42 / 50
第三章
35.旅の途中
しおりを挟む
「そういえば、ポム。お前、小手が前のモノに戻ってるな。」
ドロンさんがそう言って僕の手を指さす。
「はい。実は銅の爪は狩りの時に使ったんですがトリガーが壊れてしまったようで爪が元に戻んないんですよ・・・。」
そう言って僕は荷物の中から布に包んだ銅の爪を取り出す。ドロンさんはそれを手に取り見ている。
「う~ん・・・。どうやらトリガー部分のバネが完全にいかれちまったみたいだな・・・。それに小手自体もひび割れていている。これは直すのは無理そうだな。」
「そうですか・・・。」
僕は肩を落とす。武器もタダではないし僕のポケットマネーもそんなに多くはない。正直新しい装備を買うのは厳しい。
「王都に着けばもっといい装備がありますわ。」
そう言ってミネアさんが微笑む。
「でも、高いんでしょ?」
「それなりの値段はしますわね。」
「やっぱりですか・・・。」
僕はがっくりと肩を落とす。
「まあ、ポムの爪の使い方が独特だからな・・・。普通は爪に毒なんかを塗って切り裂いて使うものを突き刺すからすぐに駄目になるんだ。」
アランさんが呆れたように言う。
「だって、その方が意外性があっていいじゃないですか・・・。それなりに効果もありましたし・・・。」
「それで、武器を壊していたんじゃ笑えないがな・・・。」
「うぅ・・・。」
僕は何も言えなくなる。
「まあ、ポムは戦いの型がなっていないのもあるな。動きに無駄が多いし・・・。」
「そうなんですか?」
「ああ。まあ、今まで独学でやってきたからしょうがないところもあるがな。王都に着いたらどこかの道場で学んで来るといい。」
「・・・そうします。」
僕の王都での目的が一つ増えた。
「しかし、王都ってどんなところなんですか?」
僕が聞くとポミュが答えてくれる。
「王都「スラート」は様々な種族が暮らす大きな都市です。モノも王都に行けばほとんどのものが売られています。」
「ただ、気を付けないといけないこともあるわ。特に王国貴族の連中・・・。あいつ等は本当にろくな奴がいないのよね・・・。」
そう言ってミネアさんは嫌な顔をする。それを首を傾げて見ていると・・・。
「ミネア様はあんな性格だから貴族の人とは仲があまりよくなかったの。王国貴族は基本的に良い人ばかりなんだけどどちらかというと大人しい人が多くて・・・。」
「つまり、ミネアさんはその貴族の人に怖がられているということですか?」
「そうそう・・・。王国貴族は基本的に国の政治の方を担当しているの。騎士団は領主が多いわね。」
エレナさんが教えてくれた。
「国を守るのは地方領主。国の政治は王国貴族と分かれているのです。」
ポミュが補足をしてくれた。
その夜。僕たちは夕食を取った後すぐに寝る。今はモリナさんと一緒に夜の番をしている。
「モリナさん、旅はどうですか?」
「そうですね・・・。今までは里の中の世界が全てでしたから見るもの全部が新鮮です。」
モリナさんはそう言って微笑む。
「そうですか・・・。不安はないですか?」
「そうですね・・・。少し、怖いかもしれません。私はホブゴブリン。モンスターと間違われることが多いから他の人が私を見てどう思うのか怖いですね。」
「そうなんですね。」
僕はモリナさんを見る。薄い緑色の肌に赤い髪、赤い瞳。確かに人間とはかなり違うが・・・。
「でも、僕、モリナさんは綺麗だと思いますよ。」
「え?」
モリナさんは驚いたように僕を見る。
「綺麗な赤い髪もルビーのような瞳、それに優しい顔立ち・・・。うん、大丈夫です!モリナさんならモテモテです!」
「ポムさん・・・。ありがとうございます。お世辞でも嬉しいです。」
そう言ってモリナさんは可笑しそうに笑った。その笑顔を見て僕も笑う。
「お世辞を言ったつもりはないですが・・・。」
僕は笑いながら頭を掻く。
「ありがとう、ポムさん。少し、元気が出ました。」
「それなら良かったです。」
そして、僕たちは交代の時間まで喋っていた。
