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第二章
21話
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「ショウマ様・・・。」
声を掛けてきたのはソーマさんだった。
「・・・ゴブリンの殲滅は完了しました。要救助者2名は解毒薬を飲ませて今眠っています。」
「・・・シャーリー!ミアラ!」
そう言って駆け寄ってきたのはさっき助けた少女だった。
「・・・酷い。こんなのってないよ・・・。」
少女は二人を抱きかかえて涙を流す。
「・・・君たちは冒険者かい?」
少女は僕の顔を見上げて頷く。
「なら、覚えておくことだね。これが現実だ・・・。君達はトラウマを植え付けられただけで生きている分マシだよ。周りを見てごらん。」
「えっ・・・ひっ!?」
そこには毛布を掛けられた死体が並んでいた。
「彼女たちは手遅れだった・・・。精神は破壊されてその身にはゴブリンを宿して「孕ませ袋」と化していた・・・。」
「孕ませ袋?」
「ゴブリンを生成するための道具だ・・・。元は人間なんだけどね・・・。」
そう言って僕は死体を見る。
孕ませ袋となった女性はゴブリンの精に依存する。
その事しか考えることが出来ず、しばらく摂取しなければ衰弱して死に至る。
「でも、解毒薬が・・・。」
「解毒薬の効果があるのはゴブリンを孕む前だけだ。時間が経つにつれてゴブリンの精依存が深刻になる。ゴブリンを孕んでしまうと手の打ちようがない・・・。」
「そんな・・・。」
「彼女たちを生かしたとしても長くはない・・・。なら、遺族には期待を持たせないように処理するのが一番なんだ。」
「・・・。」
少女は驚きの表情を浮かべる。
しかし、次の瞬間その顔は怒りのモノに変わる。
「この、人でなし!助けられるかもしれない命を楽だからという理由で助けもせず・・・!」
「・・・とりあえず、今日の所は僕の屋敷に泊るといい。彼女たちの治療もしないといけないし・・・。」
「・・・。」
少女は僕に何も言わない。
「ソーマさん、カーラさん。彼女たちの遺体を運ぶのを手伝ってください。」
「わかりました。報告は私たちが・・・。」
「任せたよ。」
そして、僕はシルビアを見る。
「じゃあ、帰るとしようか・・・。」
『はい、主様。』
僕たちは洞窟で出会った少女たちと共に帰るのだった。
「お帰りなさい、ショウマ。」
「ただいま、マリア。」
屋敷に帰るとマリアが出迎えてくれた。
「彼女たちの治療のためにお医者様を・・・。」
「はい!セバス!」
「ここに・・・。」
そう言って現れたのはこの屋敷に住み始めてからサービスで1年間無料契約をした使用人のセバスさんだった。
「今すぐ、お医者様をお呼びして。」
「畏まりました。」
そう言ってセバスさんは屋敷から出た。
「君達も疲れただろ?案内はメイドがしますのでゆっくり過ごしてください。」
「・・・はい。」
少女は僕のことを睨みながら答えるのだった。
「ショウマ。彼女たちに何かしたの?」
「ゴブリンに襲われていたところを助けただけだよ・・・。」
「・・・何か含みがありますね?」
マリアは問いただす様に言う。
「・・・彼女に言われたんだ。「助けられるかもしれない命を楽だからという理由で助けない人でなし」だとさ・・・。」
「そう・・・。」
マリアは悲しそうに相槌をうつ。
「でも、ショウマは間違っていません・・・。彼女は知らないだけで・・・。」
「そうだね・・・。でも、彼女の気持ちも分かるんだ。助けられた命を僕はこの手で刈り取った・・・。被害者の家族からしたら無慈悲な殺人鬼なんだろうな・・・。」
僕は止めを刺した時の感触を思い出す。
彼女たちは助かる見込みはない。
一緒に過ごしたとしても残るのは何も出来なかったという無力感だけだ。
「どんなに言葉を尽くしても納得は出来ないだろう・・・。僕だってマリアがそうなった時同じように出来るか自信はない・・・。」
「ショウマ・・・。」
「こんな悲しいことがもうなくなるように僕たちはゴブリンを全滅させる必要がある。」
そう・・・。
あの日、僕はある目標を掲げた。
それは、「ゴブリンの全滅」。
ゴブリンの脅威は分かっているのに貴族や国は動かない。
一人前の冒険者たちも割りに合わないと誰も受けたがらない。
そんな状態が続き、犠牲になっていくのは力を持たない村人やまだゴブリンの脅威を知らない駆け出しの冒険者だ。
「兄さん達は世界のために戦ってくれているはずだ・・・。僕には世界を救うことは出来ないけど力のない人たちを守ることは出来ると思う・・・。」
「そのためのゴブリン殲滅ですものね・・・。」
