20 / 120
3話 帰り道でお仕事
6
しおりを挟む
「では、二つ目の枚数指定をお願いします」
「31」
皇は、今度はサクラが多めに咲く枝の下に立った。
風が、吹いた。
いや。今度は、私が吹かせてやった。
爆風で、花びらが上からも下からも舞い上がる。
「いち」
皇が手を伸ばす。
「に」
だが、皇のメガネに花びらたちが貼り付いた。
皇が、「あ」と息のような声を零した。
「さん」
皇の手のひらが、閉じた。
皇は、私の両手のひらに、花びらを落とした。
1,2,3……29。
「残念でしたね」
ふっふふふ! 勝った! 当たり前だ。神の前に、たかが計算ごときが、叶うはずがないのだ!
皇は、いかにも悔しそうに、下唇を静かに噛んだ。
そして、メガネを取ってポケットに入れると――前髪を、かき上げた。
固まった。美しい顔が、露になって……。しかも、本気の顔と言ったらいいのだろうか。昨日見たものより一層鋭さが増している……。
だめだ、好きすぎる……!
「リベンジさせてください」
皇が手を伸ばす。心なしか、ずっと見ていたはずの手も、美しく見える。
風が吹いた。
「……いち」
皇が呟く。
「に……」
手首を回して花びらを攫う。
「さん」
手のひらが、閉じた。
呆然としたままの私に、皇が近づいてきた。
片膝をついて、私の両手に、花びらを零す。
私は、どきどきしたまま、皇のきれいな顔から目が離せなかった。
「……31です」
にっと、勝ち誇ったように皇が笑った。
――か、かっこよすぎる――っ!
この顔の、ポスターが欲しい…………っ!! 壁一面、もはや天井にも貼って、永遠に眺めていたい――っ!
永遠に、私に、微笑みかけていてほしい……っ!
「では、二つ目の質問をさせてもらいます。時間も迫っているので……」
ポケットからメガネを取り出し、かけようとしたので、私は昨日のごとく、「かけないで!」と叫んで止めさせた。
皇は大きな目を開いたまま固まっていたが、メガネに目を落とした。
「昨日もそのように止められたのですが、どうしてですか?」
うっ……! なんて答えにくい質問を……!
というか、昨日は疑問も言わずに言うことを聞いたじゃないか!
もしかして、女慣れしていないがために、こうして許可をとらないと質問してはならないと思っているのか? そういえば昨日もそうだった……!
そうやって27も質問をため込んでいたなんて……きっちり真面目ピュア男め!
くそっ。この顔だからか、どうしようもなく可愛く思える……!
唇を噛んでにやけを抑えていると、「あの」と答えを催促された。
どうするか……。本当のことを言うのは、なんだか敗北感がする、というか……単純に、恥ずかしい。
だが、他にいい理由がみつからない! 私の頭の中はこの男の顔がしゅきぃ! という気持ちで満たされまくっていたから考える余地がなかったのだ。
うっ、うぅ……うううぅ…………っ!
「31」
皇は、今度はサクラが多めに咲く枝の下に立った。
風が、吹いた。
いや。今度は、私が吹かせてやった。
爆風で、花びらが上からも下からも舞い上がる。
「いち」
皇が手を伸ばす。
「に」
だが、皇のメガネに花びらたちが貼り付いた。
皇が、「あ」と息のような声を零した。
「さん」
皇の手のひらが、閉じた。
皇は、私の両手のひらに、花びらを落とした。
1,2,3……29。
「残念でしたね」
ふっふふふ! 勝った! 当たり前だ。神の前に、たかが計算ごときが、叶うはずがないのだ!
皇は、いかにも悔しそうに、下唇を静かに噛んだ。
そして、メガネを取ってポケットに入れると――前髪を、かき上げた。
固まった。美しい顔が、露になって……。しかも、本気の顔と言ったらいいのだろうか。昨日見たものより一層鋭さが増している……。
だめだ、好きすぎる……!
「リベンジさせてください」
皇が手を伸ばす。心なしか、ずっと見ていたはずの手も、美しく見える。
風が吹いた。
「……いち」
皇が呟く。
「に……」
手首を回して花びらを攫う。
「さん」
手のひらが、閉じた。
呆然としたままの私に、皇が近づいてきた。
片膝をついて、私の両手に、花びらを零す。
私は、どきどきしたまま、皇のきれいな顔から目が離せなかった。
「……31です」
にっと、勝ち誇ったように皇が笑った。
――か、かっこよすぎる――っ!
この顔の、ポスターが欲しい…………っ!! 壁一面、もはや天井にも貼って、永遠に眺めていたい――っ!
永遠に、私に、微笑みかけていてほしい……っ!
「では、二つ目の質問をさせてもらいます。時間も迫っているので……」
ポケットからメガネを取り出し、かけようとしたので、私は昨日のごとく、「かけないで!」と叫んで止めさせた。
皇は大きな目を開いたまま固まっていたが、メガネに目を落とした。
「昨日もそのように止められたのですが、どうしてですか?」
うっ……! なんて答えにくい質問を……!
というか、昨日は疑問も言わずに言うことを聞いたじゃないか!
もしかして、女慣れしていないがために、こうして許可をとらないと質問してはならないと思っているのか? そういえば昨日もそうだった……!
そうやって27も質問をため込んでいたなんて……きっちり真面目ピュア男め!
くそっ。この顔だからか、どうしようもなく可愛く思える……!
唇を噛んでにやけを抑えていると、「あの」と答えを催促された。
どうするか……。本当のことを言うのは、なんだか敗北感がする、というか……単純に、恥ずかしい。
だが、他にいい理由がみつからない! 私の頭の中はこの男の顔がしゅきぃ! という気持ちで満たされまくっていたから考える余地がなかったのだ。
うっ、うぅ……うううぅ…………っ!
4
あなたにおすすめの小説
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる