僕はどうやら神様の手違いにより飛ばされたみたいです・・・。

わっしー

文字の大きさ
16 / 62
第一章

15話

しおりを挟む
「兄様!ご無事だったのですね!?」
マリアがアルスたちに駆け寄ろうとした時・・・。
「危ない!」
シルビアがマリアに体当たりをするように飛びついた。
「えっ・・・!?」
マリアはシルビアの体当たりになすすべなく倒れる。
「一体何を・・・。」
シルビアに何か言おうとしたマリアは言葉を飲み込む。
さっきまでマリアが立っていた場所は炎で焼かれたように煤まみれになっていた。
「お兄様・・・?」
マリアは信じられないものを見るようにアルスを見る。
その手には剣が握られていた。
「アルス!?君は何を・・・!」
そう言う僕をアルスは見る。
「!?」
その目を見て僕は驚きで言葉を失う。
目の焦点が合っていないのだ。
「主様、様子がおかしいです・・・。」
シルビアはマリアを助け起こしながら僕に言う。
「・・・どうやら、彼らは操られているみたいだな。」
コウさんが警戒心をあらわにいう。
その声に同調してソーマさんとカーラさんも剣を抜く。
「ショウマ殿・・・。彼らは貴方より強いのか?」
「・・・うん。」
僕は戦闘訓練を受けたわけではない一般人だ。
さっきの人形の場合、動きが単調だったので何とかなったがアルスたちが相手となると話は別だ。
アルスたちはちゃんと戦闘訓練を受けている。
ソーマさん達に至ってはヴァルコイネンでも指折りの騎士だったという話だ。
到底勝ち目があるように思えない。
「・・・でも、方法がないわけじゃない。」
僕は魔力を高める。
すると、僕の手に銀の魔力が集まる。
破魔魔法。
どんな魔法でも打ち消すことが出来る魔法。
これを使えば、皆の洗脳は解けるかもしれない。
「問題は触れることが出来るかどうかだけど・・・。」
身体能力、技術どちらも彼らに劣っている僕に攻撃を当てることが出来るかどうか・・・。
「・・・当てる?」
そうだ。
別に僕自身が彼らに攻撃を当てる必要はないんだ。
「なら・・・!」
僕は盾を構えて突撃する。
「ショウマ!?」
マリアが驚いたように叫ぶが振り返らない。
突っ込んできた僕に獣人族のハーフであるカーラさんが剣を振りあげながら突っ込んでくる。
(あとは、度胸とタイミング!)
僕はカーラさんが剣を振り下ろすタイミングで盾を構える。
剣と盾がぶつかり、剣圧が僕を襲う。
「くぅ・・・!」
僕は押しつぶされそうになりながらも耐える。
「今だ!」
僕は盾に魔力を流し込む。
すると、僕の魔力が手から盾に・・・。盾からカーラさんの剣に・・・。そして、カーラさんの剣からカーラさん自身に迫る。
「目を覚ましてください、カーラさん!」
銀の魔力がカーラさんの全身に纏わりつく。
「・・・あれ?私は一体何を・・・。」
しばらくすると、カーラさんの目に生気が戻る。
そして、剣圧も和らいだ。
「あっ!?私、ショウマ様に何を・・・!?」
「正気に戻ったみたいだね・・・。」
僕は盾を構えながらカーラさんに言う。
「カーラさん!正気に戻った所悪いんですけど、ソーマさん達を正気に戻すためにお手伝いしてください。」
「うん!任せ・・・。」
しかし、カーラさんの言葉が詰まる。
「カーラさん?」
「な・・・なんか、力が出ない・・・。」
僕はカーラさんの方を見る。
すると、カーラさんの頭についていたケモ耳が無くなっていた。
「カーラさん、ケモ耳が・・・!?」
ケモ耳だけではなく尻尾もなかった。
獣人としてのアイデンティティが無くなり、戸惑っていると・・・。
「・・・もしかしたら、ショウマの魔法で一時的に魔力を封じられたのかもしれない・・・。」
「どういうこと、マリア?」
マリアは語ってくれる。
獣人は魔力を内に溜める性質を持っており、それにより身体能力を上昇させている。
しかし、魔力が枯渇或いは封じられると魔力で生成されているケモ耳や尻尾が消失して著しく能力が低下するとのことだった。
「つまり、今のカーラさんは全力を出せない状態なんだね?」
「ええ・・・。そして、それはお兄様やソーマにも同じことが言えます。」
破魔魔法を使えば洗脳が解けるがその後の戦闘では魔法が封じられた状態で戦わなければならない。
「・・・これって詰んでない?」
僕は冷や汗を流しながらソーマさんとアルスを見るのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

処理中です...