「ああ・・・。」
僕は思い出す。
3か月前のあの日の出来事を・・・。
声を掛けてきたのはソーマさんだった。
「・・・ゴブリンの殲滅は完了しました。要救助者2名は解毒薬を飲ませて今眠っています。」
「・・・シャーリー!ミアラ!」
そう言って駆け寄ってきたのはさっき助けた少女だった。
「・・・酷い。こんなのってないよ・・・。」
少女は二人を抱きかかえて涙を流す。
「・・・君たちは冒険者かい?」
少女は僕の顔を見上げて頷く。
「なら、覚えておくことだね。これが現実だ・・・。君達はトラウマを植え付けられただけで生きている分マシだよ。周りを見てごらん。」
「えっ・・・ひっ!?」
そこには毛布を掛けられた死体が並んでいた。
「彼女たちは手遅れだった・・・。精神は破壊されてその身にはゴブリンを宿して「孕ませ袋」と化していた・・・。」
「孕ませ袋?」
「ゴブリンを生成するための道具だ・・・。元は人間なんだけどね・・・。」
そう言って僕は死体を見る。
孕ませ袋となった女性はゴブリンの精に依存する。
その事しか考えることが出来ず、しばらく摂取しなければ衰弱して死に至る。
「でも、解毒薬が・・・。」
「解毒薬の効果があるのはゴブリンを孕む前だけだ。時間が経つにつれてゴブリンの精依存が深刻になる。ゴブリンを孕んでしまうと手の打ちようがない・・・。」
「そんな・・・。」
「彼女たちを生かしたとしても長くはない・・・。なら、遺族には期待を持たせないように処理するのが一番なんだ。」
「・・・。」
少女は驚きの表情を浮かべる。
しかし、次の瞬間その顔は怒りのモノに変わる。
「この、人でなし!助けられるかもしれない命を楽だからという理由で助けもせず・・・!」
「・・・とりあえず、今日の所は僕の屋敷に泊るといい。彼女たちの治療もしないといけないし・・・。」
「・・・。」
少女は僕に何も言わない。
「ソーマさん、カーラさん。彼女たちの遺体を運ぶのを手伝ってください。」
「わかりました。報告は私たちが・・・。」
「任せたよ。」
そして、僕はシルビアを見る。
「じゃあ、帰るとしようか・・・。」
『はい、主様。』
僕たちは洞窟で出会った少女たちと共に帰るのだった。
「お帰りなさい、ショウマ。」
「ただいま、マリア。」
屋敷に帰るとマリアが出迎えてくれた。
「彼女たちの治療のためにお医者様を・・・。」
「はい!セバス!」
「ここに・・・。」
そう言って現れたのはこの屋敷に住み始めてからサービスで1年間無料契約をした使用人のセバスさんだった。
「今すぐ、お医者様をお呼びして。」
「畏まりました。」
そう言ってセバスさんは屋敷から出た。
「君達も疲れただろ?案内はメイドがしますのでゆっくり過ごしてください。」
「・・・はい。」
少女は僕のことを睨みながら答えるのだった。
「ショウマ。彼女たちに何かしたの?」
「ゴブリンに襲われていたところを助けただけだよ・・・。」
「・・・何か含みがありますね?」
マリアは問いただす様に言う。
「・・・彼女に言われたんだ。「助けられるかもしれない命を楽だからという理由で助けない人でなし」だとさ・・・。」
「そう・・・。」
マリアは悲しそうに相槌をうつ。
「でも、ショウマは間違っていません・・・。彼女は知らないだけで・・・。」
「そうだね・・・。でも、彼女の気持ちも分かるんだ。助けられた命を僕はこの手で刈り取った・・・。被害者の家族からしたら無慈悲な殺人鬼なんだろうな・・・。」
僕は止めを刺した時の感触を思い出す。
彼女たちは助かる見込みはない。
一緒に過ごしたとしても残るのは何も出来なかったという無力感だけだ。
「どんなに言葉を尽くしても納得は出来ないだろう・・・。僕だってマリアがそうなった時同じように出来るか自信はない・・・。」
「ショウマ・・・。」
「こんな悲しいことがもうなくなるように僕たちはゴブリンを全滅させる必要がある。」
そう・・・。
あの日、僕はある目標を掲げた。
それは、「ゴブリンの全滅」。
ゴブリンの脅威は分かっているのに貴族や国は動かない。
一人前の冒険者たちも割りに合わないと誰も受けたがらない。
そんな状態が続き、犠牲になっていくのは力を持たない村人やまだゴブリンの脅威を知らない駆け出しの冒険者だ。
「兄さん達は世界のために戦ってくれているはずだ・・・。僕には世界を救うことは出来ないけど力のない人たちを守ることは出来ると思う・・・。」
「そのためのゴブリン殲滅ですものね・・・。」
「ああ・・・。」
僕は思い出す。
3か月前のあの日の出来事を・・・。
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