を構えながら呟く。ドロンさんとアランさん、そして僕はそれぞれの得物を持ってワーウルフと睨み合う。
そして、先に動いたのはワーウルフだった。
「がぁ!!」
ワーウルフたちはこん棒を振りあげて僕たちに近づいて来る。
「早い!?」
僕は後ろに飛びワーウルフの攻撃を避ける。そんな僕にワーウルフはこん棒を持っていない手で殴りかかる。僕はそれを腕で受け止めるが衝撃を完全に殺せずに後ろに大きく吹き飛ばされてしまう。
「「ウォーム・ヒール」」
そんな僕にモリナさんは回復魔法を掛ける。腕に温かな温度を感じて次の瞬間には痛みは無くなっていた。
「ありがとうございます、モリナさん!」
「ポムさん、気を付けて。ワーウルフは近接格闘が得意なモンスターです。体格差ではポムさんが不利です。」
「・・・確かにそうですね。」
僕は改めてワーウルフを見る。筋力も腕や脚の長さも何倍もある。
「私が援護します。」
そう言ってモリナさんは魔力を集中させる。その魔力を感じ取ったのかワーウルフはモリナさんの方を見る。
「「ファイアー・ボール」!」
ワーウルフに野球ボールほどの火の玉が放たれた。大きさは小さいが早い。ワーウルフはこん棒で弾こうとした。しかし、こん棒に当たった瞬間火の玉は弾けて小さな火の粉となってワーウルフの身体に降り注ぐ。
その熱さにワーウルフは怯む。
「今です!」
モリナさんの声を聞いて僕はがら空きになった腹に拳を叩き込む。
ワーウルフはその一撃で半歩後ろに下がる。
「まだまだ!」
僕はさらに拳を叩き込む。殴って殴って殴りまくる。
「これで、最後だ!」
僕は最後に光を纏わせた拳を叩き込む。
「「光拳」!」
光の魔力がワーウルフの体内を駆け巡る。その光はワーウルフの中で暴発して身体の中を破壊する。
ワーウルフは口から血を吐き出して後ろに倒れた。
「・・・ふぅ。」
僕は息を吐く。そして、周りを見て見ると他のワーウルフはミネアさん達に倒されていた。
モリナさんが僕の元に来る。
「ポムさん、大丈夫ですか?」
「はい。モリナさんの援護のお陰で倒すことが出来ました。ありがとうございます。」
「いえ・・・。当然のことをしただけですよ。」
そう言ってモリナさんは笑った。
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