弱小種族の冒険譚

わっしー

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第三章

38.王との謁見、王女との邂逅

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翌日。僕たちは宿から出ると王城へと向かった。王城の門の前には二人の衛兵がいた。
「王城に何か用か?」
ミネアさんは正面の門から入ろうとした。そこに門番である衛兵に呼び止められた。
「ランバルト領長女ミネア・ランバルトです。王国騎士アーガス・ホートマス殿から重要な書状を託されました。」
「・・・しばし、待って。」
そう言って衛兵の一人が王城の中に入って行った。もう一人の衛兵は微動だにせずに僕たちを監視している。
それからしばらくして衛兵が戻ってきた。
「待たせたな。陛下から謁見の許可を得た。」
そう言って衛兵は道を開ける。
「ありがとう。」
そう言ってミネアさんは城に入って行く。僕達もその後に続いた。ミネアさんの足取りは迷いなくどんどん王城の中を歩いて行く。そして、大きな扉の前まで来る。そこにも衛兵が二人立っていた。
「ミネア・ランバルド様ですね?陛下がお待ちです。中へどうぞ。」
そう言って扉を開ける。ミネアさんは部屋の中に入って行く。そして、全員が部屋の中に入ったのを確認してから後ろの扉が閉まる。
ミネアさんはその場に跪く。他の皆も同じように跪いていたので真似をした。
「面をあげよ。」
僕達の頭越しに威厳のある声が響く。言われた通り顔をあげるとそこには白いひげを蓄えた40代くらいの男性が座っていた。
「リチャード陛下。此度は謁見の機会を与えてくださりありがとうございます。」
「なに、我が娘の親友が訪ねてきたのならいくらでも時間を設けよう。それで、ミネア嬢よ。今日はどういった用件で来たのだ?」
「はい・・・。まずはホートマス騎士団長の報告書をご覧ください。」
そう言ってミネアさんは羊皮紙を取り出して掲げる。それをリチャード陛下の横に立っていた男が受け取り何か仕掛けがないか確認した後に陛下に渡す。
「・・・ふむ。」
陛下はそう言って羊皮紙に書かれた内容を読んでいく。しばらくすると羊皮紙を丸めた横にいた男に渡す。
「なるほど・・・。魔族の狙いはチビット族だということか・・・。他にも「狂化の宝石」と呼ばれる魔道具にも何か対策をしないといけないな・・・。」
「はい、チビット族は我が国の宝。その魔族の目的は不明ですがろくなことは考えていないと愚考します。」
「ふむ・・・。」
そう言ってリチャード陛下はしばらく考えていた。
「話は分かった。魔族の目的ははっきりしてはいないがこれからもチビット狩りは横行するであろう・・・。ならば、しばらくの間チビット族を王都に避難させるように手配しよう。」
「ありがとうございます。」
そう言ってミネアさんは頭を下げる。
「いや、この問題は我が王国にとっても無視が出来ない事案だ。報告ご苦労だった。」
そして、リチャード陛下との謁見は終わったのだった。

「無事に終わりましたね。」
「ええ。これで、帝国や魔族たちのチビット狩りが減るはずよ。」
「ですね。」
そう話していると。
「ミネア!!」
そう言ってこちらに走り寄ってきたのは豪華のドレスを身に付けた金髪の女性だった。
「クラーネ。久しぶりですね。」
そう言ってミネアさんは微笑む。
「もう!王都に来ているなら連絡を頂戴な!わたくしすぐにでも飛んでいきますのに!」
「もう・・・。王女である貴方が王都に降りてきたら騒ぎになるでしょ?」
ミネアさんは呆れたように言う。
「うぅ・・・。でも、せっかく親友が来たのに何のおもてなしも出来ないなんて・・・。そうだわ!今日は王城に泊っていきなさいな!」
「えっ!?でも・・・。」
そう言ってミネアさんは僕達を見る。そのミネアさんの視線に気が付いたのだろう。クラーネ王女も僕たちの方を見た。
「あら・・・。アランにエレナ、それにドロンも居ますのね・・・。他の方は?」
「彼はポム。森の中で保護したチビット族です。彼はこれでも格闘家でわたくしのパーティーの仲間ですよ。」
「ポムと言います。よろしくお願いします。」
そう言って僕はお辞儀をした。
「それから、ポミュとポポ姉妹。ホートマス騎士団長のお嬢様です。」
「いつも、父がお世話になっています。」
「お世話になっています!」
ポミュがスカートをつまんでお辞儀するとポポも真似をしてお辞儀する。
「最後にホブゴブリン族のモリナ。」
「モリナと申します。よろしくお願いします、姫様。」
そう言ってモリナさんはスカートをつまんでお辞儀する。
「わたくしはスラート王国第一王女、クラーネ・スラートです。皆さまを歓迎しますわ。」
そう言ってクラーネ王女が微笑む。その微笑みは朗らかで安心する。
「皆さんも王城で泊ってくださいませ。部屋は用意させますので。」
こうして僕たちは王城に泊ることになった。
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