ドロンさんがそう言って僕の手を指さす。
「はい。実は銅の爪は狩りの時に使ったんですがトリガーが壊れてしまったようで爪が元に戻んないんですよ・・・。」
そう言って僕は荷物の中から布に包んだ銅の爪を取り出す。ドロンさんはそれを手に取り見ている。
「う~ん・・・。どうやらトリガー部分のバネが完全にいかれちまったみたいだな・・・。それに小手自体もひび割れていている。これは直すのは無理そうだな。」
「そうですか・・・。」
僕は肩を落とす。武器もタダではないし僕のポケットマネーもそんなに多くはない。正直新しい装備を買うのは厳しい。
「王都に着けばもっといい装備がありますわ。」
そう言ってミネアさんが微笑む。
「でも、高いんでしょ?」
「それなりの値段はしますわね。」
「やっぱりですか・・・。」
僕はがっくりと肩を落とす。
「まあ、ポムの爪の使い方が独特だからな・・・。普通は爪に毒なんかを塗って切り裂いて使うものを突き刺すからすぐに駄目になるんだ。」
アランさんが呆れたように言う。
「だって、その方が意外性があっていいじゃないですか・・・。それなりに効果もありましたし・・・。」
「それで、武器を壊していたんじゃ笑えないがな・・・。」
「うぅ・・・。」
僕は何も言えなくなる。
「まあ、ポムは戦いの型がなっていないのもあるな。動きに無駄が多いし・・・。」
「そうなんですか?」
「ああ。まあ、今まで独学でやってきたからしょうがないところもあるがな。王都に着いたらどこかの道場で学んで来るといい。」
「・・・そうします。」
僕の王都での目的が一つ増えた。
「しかし、王都ってどんなところなんですか?」
僕が聞くとポミュが答えてくれる。
「王都「スラート」は様々な種族が暮らす大きな都市です。モノも王都に行けばほとんどのものが売られています。」
「ただ、気を付けないといけないこともあるわ。特に王国貴族の連中・・・。あいつ等は本当にろくな奴がいないのよね・・・。」
そう言ってミネアさんは嫌な顔をする。それを首を傾げて見ていると・・・。
「ミネア様はあんな性格だから貴族の人とは仲があまりよくなかったの。王国貴族は基本的に良い人ばかりなんだけどどちらかというと大人しい人が多くて・・・。」
「つまり、ミネアさんはその貴族の人に怖がられているということですか?」
「そうそう・・・。王国貴族は基本的に国の政治の方を担当しているの。騎士団は領主が多いわね。」
エレナさんが教えてくれた。
「国を守るのは地方領主。国の政治は王国貴族と分かれているのです。」
ポミュが補足をしてくれた。
その夜。僕たちは夕食を取った後すぐに寝る。今はモリナさんと一緒に夜の番をしている。
「モリナさん、旅はどうですか?」
「そうですね・・・。今までは里の中の世界が全てでしたから見るもの全部が新鮮です。」
モリナさんはそう言って微笑む。
「そうですか・・・。不安はないですか?」
「そうですね・・・。少し、怖いかもしれません。私はホブゴブリン。モンスターと間違われることが多いから他の人が私を見てどう思うのか怖いですね。」
「そうなんですね。」
僕はモリナさんを見る。薄い緑色の肌に赤い髪、赤い瞳。確かに人間とはかなり違うが・・・。
「でも、僕、モリナさんは綺麗だと思いますよ。」
「え?」
モリナさんは驚いたように僕を見る。
「綺麗な赤い髪もルビーのような瞳、それに優しい顔立ち・・・。うん、大丈夫です!モリナさんならモテモテです!」
「ポムさん・・・。ありがとうございます。お世辞でも嬉しいです。」
そう言ってモリナさんは可笑しそうに笑った。その笑顔を見て僕も笑う。
「お世辞を言ったつもりはないですが・・・。」
僕は笑いながら頭を掻く。
「ありがとう、ポムさん。少し、元気が出ました。」
「それなら良かったです。」
そして、僕たちは交代の時間まで喋っていた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる